共通テーマ「猿」でAが書いた詩を投稿します。
猿とドーム
Ⅰ 今日の猿山
今日の猿山の頂上は
高くそそり立っている
遠く尖った頂きめざし
この春生まれた子猿が
はしこく登っていくのを
コンクリートの地面から見上げる
他人から見られていることを
意識したら駄目だ
一匹の雌猿から生まれてきたとき
何を命ぜられたのか
意識したら敗北だ
今日の猿山は温暖でまどろみを誘う
意識が蒸発していく
網目のドームの上空に
大気を不穏に揺るがせる音と
金属の反射が溶けている
Ⅱ 猿山の今日
コンクリートの床と壁を
覆うドームにつかまって
毛色の錆びた鉄
顔色の薔薇を見ている
一族が毎年交合し生殖する
人工の山の暮らしの方が
たいらでまどかな社会だ
網目のドームの上空から
僕を狙って飛んでくる
大気を不穏に揺るがせる音が
金属の胴体が反射する冷気が
僕の躰に網目が捺されていく
僕はドームの外で飼育されている
猿とドーム
Ⅰ 今日の猿山
今日の猿山の頂上は
高くそそり立っている
遠く尖った頂きめざし
この春生まれた子猿が
はしこく登っていくのを
コンクリートの地面から見上げる
他人から見られていることを
意識したら駄目だ
一匹の雌猿から生まれてきたとき
何を命ぜられたのか
意識したら敗北だ
今日の猿山は温暖でまどろみを誘う
意識が蒸発していく
網目のドームの上空に
大気を不穏に揺るがせる音と
金属の反射が溶けている
Ⅱ 猿山の今日
コンクリートの床と壁を
覆うドームにつかまって
毛色の錆びた鉄
顔色の薔薇を見ている
一族が毎年交合し生殖する
人工の山の暮らしの方が
たいらでまどかな社会だ
網目のドームの上空から
僕を狙って飛んでくる
大気を不穏に揺るがせる音が
金属の胴体が反射する冷気が
僕の躰に網目が捺されていく
僕はドームの外で飼育されている
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