井上靖はTが好きな詩人のひとり。小説家としてしか認識していなかったけれど、詩集もこんなに出していたんですね。
井上靖全集第一巻口絵より
「北国」から一篇引用します。
十月の詩
はるか南の珊瑚礁の中で、今年二十何番目かの颱
風の子供たちが孵化してゐます。
やがて彼等は、石灰質の砲身から北に向つて發射
されるでせう。
そのころ、日本列島はおほむね月明です。刻一刻
秋は深まり、どこかで、謙譲といふ文字を少年が
書いてゐます。
井上靖全集第一巻口絵より
「北国」から一篇引用します。
十月の詩
はるか南の珊瑚礁の中で、今年二十何番目かの颱
風の子供たちが孵化してゐます。
やがて彼等は、石灰質の砲身から北に向つて發射
されるでせう。
そのころ、日本列島はおほむね月明です。刻一刻
秋は深まり、どこかで、謙譲といふ文字を少年が
書いてゐます。