BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

青春の残滓

2019年04月30日 | その他
およそ数十年まえの青春の残滓ともいうべき手紙や写真に火をつけた。文字が書かれた便箋は封筒から取り出し、
一枚一枚紙は黒く焦げ、しばして白い灰となった。鉄の棒でかき回してみたがみんな燃えた。もし残りカスでも
あったらその白い部分を取り出し、お守りにでもしょうとしたが、みごとに燃えた。
いわば青春の蹉跌であり後悔であり、今一度読みなおし、その残像が溜像となって心に留めた。もうだれにも知ら
れることは無い。だが紙が燃えても当事者は生きている。不思議な感覚だ。
小さな段ボールにまとめて取っていたが、この先いつどうなるか分からない。他人に無用な混乱は与えるべきでな
いのだ。あの時やあの頃、あーそうだったのだと改めて想う。
ただどうしてもある一組の元夫婦からの長い手紙は、燃やせなかった。もし見られても問題の無い長い長い手紙だ。
いずれかの日、安い段ボール製の棺桶にでも一緒に入れて、今度こそは燃やして貰おう。その理由はアタシだけの
秘めたもので、だがそれも白い煙になるだろう。
それが何にも残せなかったアタシの人生の、本当の最期に相応しい。

123便 真実の隠蔽

2019年04月15日 | 新 刊
日航123便事件の関連書籍はいままであまた読んできたが、この本ほど核心をつき事実にもとずく真相を明らかに
したものは無かった。そして著者は犠牲者の関係者で、次男(15才)長女(12才)親戚3名を亡くした方でもあ
った。詳細は読んでもらうしかないが、アタシが以前より疑問に思っていたことがズバリ理論的に説得力を持った文章
で書かれている。その恐るべき真相を為政者は隠蔽した。為政者の真相隠蔽は今の流行だけではなく昭和から平成にか
けて脈々と昔からの伝統なのか。それにしても、墜落地点の偽情報をメディアに流し、乗客の救命などどうでも良かっ
た事情がよく分かった。もっと言うと生きていては困る事情もあった。して生存して救助された4名がいたことも予想
外の手落ちだったとは。しかも究明した真実をこの本で突き付けられた政府、航空事故調査委員会、メディアは今更とい
う感じで取り合わなかった。著者は関係各所にこれを送ったが、どこからも受け取ったという連絡さへ無いという。いわ
ゆる得意の無視作戦だ。
いままで出版された関連書籍のいろんな疑問部分を組み立てると、すべての疑問が氷解する。あーこの本が出版された
ことが、せめてもの救いか。
 「日航123便 乗客乗員怪死の謎」 著者 小田 周二  文芸社 定価1400円+税
  ( 2018年3月15日 初版第5刷発行 )

無理無理スジ

2019年04月06日 | 新 刊
BOOK OFFでの収穫が無さすぎで、とうとう新刊書店へ。
しかしこの本には見事に騙された。〔三億円事件〕とタイトルに付けば何にでも飛びついてしまうクセがでた。
計画・実行したのは私です、にそそられた。頭の数ページの書きようが、いかにも素人ぽくて、それが逆に本当
らしく見えてしまった。筆名も「白田」だけで、それも売らんがための作戦だと、途中で分かる。特段の真犯人
だという秘密の暴露も無く、今まで世に出た公の情報を繋げばそれらしくなるだけだった。そして相当に疑われ
た警察官の息子も仲間間として登場するのだが、死人に口なし、どうにでも書ける。これはあの事件に名を借り
たアクドイ偽小説で、高笑いしている著者と出版社がみえる。定価で千円の価値も無く、早いとこ均一台の10円
コーナーに行って欲しい。
 「府中三億円事件を計画・実行したのは私です。」 著者 白田  ポプラ社 定価1000円+税
  ( 2018年12月27日 第6刷 )

しかしだ、桜木さんも作家として少々書き杉さんではないか。文章も構成も相変わらず上手いことは旨い。だが
少し空疎なところが出て来やしてないか。なんの余韻も感慨もなく、ただ筆だけが饒舌にすすむ。筋も無理っぽ
いのだが、それももうどうでもいいと読者に見られたら、いつか読み手にも見放される。いつか藤堂 志津子さん
みたくなって、月刊誌のページを埋めるだけの作家になって欲しくない。
 「光まで5分」 著者 桜木 紫乃  光文社 定価1400円+税
  ( 2018年12月20日 初版1刷発行 )

無理買い

2019年04月05日 | 古本
「人類20万年 遥かなる旅路」を読んだばかりだが、この「人類の足跡10万年全史」は遺伝子、化石記録、気候学
を駆使し、ここ10万年の解剖だ。ただ「人類20万年ー」に比べると甚だ読みにくい。訳が読みにくいのは内容上仕
方ないとこも。また所々に図が載っているが、白黒なものでなんだか解かりにくい。今より前史は海が100メートル
ほど低い時期があったらしいが、その海と陸の区別がアタシには分かりずらい。大陸や小陸は繋がっていたり、またその
分近かった。それにしても数キロならともかく、数万年前にどやって数百キロもある海を人類は渡れたのか、先祖たちの
知恵に感心する。だがどんな舟的なもので渡ったのか、その証拠となる化石などや洞窟画はどこにも無い。現在ははるか
海の下にあるのかも知れない。
だがこの本途中で飽きてしまった。余程のヒマな時間があったら読み通せるものを、無理矢理BOOK OFFで買うと
こんなことになる。
 「人類の足跡10万年全史」 著者 スティーブン・オッペンハイマー  草思社 定価2400円+税
  ( 2007年11月6日 第6刷発行 )