BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

CAPA

2018年10月25日 | 古本
1954年5月25日午後3時、北ベトナムの戦闘取材中、地雷を踏み死亡した。ロバート・キャパ 40才。
左足が吹き飛び、内臓が深くえぐれた。
再読だが、その白黒写真の陰影がキャパそのものを表しているかのようだ。(カラー写真も後年少しは撮った)
「崩れ落ちる兵士」に代表される戦争写真家だが、意外にも戦闘そのものの写真は少ない。その戦争の裏側に
ある市井の人々の生活をより多く撮った。ライカなどの35mm小型カメラが出てくると、大袈裟にならない
自然な戦争の裏側状況を数多くとらえた。性格やそのユーモアのせいか、多くの女性とも浮名を流した。要す
るに女性にモテた。一瞬にして人を引き付ける何者かをもっていたのだろう。
「崩れ落ちる兵士」だが真贋論争が面白い。キャパの同士であり恋人になった〔ゲルダ・タロー〕が撮ったもの
ではないかという考察は、沢木耕太郎の「キャパの十字架」に詳しい。その瞬間を行動を共にしていたゲルダが
撮ったものとするほうが、その場のタイミングや持っていたカメラの種類から推測する事が自然だと。またその
ときに撮った戦闘場面は完全なやらせ写真だとも、それなりの説得力があり興味が尽きない。
 「キャパ その青春」「キャパ その死」 著者 リチャード・ウィーラン 訳 沢木耕太郎 文藝春秋
 ( 定価 1500円 1988年6月25日 第1刷 )
 ( 定価 1442円 1988年12月20日 第1刷 )※ どちらもBOOK OFFで105円だった。

ロバート・キャパ写真集 解説 沢木耕太郎  文藝春秋 定価3400円
 ( 1995年5月20日 第11刷 ※1988年5月が第1刷 ) ※ こちらは新刊で買った。