「ロックンロールは、決して死なん!」
そんな陳腐なセリフを何の恥じらいもなく
高らかに歌い上げる男・・・
それがニール・ヤングであった。
この「ナゾのカナダ人」を
我々は「猿人」と呼び
ある男は「ゴリラ男」と呼んで、
「敬愛の情」を惜しみなく注いでいた・・・。
特に「あの頃の彼」には!
久々に彼について書く為には
改めて見ておかなきゃならん映像が有る。
もちろん傑作ライブ映画
「Rust Never Sleeps」
(78年10月22日のサンフランシスコ公演)
に他ならない。
今見ると「さすがに若さ溢れるニール」だが
「特殊な声」と「独自の音楽観」は
この時代、すでに出来上がっており、
代表曲満載だけに「ベスト集」作品としても
色褪せずに楽しめる。
ココでは不思議な演出の中
何も変わらず「自分らしく歌う」彼の
まさに「人間離れした猿人っぷり」が見事であり
もう「素晴らしい・・・」の一言に尽きる。
お得意の「アコースティック・ギター」や
「ピアノ」での「美しい弾き語り」から
クレイジー・ホースを従えて繰り出す
「感性に任せた、あのエレキ・ギター」まで・・・
これぞ「ニール・ヤング印」がバッチリと押された・・・
そんな名演集がグイグイ響き、心地イイ。
惜しみなく繰り出される・・・
そんな「彼の代表曲の数々」には
「何か特殊な香り」がする・・・
コレは一体、何(なん)だろうか?
「人生の憂い」や「哀しみ」そして「儚(はかな)さ」
がグッと迫り来て、心を離さない。
ガンガンと鳴り響くエレキ・ギターは
「どこか寂しく」しかも「哀しいほどに美しい」のだ。
そのことが如実に現れる部分がある。
なんだか分からない小芝居の中
ギターのフィードバック音と共に
あの「Like a Hurricane」のギターイントロが始まる・・・
もう胸を打たずにはいられない。
この曲でニールは永遠とギターを弾くのだが
彼のハードエッジな音色は、
独自過ぎる「メロディ満載のソロプレイ」により
「美しく儚いもの」へと変化し、
「永遠と聴いていたい・・・」
そんな衝動に駆られるんだ。
ココからは俺の主観だが
「彼ほどのギタリストは他に存在しない!」
と今は思う。
何度も書くが幼少記、俺のアイドルは勿論
「エリック・クラプトン」
であった。
しかし、20歳くらいの時
俺は2人のギター弾きにKOされてしまった。
ひとりは「ジェリー・ガルシア」
そして、もうひとり・・・
言わずもがな、この「ニール・ヤング」だ。
それはそれは、本当に強烈だった。
「フレーズの積み重ね」ではなく、
メロディを高らかに、
そして「永遠に弾く彼ら」こそ
「ギターの可能性を知り尽くした男達」
に他ならない。
余談だが
俺は彼の音にヤラレタ直後のステージで
1度だけ「カントリーホーム」の「クレイジーホースVer」を
高らかにコピーしたことがある。
エレキを目一杯ヒズマセて
「ニール気取りで悦に浸っていた・・・」
ただ、それだけだったのだが(笑)。
そんな1度きりのライブでオーディエンスから
「イエス!ニール・ヤング!」
と
「野太い男の声」が後方から飛んだことを
今でも鮮明に覚えている。
そう、ニール・ヤングとは
「男の中で生き続ける男」
なのだ。
さて本作を観た方なら、もうお気付きだろうが
とは言え彼は「メロディを何よりも大切」にする。
アコースティック・ギター
ピアノ
エレキ・ギター
と出し方こそ変えて来るものの
基本は全て同じで、
「歌を大切にする」人である。
ソレはショーの最初で
「ジミヘン」から「ビートルズ」へ流れる・・・
そんなSE展開が、全てを物語っている。
同時期のビートルズやジミヘンの影響を
完全に自分のモノとして、
「ニール・ヤングの音楽」を創り上げた・・・
そんな彼の功績は大きく、不滅である。
影響はもっとワイド・レンジだが
「グレイトフル・デッドの音楽」
にもコレと共通する部分が多い・・・。
そして、あえて白状すると
俺は「ニール・ヤングの音楽」を理解した後
ZEPとかは聴かなくなった・・・
勿論「盤チェック」の為に、
仕事では今も聴いてはいるが
元々ジミー・ペイジに
それほど心酔しているわけでもない俺は
分業制の彼らに興味はなくなった。
ただ、誤解無いように言うが
「ZEPを聴かなきゃ、良いバンドは出来ません!」
コレは当然の話で「クレイジー・ホース」ではダメなんだ。
ただ、俺個人が「音楽として、今でも積極的に聴くもの」
ってなると、ニール・ヤングとなるだけ・・・
のお話です(笑)。
さて、ニール・ヤングに話を戻すと
彼は「ひとりでもスゴイ」でしょ?
もう「伴奏と歌だけでも十分」なワケ。
今や、こー云う人って少ないよね。
他ではボブやポールくらいじゃないかな。
彼のこのステージからは
彼が「如何に人の目を気にしない男」なのか!
ということが存分に分かり、
きっと多くの人にとって
「生き方のヒント」
となるハズである。
そんな「自然体の魅力」
(ココが猿人と呼ばれる部分だが・・・)
を多いに感じる本作は
音楽ファンならずとも、必見なのだ!
ちなみに
ボブが彼やジェリーに憧れたのも
「この自然体な部分」に他ならず
今ではボブも「わが道を行く・・・」
そんなナチュラリストとなったわけです。
だからこそ日替わりだった頃のボブ・ライブには
俺たちも「特にシビレタ」わけですよね!
ちなみに俺が
「ニール・ヤングとクレイジーホース」
の生ライブを観たのは97年頃・・・
コネチカットでの素晴らしいライブを経験した。
余りに演奏が長引き、
夜行バスでNYブロードウェイまで戻ったことを
今、急に思い出した・・・。
あの頃は誰もが若かった・・・・
彼も、そして当然俺たちも、ね。
とにかく、本作を見てくれれば
俺が言いたいことが、きっと分かるよ!
とにかく、見てくれ!
《 編集長「MASH」筆 》
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