湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

音の詩パート2

2016-07-11 10:29:01 | オリジナル
共通テーマ「音」でTが書いた詩を投稿します。

砥石

物置の奥から出て来た砥石
スー スー スー と音が聞こえてきた
父が包丁を研いでいる
水をかけながら
研いては指先で刃先に触れ確かめている
「痛くない?」
私が聞く
「大丈夫だよ」
父は笑って今度は刃先を水平に眺めている
夏の陽が刃先に宿って光っている

いつの夏だろう
指が切れないだろうかと真剣に心配している
私は五才だ
それから三十回の夏があり
今年は父が亡くなって三十三回忌だ

すっかり忘れ去っていた砥石で
私も包丁を研いでみる
水をかけて刃先をおさえ 引いて押すと
スー スー スー と音がした
激しい陽ざしの下
私の影は父の影に重なっていた

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日本のムーミン谷

2016-07-09 18:36:27 | 旅行
この間の日曜日に電車で行ったムーミン谷。

いすみ鉄道の車窓から撮った写真です。池のほとりなので、ミイはフィッシング中。

お花畑の中で仲良く平和に暮らしているムーミンたちが、花の中を平和に走るいすみ鉄道のイメージにぴったり!
というだけでなく、昭和時代にテレビアニメの「ムーミン」を見て育った女性層を呼び込んで存続をめざす!
という切実な思惑もあって2009年に導入されたラッピング車両です。
当日私たちが乗ったのはムーミン列車ではなく昭和の国鉄車両レストラン・キハのスイーツ&ワイン列車。
は気動車(ディーゼルカー)のキ、はイロハのハで3等車という意味だそうです。

現役で頑張る貴重な車両のボックス席に取り付けられたテーブルで、大原駅13:52発~上総中野14:56着の間チーズとワインと景色を堪能しました。
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葉山呑み&形の詩パート1

2016-07-08 10:00:15 | オリジナル
金曜日だと混みそうだから昨日の木曜日中にずし呑みチケット使い切りました。今回から加わった葉山のお店もぜひチェックせねば!
ということで海人市場へ。
道路から入口が見えないので躊躇していたのですが、中は広くて店員さんは気さくで珍しい魚メニューがいろいろあるいいお店でしたよ。
 ずし呑み酒肴 サメのフライORアジの生ハム。
ごちそうさまでした。
では、新しい共通テーマ「形」でAが書いた詩を投稿します。

まえとうしろ

あなたとわたし
正反対に見えるけど
以前の世界では
同一人物だったの
わたしが鎖骨であなたが肩甲骨
わたしがバストであなたがヒップ
長い尻尾をしならせて
前に回してくださいな

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ランチ逗子呑み&詩の区分

2016-07-07 14:18:04 | 
ずし呑みうみ呑み葉山呑み始まりました。昼間から麺屋二郎で早速チケット使っちゃってるぅ~。
 鹿児島風あっさりとんこつラーメンです
今年の参加店舗は逗子65店・葉山13店・海30店です。夜はドコ呑みに行こうかな。

話変わって、忘れない内に昨日の鎌倉文学館資料解説講座の復習をしておきます。
詩は世界最古の文学かつ文学の最高峰と言われています、世界的にはね。
しかし日本には漢詩・和歌・俳句(花鳥風月や抒情をうたう定型詩)とは違う詩というものが明治時代になるまでありませんでした。違う詩歌を目指そうとしたのが、明治15年に刊行されたアンソロジー「新体詩抄」です。
ここから短歌に対して長詩という、日本のの歴史が始まりました。しかし17音とか31音では終わらない自由な長さであるにしても、この頃の詩は韻律・文語・七五調を備えたものでした。島崎藤村や北原白秋は文語自由詩に区分されます。明治41年頃から口語自由詩が芽吹き、高村光太郎「道程」(大正3年)萩原朔太郎「月に吠える」(大正6年)という、私たちにも読みやすい口語自由詩の名詩集が生まれ、近代詩が完成したのです。
さあ、もうちょっとで私たちがやっている現代詩に辿り着くぞ。しかし日本の詩の発展ってやっぱり、ややガラパゴス的ですね。

日本の詩はその歴史が始まって以降、明治26年頃~の浪漫派、明治38年頃~の象徴詩、昭和8~19年頃の四季派などといろいろカテゴリー分けされてきたけれど、今現在の日本の詩は後世にナントカ派とかナントカ詩などと区分されるのでしょうか?と、講師を務めた文学館職員さんが言ってました。
中二病派? 孤立派? 逃避派? 虚無派? 内面派? 自虐派? バーチャル派? メンタル詩? 境界詩? イヤポエ? ロスジェネ? 分裂期? 衰退期? 終末期?  
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鎌倉の詩人たち講座

