湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

ピアノコンクールと小説新人賞

2017-03-08 02:07:53 | 文学
恩田陸「蜜蜂と遠雷」をTに借りて読みました。
出場者や審査員の複数視点でしっかり書いてあって、ピアノコンクールってこうなんだ~というのがよくわかる小説でした。

小説新人賞との類似点を分析している箇所があって、そうだよね~大変だよね~と頷いちゃいました。 

 ホラ、似てるじゃない、コンクールの乱立と新人賞の乱立。同じ人が箔を付けるためにあちこちのコンクールや新人賞に応募するのも同じ。どちらも食べていけるのはほんの一握り。自分の本を読ませたい人、自分の演奏を聴かせたい人はうじゃうじゃいるのに、どちらも斜陽産業で、読む人聴く人の数はジリ貧。
三枝子は苦笑した。クラシック音楽のファンは世界的に高齢化が進み、若いファンの獲得はこの業界の切実な課題である。
 真弓は続ける。
 ひたすらキーを叩くところも似てるし、一見優雅なところも似てる。人は華やかなステージの完成形しか目にしていないけれど、そのために普段はほとんどの時間、地味にこもって何時間も練習したり原稿書いたりしてる。
 確かに、ずっとキーを叩いているところは同じだ。三枝子は同意する。真弓の声が、自虐的な響きを帯びる。
 なのに、ますますコンクールも新人賞も増えるいっぽう。いよいよみんな必死に新人を探してる。なぜかっていうと、どちらもそれくらい、続けていくのが難しい商売だからよ。普通にやってたって脱落していく厳しい世界だから、常に裾野を広げ、新しい血を輸血し続けていないとすぐに担い手が減ってしまい、パイそのものも小さくなる。だから、みんながいつも新たなスターを求めているの。

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3 コメント

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Unknown (神崎和幸)
2017-03-08 10:19:31
おはようございます。

自分も「蜜蜂と遠雷」読みましたよ。
審査員ひとりひとりの想いや人生が繊細に描かれているところが良かったです。
そのうえ音楽をこのように表現できるなんて本当にすごいと思いましたよ。

確かにピアノコンクールってこうなんだというのがよくわかりますよね。
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Unknown (A)
2017-03-14 15:40:54
神崎さん、コメントありがとうございます。ほかの音楽を扱った作品でTのお勧めは、竹宮恵子「変奏曲」とアガサ・クリスティーの「愛の旋律」です。「愛の旋律」はミステリではないのだそうです。
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Unknown (神崎和幸)
2017-03-15 08:58:52
アガサ・クリスティーの作品は結構読みましたよ。
ですが「愛の旋律」は読んだことがありません。
ですので読んでみたいと思います。

竹内恵子さんという方は初めて知りました。
あとでチェックしておきます。
情報ありがとうございます!
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