そして、ユバ川に中秋の名月は昇った。

９月１４日　晴れ
　今日は移動する予定であったが、昨日のドシャバシャのライズの中で坊主になったままでは腹の虫が収まらない。
　更に、今朝は移動の予定でかたつむり２号のスライドアウトを収容前に、その屋根部分を掃いておこうと思って上がった。すると、屋根の上に小さな木の実のカスが大量に落ちていた。当然、スライドアウトの上にも大量にある。木の実に油分があるのか、ホウキで掃いたぐらいではなかなか取れない。洗剤とほうきで何とかスライドを収容できる程度にしたが、かなり疲れた。
　以上２点の問題がおきたので、移動は木曜日に延期することにした。

写真
　今日の魚。１５インチちょっとある。これも虹がわずかに出ているだけ。とんがり顔。ヒレぴん。斑点は腹側にはほとんどない。魚の形はスティールヘッドのようだ。しかし、以前にも書いたかもしれないが、Ｆｉｓｈ＆Ｇａｍｅは、ユバ川にはスティールヘッドは居ないと言っているらしい。この川は、年間を通して水温も安定し、エサも有るので降海する必要がないからなのだそうだ。うーん。


そして、ライズは無いまま、中秋の名月がユバ川に昇った。


釣り
　少し遠回りをして寄ったサクラメントのフライ釣り道具屋に、驚いたことに、シーガーがあった。クレハのシーガーのティペットとリーダーだ。完全に英語版。これまでアメリカで見た事がなかった。４Xは既に売り切れ。ちょっと高いが、ティペットを５X、６X、７Xと、リーダーを４X、５X、６X買った。ナイロン系にしようと思っていたのが、あっさりとフルオロカーボン系に逆戻りだ。

　ユバ川の今日のポイントは公園裏。川に出たのは５時半頃。ライズはない。ロッドは６番、リーダーは買ったばかりのシーガーの５Xの９ｆｔを付けた。ティペットもシーガーの５X。フライはライズがないのでオレンジ＆黒のファットアルバート。公園から下流に向かってジワジワ探りながら下流に移動してゆく。ほとんど反応無しでドンドンくだる。右手に大きな倒木が沈んでいる辺りから深くなる。そこまで下って、
「あの木とこの倒木を結んだ線上でロッド３本分の距離、、、あの辺りでライズがあるよなぁ。」
と山立てした。そこに向けてフライを送り込む。予定の位置の１ｍぐらい前で、
　「ぽこっ」
と出た。ここで慌ててはいけないと思いながら、ラインをたぐりながら５０ｃｍほどロッドティップを跳ね上げる。竿先は上がらず、持ち上げた分だけロッドが曲がる。
　「ゴン」
と肘にショックが帰ってくる。乗った。良いサイズ！
　「すっ、す、す、すっ」
と、ドラグの音と、ラインとガイドが摺れる音を残して魚は走る。予想外の上流側でジャンプ！　ユバのレインボーだ。続けてもう一回ジャンプすれば外される可能性が高いが、、、。ここで魚は下流に走った。
　「これは何とかなるかもしれない。ルン♡！」
こっちの胸算用は他所に、魚はＡｂｅｌのＳｕｐｅｒ５Ｎの緩めに設定したドラグなど無視して一気にバッキングまで引きずり出した。ここで２クリック分ドラグを締めた。魚は、そのまま断続的にラインを引きずり出し、こっちは１クリック締め足す。あと１０ターンぐらいでバッキングが終わるところまで出て止まった。

　うーん、どうするかな？　巻いてみると、巻ける。巻く、巻く。必死に巻く。どんどん巻く、巻く。魚は付いているよだ。フライ釣りのリールにギアが入っていない。これがこの釣りの魚を掛けてからの特に面白いがつらいところだ。「面辛い」というやつだ。どんどん寄って来るが、ラインのテンションもどんどん無くなってゆく。
　「もう少し、逆らってくれる方が有り難いのにぃ。」
と都合の良いことを考えているうちに、いよいよテンションが無くなってきた。今度は必死にたぐる、たぐる、たぐる、たぐる、たぐる。止まった。その隙にたぐった分を必死に巻く、巻く、巻く。巻き取ったところで、魚が再度走った。ロッド２本分ぐらい走ったところで止まった。今回はそれほどでもない。ここまでくれば、かなり有利に事を運べる。イヤイヤをする魚をじわじわと寄せ、一度失敗して、ネットに入れた。

　今日はこの魚だけ。ライズの嵐は起こらず。中秋の名月が出てもライズは起こらず。もうちょっとで、また、坊主を食らうところだった。