《ハウリンメガネ》
どうもどうも。今月もやって来ましたねぇ。対談企画!
{編集長「Mash」}
なんだ?なんだ?君随分元気じゃないか!
《メガネ》
コロナが大問題化している真っ最中ですが、あなたこそ、お元気ですか?
{編集長}
俺はいつも通り元気だぞ。
《メガネ》
私もね、体調は問題ないんですが、出演予定だったイベントがこの騒ぎで中止になりまして。しかもその翌日に兵庫で感染者が出たというニュースが出るという……
{編集長}
全国で色々感染者が出ているし、我が街の鎌倉では市の職員が感染者の出たヨガスタジオに複数人通っていてね…だからって、そんな心配ばかりしていたら何も出来んぞ。それこそ役所にも行けないだろ?
《メガネ》
しかしまったく、買い占めやらデマやら、嫌なニュースばっかりですね。こういう時に人間ってやつの愚かしさが剥き出しになりますな。
{編集長}
そうそう。剥き出しにするのはブッチャーの3rdステイトだけでイイ!
《メガネ》
………
{編集長}
黙るなよ!
《メガネ》
まあ兎にも角にも世間は混沌としてますが、我々は粛々と己のやることをやるしかありませんな。ブッチャー剥き出したり。(笑)
{編集長}
違う!今や剥き出さないで貼ったままの「2ndステイト」に価値が出ているんだよ!もちろん綺麗に剥き出た4人組の肉ジャケなら価値は高いのよ♡
《メガネ》
………なんのこっちゃ
というわけで、この辺で不毛な暗い話はやめにして…
{編集長}
不毛でも暗くもないぞ!俺は健全なスポーツマンだ!
《メガネ》
とにかくビートルズはちょっと置いておいて、今回はもうこの人の話しかないでしょー!
{編集長}
昨夜ポールにサインをねだる夢を見たんだ!
《メガネ》
……その人じゃありません。来日も迫ってまいりました、ボブ御大でございます。
{編集長}
ああボブね。来れるのかなぁ?
《メガネ》
ホントにボブの安全の為にもコロナが長びかないことを祈るばかりですが……来る事を前提として進めますよ。
{編集長}
いやに威勢がいいな…どうぞどうぞ。
《メガネ》
と言う訳で今回はボブの96年、ノルウェーはオスロ公演のブートCDでございます。
{編集長}
おお!コレはイイんだよ!
《メガネ》
オスロっつーとボブも文学賞を獲ったノーベル賞で有名ですな。ん?オスロで授与式やるのは平和賞だけか?ニアミスですな(笑)。
{編集長}
ボブやニール・ヤングのLiveって北欧公演やアイルランド公演に良いのが多い印象があってさ。コレもそんな内容ですな。
《メガネ》
96年っていうと、ボブのオリジナルアルバムはしばらく出してない時期ですよね?
{編集長}
ただ翌年には究極盤「Time out of mind」が出るだろう?レコーディングも始まっていただろうから、身も心も充実した時期にあったと思うぜ!
《メガネ》
ネバーエンディングツアーが始まってから5〜6年くらいの時期でしょうか。
{編集長}
89年からだから7年目かな。とにかく良い時期だね!
《メガネ》
しょっぱなの「ヒョウ柄のふちなし帽」から飛ばしてますね!別にファストとかって意味じゃなくてね、ドシッと腰の据えられたヘヴィなブルースサウンドで最初からガツン!とやってるという。
原曲がデルタブルースだとしたらこっちはシカゴブルース。
{編集長}
おお、ボブのルーツには必ずルーツミュージックが有るし、彼はブルースマンともカントリーマンとも呼べる人物だからね!
《メガネ》
続く「黒いロングコートの男」も「見張り塔〜」もえらいずっしりとした重量感のあるプレイですよね。
{編集長}
ルーツサウンドにRockが上手く味付ける!ストーンズだと逆でしょ?Rockにルーツが味付ける!っていう(笑)
《メガネ》
なるほど!そして良い音楽の基本だと思うんですがこのセットリスト、エレクトリックセットとアコースティックセットが入り交じる構成になってるんだけど、音が全部図太い。コレ基本ですよね。
{編集長}
そのトーリ!今や軽いサウンドは子供向けでしょ?ベースとドラムがしっかりタイトでラウドか!もちろんプログラミングとかは論外だね。ツマラン!
《メガネ》
おっしゃる通り、まずベースが図太くて(笑)バンドのボトムをしっかり支えてますよね。これ、トニーですよね?流石、今に至るまでボブを支えてるだけある!ドラムがローを出しすぎないセッティングにしてるからベースと混ざるとベストなバランスになってる。リズム隊のお手本みたいな音作りですよ。
{編集長}
さっきも言ったけれどベースとドラムでバンドの良し悪しは決まるんだよ。歌はもちろんだがそれと同じくらいリズム隊は重要だからさ!ギターやピアノみたいなウワモノはそんなに重要じゃあ無い。
《メガネ》
あなたいつもそう言いますな。でもギター弾きで歌手でしょ?
