湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

こぼれるの詩パート4

2016-11-22 12:38:59 | オリジナル
昨日投稿した逗子開成ばなしの続きじゃないけど、逗子開成の銀杏並木です。

では、共通テーマ「こぼれる」でAが書いた詩を投稿します。

石ころ

発情期でもないのに
猫が闇で騒いでいる
朝になって裏庭に出ると
掌に入るような猫が
生ごみの穴にかけた波板の上で
丸くなって陽を浴びていた

あれは
きれいな石ころみたいな柄の
この子を守るために
母が敵を嚇す声だったのだ
なにかあれば
すかさず飛び出そうと
ナイフを含んで
私を見ているに違いない
母猫の
溜め込んだ傷痕

温かい石ころを舐める舌
名前のない子猫の
眼前にひらけていく
危険と光に満ちた世界に
秋がこぼれている
コメント
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