575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

さくらんぼ青絵に競へ遊亀(ゆき)の鉢  結宇

2018年06月26日 | Weblog

青絵とは、青を主調とした顔料で上絵付けをした陶磁器。
遊亀は、日本画の小倉遊亀(おぐらゆき)さん。
大津市の生まれで、安田靫彦に師事。
上村松園とともに日本を代表する女性画家だそうです。
小品に陶磁器の小鉢に果物を盛ったものが多くあります。

こうした知識を得たうえで、句を読んでみました。
主語は「さくらんぼ」。動詞は「競へ」。
遊亀の絵のような青絵と、美しさを。

さくらんぼは、遊亀の描く青絵のような鉢に置いたら、
美しさも際立つことだろう、という句と読みました。
作者の意図とはズレているかも知れません。
絵といえば、こんな句をみつけました。

  絵の中に雨音が消え額の花  北村美都子

額の花の咲いている雨の美術館でしょうか。
絵に熱中して雨音が気にならなくなったのでしょう。
多分、そういう体験を踏まえている句ですが、
絵の中に雨の音が消えていった・・・という表現には、
不思議な感触がありませんか?  遅足

コメント
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