湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

浮かぶの詩パート1

2017-04-05 10:07:09 | オリジナル
新しい共通テーマ「浮かぶ」でAが書いた詩を投稿します。

浮袋

注いでいた弱い光は
気がつくと消えていた
水圧におされている
わたし 沈んでいる
浮袋をふくらませた
上手に操れないけれど  

闇に醜く溶ける水
――そのなかにいたら
  歌えないよ
  刃物を 縄を 薬を
  置いて行くんだよ――
寒いのか 怖がりなのか
わたしの浮袋が震えている

消えた光や温度を
哀れんでいる余裕はない
方向がわからないけれど浮上する
刃物が 縄が 薬が
水底で揺れている

心地の悪いジャズの音階で
小さな魚が群れ
大きな翼の影が素早く差す
まだ制御できない浮袋が
震えながら光った
ぐらついているけれど わたし
泳いでいる
コメント
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