湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

明/暗の詩パート2

2020-08-17 18:21:31 | オリジナル
共通テーマ「明/暗」でTが書いた詩を投稿します。

願い

きょう
背骨はかすかに左に曲がっていた
さらにつぶれかかった部分も
明るく白く写真に浮き出ている
自分の生をこれ程消費しただろうか
痛みは注射でおさまった

今の私が二十歳だったら
正確に道を選んで歩き出していただろう
研究室で探求心を満足させ
車を乗り回し
あるいは病人に寄り添う
そんな仕事もできたかもしれない
二十歳の時の私は
羽化することだけを考えていた
私が私になることに必死だった


つぶれかけた骨の影に
まだ目覚めていない種がありはしないか
私の肉をやぶって発芽する
その痛みになら耐えられる
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の蝉・秋の蝉

2020-08-16 17:54:07 | 文学
今朝のNHK俳句でやっていましたが「蜩(日暮、かなかな)」は秋の季語。あと「つくつく法師(法師蝉、つくつくし)」もね。
それに対して「蝉(油蝉、みんみん蝉、にいにい蝉、熊蝉など)」は夏の季語。鳴き出す時期や音色で、夏と秋に分かれるんですね。
夏蝉句 蝉時雨止みそびれたる驟雨かな
秋蝉句 かなかなとこみあげてきし別れかな
日本の微妙微細な季節感、出せたかな?
では、それぞれの季節の蝉の名句を。
夏蝉句 
蝉の羽化はじまつてゐる月夜かな 大野崇文
油蝉死せり夕日へ両手つき 岡本眸
夜の蝉人の世どこかくひちがふ 成瀬櫻桃子

秋蝉句
たつぷりと鳴くやつもいる夕ひぐらし 金子兜太
蜩や村に伝はる神隠し 松本健
かなかなかなかなやうやく米買ひに 種田山頭火


空蝉(蝉の殻、蝉のもぬけ)は夏の季語です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猛暑苦笑俳句

2020-08-15 09:32:21 | 文学
夕方になっても海岸へ行っても、まだ暑~い

苛つひてゐる人に遭ふ夏の浜
こんな時は暑い日を笑っちゃうような名句を鑑賞して、イライラモヤモヤを解消だ!
同じ女がいろんな水着を着るチラシ 北大路翼
ほらごらん猛暑日なんか作るから 中原幸子
工場体操わが影若き技師に踏まれ 細谷源二
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明/暗の詩パート1

2020-08-13 18:27:02 | オリジナル
共通テーマ「明/暗」でAが書いた詩を投稿します。

さあどうする暗闘編
闘う
逃げる
どちらも格好悪い
挑んできた相手も長期戦のつもりはない
だったら互いにスルーだ
決着をつけないまま擦れ違った後
行うべきは戦後処理の実務
敵情の分析(推測)
存在の忘却(無視)
速やかに行わなければ
指殺人の完遂
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

団扇の俳句

2020-08-12 17:39:07 | 文学
前代未聞! 森戸神社の手水舎に水と柄杓がありません。代わりに次亜塩素酸水のスプレーボトルが置かれています。

それにしても暑いですね~。夏の季語「団扇」でAが詠んだ句を投稿します。あおいでも熱風が来るだけですけど。
煤けたる離れの厨の団扇かな
黒竹の団扇立ある西洋館
応援の文字一字ずつ白団扇
広告の美男揺れてる団扇かな

4句目が小笠原学園俳句入門で講師本選に入った作品です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

益/害の詩パート2

2020-08-10 23:20:09 | オリジナル
共通テーマ「益/害」でZが書いた詩を投稿します。ヤブカンゾウの写真もZの撮影です。



今年の正月は 暖冬だった
地面浅く 産み落とされた あいつの卵
冬の暖かさに 守られたバッタの卵
春が来たとたん
いっぱい いっぱい出てくるわ 
小さな 大きな バッタども
農薬なんか ものともせず
芋の葉を食う バッタども
今年の秋には どうなることやら

雪がなかった今年の正月
落ち葉にくるまれ生き残った 小さな 黒い虫
春が来たとたん
コナラやクヌギに 穴開けて卵を産み付けた
おかげで 秋でもないのに コナラの葉っぱは まっ茶色
若木より 老木が好きな 木喰い虫
今年の秋まで 何本立ち枯れするやら

氷がなかった今年の正月
サーズ マーズから変態した 疫病ども
お薬なんか ものともせず
春を待たずに ゲリラ毒雨となり 
私の町に 落ちてきた
やんだと 思ってみたが
いつの間にか 湿った霧になり この町包む 疫病ども
今年の秋は どうなることやら
暦はすでに立秋過ぎた
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぼんぼり祭の五七五

2020-08-09 21:30:44 | 日記
さまざまな行事が中止になる中、全くいつも通りとはいかないものの鶴岡八幡宮のぼんぼり祭は開催されたので、最終日実朝祭の今日、行って来ました。

毎回庵野秀明監督のぼんぼりに人だかりができがちなのですが、密を避け俳句が記されたぼんぼりを中心にチェック。
星野立子の娘さん、星野椿のぼんぼり↓
 
星野椿の息子さん、星野高士のぼんぼり↓

鎌倉で高浜虚子の遺伝子が脈々と受け継がれてます。

↑こちらは10年前に逗子市民栄誉賞を受けた岡田武史さんのぼんぼり。
悪疫退散的な内容がいくつも見受けられた今年のぼんぼりの中で、ユニークさ際立つ時事吟川柳的な五七五でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

益/害の詩パート1

2020-08-08 16:43:31 | オリジナル
共通テーマ「益/害」でAが書いた詩を投稿します。

麦を刈る

組織勤めはもう嫌だ
あれは収穫作業ではない
害をもたらす人間関係だ
しかし少しは利益がなければ
自由が自由を勝手に放擲する
餌を獲れなくなったら
持ち時間はゼロになる

一日ずつ人生が減っても
欲は簡単に減らない
靄のような飢えが
袋のような身体の穴から
絶えず少しずつ漏れて出る
事務仕事は苦手だ
久しくやっていないが
刈り取るために
仕方なく遂行する

枯淡の境地が称揚されるのは
珍奇な故に他ならない
蜩の声のなか
普通に枯れる準備を
少しずつ、少しずつ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

俳句推敲チェックポイント

2020-08-07 17:23:07 | 文学
小川軽舟「ここが知りたい!俳句入門 上達のための18か条」を読みました。
その中にある推敲のチェックポイントをご紹介します。
1 相手に伝わる内容なのか
2 説明が不足していないか
3 見せるポイントは鮮明か
4 季語は適切か
5 切るか切らないか
6 言い過ぎていないか

こうして内容のチェックができたら、最後に調べをととのえて完成!
ポイント3の例として、虚子の次の句が挙げられています。
原句泳ぎ子の濡れて戻りて物探す→完成形泳ぎ子の潮垂れながら物捜す
「潮垂れながら」に変えたことで、具体的かつ鮮明に。
季語を入れた五七五になったところで作り終えたことにせず、よりいい句にするために推敲しなくては
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

立秋俳句

2020-08-06 16:00:25 | 文学
今日は小笠原学園の俳句教室でした。夏真っ盛りですが、今年はもう明日が立秋。兼題「立秋」で詠んだAの入選句を投稿します。
失態の夢から覚めて今朝の秋
秋立ちて信号灯の黄に変はり

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする