湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

浮かぶの詩パート4

2017-04-16 00:00:03 | オリジナル
共通テーマ「浮かぶ」でTが書いた詩を投稿します。イラストもTの作品です。

新しい命

満開の桜が風に舞い始めた日
物置の奥にしまい込まれた木馬を出した
埃まみれで
子供たちがマジックで描いた落書きがたくさん残っていた
陽の目を見るのは三十五年ぶりだ
たわしで埃を洗い落とし
二日(ふつか)ほど風にあてた
紙やすりで落書きや汚れをこすり落とした
リビングに置いてみると
夫婦二人の萎んでいくだけの時間が
急に膨らみはじめた

 笑っている男の子が目に浮かぶ
 来年の今頃は木馬に乗っているだろう

時々触れながら まだ磨いてみる
無垢の木馬は
もう真新しい日常を乗せて揺れている
コメント
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