共通テーマ「虫」でAが書いた詩を投稿します。
色のない蝶
色のない春であった
持たされた買物籠の底に
少しの銭が入ったがまぐち
水蒸気が立つ黒く太い道に
シジミ蝶が群れる帰化植物
そこだけが切実に動いている
買物籠の底が地面につかぬよう
畦道にしゃがみ
膨らませた掌の中に捕えると
シジミ蝶の小さな羽は
思いがけない強さで
硬く掌を叩く
羽ばたきの速さに
追いつこうとするように
鼓動が早まって
耐え切れず両手を開く
黒い道は急な上り坂になり
灰色のアスファルトに出る
その先が小さな商店街だった
色のない蝶
色のない春であった
持たされた買物籠の底に
少しの銭が入ったがまぐち
水蒸気が立つ黒く太い道に
シジミ蝶が群れる帰化植物
そこだけが切実に動いている
買物籠の底が地面につかぬよう
畦道にしゃがみ
膨らませた掌の中に捕えると
シジミ蝶の小さな羽は
思いがけない強さで
硬く掌を叩く
羽ばたきの速さに
追いつこうとするように
鼓動が早まって
耐え切れず両手を開く
黒い道は急な上り坂になり
灰色のアスファルトに出る
その先が小さな商店街だった