共通テーマ「氷」でAが書いた詩を投稿します。
酸っぱいシロップ
新鮮な果実のソースが売りものの
夏だけ開くかき氷店の行列に一時間並んで席につくと
ほとんどのメニューが売り切れている
食べたかった果実と違うものしか選べない
いや これは選択不可能ということだ
食べたいと思わなかったものしかない店のテーブルで
思っていたのと違う酸っぱいシロップを
味わう気にもなれずに口に運ぶ
口中はただ冷えていく
選ぶのに時間がかかっても
悩みながら選んだ末に後悔しても
選択肢がほしかった
などと言っていられるのは
戦争が七十八年間起きていない国に住んでいるからだが