湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

虫の詩パート4

2017-04-20 12:22:15 | オリジナル
共通テーマ「虫」でAが書いた詩を投稿します。

色のない蝶

色のない春であった
持たされた買物籠の底に
少しの銭が入ったがまぐち
水蒸気が立つ黒く太い道に
シジミ蝶が群れる帰化植物
そこだけが切実に動いている

買物籠の底が地面につかぬよう
畦道にしゃがみ
膨らませた掌の中に捕えると
シジミ蝶の小さな羽は
思いがけない強さで
硬く掌を叩く
羽ばたきの速さに
追いつこうとするように
鼓動が早まって
耐え切れず両手を開く

黒い道は急な上り坂になり
灰色のアスファルトに出る
その先が小さな商店街だった
コメント
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