湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

小説の基にした詩

2016-11-13 23:01:04 | オリジナル
不確かな現実を生きている感触がある
よく分からないがそれがチャーミング
全体として魅力がある

今年の第46回神奈川新聞文芸コンクールで入賞したAの短編小説に対する山田太一さんの評です。

分からないことが魅力になるのは小説よりむしろ現代詩。以前書いた詩をベースにして書いた小説だったからかな。
それはこんな詩でした。

海山ドッペル

―ねえ、あなた昨日近所の山に登ってなかった?
―君、先週海で泳いでたでしょ
―そうそう、よく海とか山にいるよね
どれも私じゃございません
他人の空似でございましょう

ドッペルゲンガーを見たら死ぬのだそうだ
自分と全く同じ人間とはこの世で共存できないのだ
双子だって一生懸命互いに差別化する
キャラとルックスがカブったら片方が消えるしかないのだ
違う感覚、価値観、人生観、生い立ち、癖、趣味、センス、好み、言葉遣い、顔、声、動作
つまりは違和感のある人々に囲まれて
違和感隠して無難に接して
その気持ち悪さを振り切れないまま
死ぬまで生き続けるしかないのだ

この瞬間にドッペルゲンガーが現れてくれないかな
この人生を今すぐ交代してくださいよ
私は海か山の上空によろこんで消えますから
コメント
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