{編集長}
不用とは言ってないよ。「上物(ウワモノ)が大きく出てる音楽」って子供騙しなのよ。ジャズのトリオとか思い浮かべてよ。ピーターソンもエヴァンスも彼らのピアノ以外にリズム隊の音が名盤を作り上げているでしょ?ウエスもケッセルも!
《メガネ》
でもあなた、ボブのエレキも極上に気持ちいいクランチでカッコいいよ!これ、リードもガンガン弾いてるよね?ギター弾きなら憧れるのよ!
{編集長}
君ギター好きなのね?
《メガネ》
いやぁ〜 この人はやっぱりストラト似合いますね!ただ私的には表ジャケより裏ジャケの写真の方がカッコいいと思うけど(笑)。ギターを持っているのはイイ!ジョーカーウーマンのレビューでは「今回ギターも持つかも?」ってコトだし!
{編集長}
ギターって見栄えいいよなぁ(笑)
《メガネ》
「シルビオ」のゴキゲンなグルーブ!ここまでロールしてるボブって珍しい気がする。それ以降「痩せっぽちのバラッド」のゴツゴツとした音の感じとか、「追憶のハイウェイ61」の極太アメリカンロックなノリとか、全部バンドサウンドの王道!だけど、これが私のバンドでは出せないんだよなぁ……
{編集長}
おいおい君!ボブのバンドと君のバンドを一緒にしちゃいかんだろ!
《メガネ》
でもねぇ、やっぱりバンドマンはこういうのをお手本にしなきゃダメよね。聴いて聴いて聴き倒して…
{編集長}
まあソーいうことでしょ?お金出して買ってみたはいいものの「コレ何が良いんだ?」「ツカマサレタ〜」みたいな気持ちとなり「もったいないからもう一度聴こう…」みたいな流れ。気づいたら「血となり肉となっていた!」って具合。(笑)
《メガネ》
聴き放題とかじゃ得られないですね。
{編集長}
まあダメだな。スピードラーニングじゃねえんだから!(笑)
《メガネ》
Liveに戻します(笑)
{編集長}
おお。
《メガネ》
エレクトリックセットが凄く素晴らしいから甲乙付けがたいんだけど、このブートのハイライトは10分超えの「ブルーにこんがらがって」を含むアコースティックセットだと思いますな!
{編集長}
君バンド活動辞めるのか?
《メガネ》
辞めませんよ!「ブルー〜」も当然いいんだけど、「ハティ・キャロルのさみしい死」と「ホリス・ブラウンのバラッド」がイイ!もう、アコギの音もボブの声も抜群にハイロンサム!やはり、前回のボスのブートもそうだけど、アコースティックじゃないと出ない迫力ってあるんですよねぇ……
{編集長}
やっぱりバンド解散だろ?
《メガネ》
違いますって!あと「北国の少女」のアレンジ!原曲は私、ボブの曲の中でも1、2を争うレベルで好きな曲なんだけど、このライブでのカントリーに寄せたアレンジもいいですね!原曲は寂しさが際立つのが好きだったんだけど、このアレンジは明るさと寂しさが同居してる感じが別の良さを醸し出してると思うんです。
{編集長}
名曲って「どう料理しても名曲になる」のよね!ただし凄腕の料理人だけだけどな。ビートルズの「のっぽのサリー」や「ロックンロールミュージック」「マネー」なんてスコブル美味でしょ!
《メガネ》
あなたどうしてもビートルズの話に持っていくねえ。
{編集長}
俺ビートルズだから。まあボブで言えば「ローリン&タンブリン」なんてオリジナル以上にオリジナルだと思うぜ!マディへの愛が深く、音楽も進化させていると思うな。
《メガネ》
とにかくこのLive盤はボブが好きな人ならもちろん、満足の行く内容なんだけれど(笑)逆にボブを知らない人にも是非聴いてほしい!
{編集長}
デッドじゃないけれど、ボブもネバーエンディングツアー以降のLive盤で魅力が分かる人だと思うぜ!
《メガネ》
ボブってなにから聴けばいいのか難しいじゃない?もちろんどれも聴かないとダメなんだけど(笑)、物凄く多面的な人だから入り方によっては「好きじゃない」ってなっちゃう人も多いと思うんですよ。
{編集長}
なんか「フォークの神様」とか言われるべきじゃあ無いな…
《メガネ》
そーいう「アヤフヤ感がある人」にコレって凄くいいと思う。エレクトリックもアコースティックもパンチが効いてるし、近年のボブに通じるアメリカーナの要素もちゃんと感じ取れるから、もし、ボブを今回のツアーで初めて知ったって人がいたらこのブートは取っ掛かりとしてすごくいいと思う。
{編集長}
パンチが無きゃダメさ。
《メガネ》
選曲もバランスも実にいいし、観客もホットだし、ボブの音楽は決して「ややこしいもの」じゃなくて「楽しいもの」だってのがよく分かるんじゃないかな。
{編集長}
そう!音を楽しむ!それが音楽だろ?「音楽は慰めじゃなく、楽しみ」でなきゃならんよ!こんな閉塞感漂う時代において、今回の盤もボブ来日Liveも突破口になると思うぜ!
《メガネ》
コロナで来れない…なんてことが無きゃ良いですね。
{編集長}
コレばかりは「神のみぞ知る」だな。