扇子と手拭い

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みんなが熊さん、はっつあんなら、きっと楽しいだろう!

2018-12-19 15:33:43 | 落語
 きょう(19日)はディーサービスセンターに出前寄席。曜日によってセンターを訪れる人が別だそうだが、落語が好きな人はほぼ欠かさず顔を見せてくれる。

 常連の耳が遠いダンナ。大きな声で話しても毎度、「聞こえない」と言うので最前列に来てもらった。マイクも使っている。

 それでも落語をしゃべりだしたら「聞こえない」とダンナ。客席からドッと笑い声が上がった。これ以上声を張り上げたらマイクがつぶれる。それほど大声を出しているからだ。

 話を中断して職員に頼んで、ダンナを高座の真下まで移動してもらった。あたしの目の下にいる。「聞こえますか?」とあたし。「うん」とダンナがうなずいた。

 どこまで話したか分からなくなった。脇に置いてあるお茶をぐっと飲み、気を静めた。「さっきのところ、もう一度やりますよ」と言って、あったかいソバを食べる仕草をした。つられて前にいたおばあちゃんが口をモグモグ。

 こんな塩梅で、一席目はこの時期にピッタリの冬の落語、「時そば」を披露した。高座から立ち上がる時、まだ完治していない右足のアキレス腱に痛みが走った。それでも笑顔で高座を務めねばならないのが“落語家”のつらいところだ。

 約1分の休憩の後、再び出囃子に促されて高座に上った。先ほどの滑稽噺から一転、今度はチョイと粋な、吉原が舞台の廓噺でご機嫌をうかがった。古今亭志ん朝師匠がお得意の「お見立て」である。

 この施設には毎回、大学生が社会研修に来ている。2人の学生が後ろの席で熱心に聴いてくれた。終わったところで感想を聞くと、「落語をナマで聴くのは初めて」「落語ってすごいですね。楽しかった」と言ってくれた。

 二席続けて演じると、さすがにくたびれるが、それを癒してくれるのが客の笑い声。顔なじみの職員がいつものように車で送り迎えをしてくれた。

 あの学生たちが落語を好きになってくれるとありがたい。落語は楽しいよ。嫌なことはみんな忘れる。

 世の中の人が、落語の長屋に出て来るような、熊さん、はっつあん、大家さんなら、どれだけ楽しいことだろう。

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