BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

再 会

2009年01月14日 | 古本
 以前に触れたのは文庫の復刻版のことだった。
これは元々の出版社に戻って、限りなく元の復刻だ。
ただ表紙の色やデザインは、記憶とは違う。
 40年前に読み、その後に処分した。記憶と印象をそのままにして置きたかっ
たが、それがどんなものであったのか、もう一度の再会も悪くはないと思った。
出合った時は主人公の二人より若く、今はその当時の二人より遥かに歳を取って
しまった。内容は同じでも、こちらの40年という年月を思い知らされる。
 しかしあの当時の手紙の往復、東京・大阪間にはそれなりの時間がかかった。
その時間差が二人の物語をつくり出したが、今の携帯やメール汎用時代ではもう
この世界は在りえない。時代の遺物的往復書簡というにはあまりにも痛ましく、
病魔が二人を別け、彼女を奪った。
 ただもしかして読まずに、自分の本棚の奥深くにそっと忍ばせて置いた方が、
よかったのかも知れない。

 「愛と死をみつめて」 著者 大島 みち子 河野 実(往復書簡) 
    大和書房  定価1600円+税
 ( 1963年12月25日初版 2005年2月20日 新版第5刷発行 )


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