2016-07-06 21:01:23 | 
今日は鎌倉文学館で行われている特別展「生誕130年 萩原朔太郎 マボロシヲミルヒト」に行ってきました。

常設展・特別展を観覧してから事前に申し込んでおいた「資料解説講座 鎌倉の詩人たち」を聴講。文学館職員が収蔵資料を見せながら鎌倉ゆかりの詩人たちにからめて明治から現代までの詩の歴史を講義してくれました。講義に登場した詩人たちは以下の通りです(ほぼ時系列順)。
島崎藤村 与謝野寛 与謝野晶子 蒲原有明 北原白秋 高村光太郎 萩原朔太郎 日夏耿之介 尾崎喜八 室生犀星 野口米次郎 堀口大學 西脇順三郎 三好達治 中原中也 津村信夫 高見順 田村隆一 三木卓 城戸朱理
三木卓・城戸朱理のお二人は今現在鎌倉で生活しています。

文学館の庭にはまだ薔薇がいくらか咲いていました。
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音の詩パート1

2016-07-05 23:07:19 | オリジナル
新しい共通テーマ「音」でAが書いた詩を投稿します。

私たちの聴覚

メロディが聞こえない
最初から疲れてるダンス
紙鍵盤にそっけなくはねかえされる指
君に私の苦悩はわからない
皮肉な口調も余計なBGMも
一切の雑音を受け取らずに済む
尻尾のない尾骶骨みたいな君の耳

君は方向を失った感覚器官
方違えで外出した途端
足がもつれて転んでしまう
差し伸べられた手を握る
紙よりも確実な感触と温度
心拍で直に感知する歓び
!方位除けをしてよかったじゃない!
電線にとまった椋鳥たちが讃える

鳴き声 話し声 靴音 エンジン音 拡声機
街中のうるさいやつらを追い払おうと
私は尻尾を振り回し
尻尾に振り回されて倒れ
鳥たちの嘴で突かれ糞をかけられる
毒々しい濁音で流れる
自分の血がうるさくて涙する

君は無言で微笑んで
ある方向を指し示し
ズボンをはたいて歩き出す
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脈々と

2016-07-04 13:25:12 | 
昨日房総半島で昭和な電車に乗ってきました。逗子を午前8時台に出て午後8時台に帰着した日帰り千葉旅の詳細は後日報告します。

では、先日の合評会で下記の詩について話し合ったことを投稿します。

幼年への道  

人間にきびしい思いを
抱く時
ひっそりとあかるく
静かにわたしの絵が浮かび上がる

父がすわっているのは
ピアノの椅子だ
ピアノは伯母さんが八百屋さんをして
キクちゃんのために買ったのだ
バクダンが落とされるかもしれない
伯母さん一家が
わたしのうちに住んでいる
子供にはややこしい話だ

わたしはうそをついてしかられている
おとうさんの目をよくごらん
と父はいっている
涙が流れている

:作者の弁 :評者の弁
「命脈」をテーマにすると通常は未来へ命が続いていくことを考えるはず。過去に繋げていった視点がユニークだと思いました。
物事の考え方を親から受け継いでいることを書いた訳です。
 真中の連に、幼い私には不条理だった事を入れました。当時よく分からなかった状況を、作品の中でどう料理するかが難しかったです。
ピアノと一緒に伯母さん一家が疎開してきていたんですか。
そうなんです。でもピアノは鳴っていない。人々は爆撃を恐れあまり外に出ずひっそり暮らしている。
 私にとって戦争の音は無音なんです。なので1連目の「あかるく/静かに」は絶対に削れない箇所です。 
不気味な明るさ・不気味な静けさですね。
そういう環境の中で他愛のない嘘をついて私は父に叱られました。
 あの忘れられない光景を1枚の絵のように心に呼び出せば、許せない相手がいても裁いてはいけないと思えるのです。
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7月合評会パート2

2016-07-02 08:33:17 | 
仲町橋付近の川面を撮影
7月9日(土)14:00~ここの逗子教会でオルガンコンサートがあります。
クラシックの世界ではパイプオルガンを「オルガン」と呼ぶことを、去年ここのオルガンコンサートに初めて伺って知りました。地域の方どなたでも入場できますよ。

さて、昨日は7月定例合評会でした。またも全ての作品を合評しきれず、パート2を開催することになりました。
7月合評会パート2は7月15日(金)14:00~です。取り上げるのはH・T・Aの「成熟・命脈」の詩です。
8月の合評会は8月5日(金)14:00~です。新しいテーマはです。新テーマの詩の締切は8月3日(水)です。
メンバーの皆さんよろしくお願いします。
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命脈の詩パート7

2016-07-01 00:00:59 | オリジナル
共通テーマ「命脈」でHが書いた詩を投稿します。

命脈

我らには受け継がれてるのか

大事にしすぎても消えていき
守らなければ
もっと早く消えていく

我々が何処から来たかなんて考えている間のない日常
一番大事な根源

ただやればいいと言う大人に
ただ何をやればいいと聞く
とにかくやればいい
命令ですか
人生の先輩の言うことを聞くことが当たり前だ

お陰で未来の分子は自らを問うことなく
命脈という言葉は亡骸になった

まだなお心に刻まれていると言う

楽観主義はもう沢山
世の中には亡骸になった言葉が溢れている

何もなくなった時
新たな命は芽生えるか

知る由もないが
地球の命脈が途絶えない限り
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