「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

「スターマンアルチ」が放つ!「爆音レコード!45回転」〜今夜この曲をあなたに〜 (ボブシーガー編)

2019-09-26 09:30:35 | アナログ盤(レコード)

「神は僕たちの苦しみを測る概念(コンセプト)だ」

 
と、ジョン・レノンはビートルズ解散後、
最初のアルバムである「ジョンの魂」に収録された
「神(GOD)」という曲で歌っている。
 
小学生の頃、初めて聴いた時から
今でも、僕に鮮烈な衝撃を与え続けるメッセージなのですが、
僕はふとこう思うのです。
 
「幸せを測るものはなんだろう?」と。
皆さんはどう思いますか?
何をもって自分が幸せだと認識するのか…
その基準みたいなものはあるのか。
 
これには人の数だけ様々な意見があると思いますが、
僕の結論としては
「自分が幸せかどうかは自分で決める」ということ。
これに尽きると思います。
 
よく「隣の芝生は青い」なんて言いますが、
これは他人と自分を比べて判断しているわけで、
もちろん、比較した上で、
「もっと(自分は)こんな人間になろう、
 こんな人生にしよう」と努力するのでしたら良いのですが、
 
「あいつと比べて俺の人生なんて…」
 
とネガティブになるようでは意味がありません。
そして、そういう人達に限って、
謎の新興宗教だったり、うさんくさいセミナーだったり、
ろくな社会貢献もしていない
「なんちゃってフリーランス」達(もちろんそうでない方もたくさんいらっしゃいますが)に
「あなた、それで幸せなの??」と言い寄られて
足をすくわれ、
自分のテリトリーに誘い込まれたりするのです。
 
とにかく僕は昔からそういう人たちが大嫌いで、
「うるせえ!俺が幸せかどうかは俺が決めるんだよ!」
と言って顔面に一発お見舞いしたくなる。(笑)
 
やっぱり、自分自身のしっかりとした
「幸せの物差し」が無いと駄目なんだと思うんです。
もちろんそれは、経験を重ねるごとに変化していくものだとも思う。
 
なぜこんなことを言うかと言うと、
今回紹介する、アメリカのシンガーソングライター
「ボブ・シーガー」、彼の人生と言うか
生き様を見ていると、強くそう感じるのです。
 
御年74歳。ベテランの域を超え、
「大」ベテランと言って良い彼ですが、
1965年にデビューしてから永く陽の目を浴びず、
地元ミシガンでクラブやらバーで演奏をし続けていたそうです。
 
その長い下積みの末、
1976年にシルバーバレットバンドと組んでリリースした
「Night Moves」が全米チャート8位まで上昇。
 
1980年リリースの「Against the Wind」
(風に立ち向かう馬のジャケットのヤツです。良いですねえ~)
では、悲願の1位、しかも六週間に渡りその座を独占し続ける、
超の付く大ヒットを記録し、押しも押されるスーパースターの仲間入りをしたのです。
 
この時は既に35歳。
たとえば、同じアメリカを代表するロックンローラーである
ブルース・スプリングスティーンや
ジョン・メレンキャンプと比べても、随分と遅咲きなイメージがある。
 
当然、周りからは
「いつまでそんなことをやってるんだ!」
「そろそろ、まともな職に就いたらどうだ?」
なんて言われたりしたでしょう。
 
実際、ボブ・シーガー自身、
「自分より年下のバンドの前座を演って、
 そして彼らがどんどんビッグになっていくのは辛かった」
と語っていました。
 
ここで今回の盤の話をしましょう。
ボブ・シーガーの成功のきっかけとなった
1976年のアルバム「Night moves」のタイトル曲である
 
「Night moves」と「Ship of Fools」のカップリング。
 
正直、これ以前の彼の作品と比べて、
とくに音楽性に変化があったような感じはなく、
「なんでこれがいきなり売れたんだろう?」
と思うような、非常にシンプルで渋く土臭いアメリカンロックと言えます。
 
やはり「継続は力なり」ということでしょうか。
ようやく陽の目を浴びた彼のボーカルには、
ぶれない力強さを感じます。
 
当時の評価がどうかはわかりませんが、
日本での人気がいまいちパッとしないのは、
この渋さというか、音楽的な地味さと、
「カントリーミュージック的」な部分にあると思うのですが、
「しっかり抑えられたルーツ寄りの演奏」は、
今こそあえて聴いて欲しい!と思うのです。
 
ちなみに鍵盤はオルガンとピアノの2人編成。
この辺りブルース・スプリングスティーン&Eストリートバンドに共通していて良いですね。
 
B面「Ship of Fools」も、同様のミディアムテンポのナンバーで、さらにカントリー色が強く、
と言うか同時期のカントリーミュージックてこんな感じだろうな、と思うぐらい全編にわたり美しいスティールギターが響き渡る1曲。
 
目を閉じるとアメリカの草原が浮かぶような、
全ての楽器がシンプルながら溶け合った統一感があります。
 
大ヒットしてからの彼は、だんだんギターもボーカルもハードでラウドになって行き、もうスピーカーごしに彼の汗が飛び散ってきそうな迫力があるのですが、僕自身としては、アコースティックギターを基調としたこの時期の方が断然好みです。
 
さてさて、話を最初に戻しましょう。
「幸せの物差し」についてですが、
アメリカの有名なジャーナリストであり、コラムニストである「ボブ・グリーン」氏が、1980年、それこそスーパースターの仲間入りを果たした人気絶頂のボブ・シーガーにインタビューした際、こんな質問をしたのです。
 
「15年かけてようやくビッグになった今、あなたにとって、永い間執拗に追い求めてきたこの夢は、
想像通りの心地よい(Sweet)なものでしたか?」
 
すると彼はこう答えました。
 
「そりゃそうさ、最高だよ」
 
ここまでの話だと、よくあるスーパースターのサクセスストーリーです。
 
ただ、この話には続きがあります。
 
その後、インタビューを終え、
ライブが終わり人がいなくなったアリーナを出口に向かって歩いていたら、ふとボブ・シーが―が立ち止まりこう言ったそうです。
 
「いや、さっきのは本心じゃない。
 実際は考えていた程良いもんじゃなかった。
 こんなもんだとは思っていなかった。そんな気がするよ」
 
いかがでしょうか?
この彼の言葉で何を感じるかは人それぞれあると思います。

もちろん彼自身、成功を手にすることが無ければ
いつまでも夢を追い続けていたかもしれませんので、成功しなければ分からないことでしょう。
 
ただ、結局どんな成功をした人でも
夢を叶えた人でも、それが幸せかどうかなんて
本人にしか分からないのです。
 
だからこそ、
人生は「他人と比べてどうか」でなく、
「自分との戦い」なのだと思うのです。
どんな時でもぶれない自分の価値観というか
アイデンティティを持つこと。
 
まさに、ボブ・シーガーが歌う
「Against the wind(風に立ち向かう)」です。
 
それは僕がロック・ミュージックから教わったことであり、今もなお、音楽を聴き、演奏し続ける理由でもあるのです。
 
これを読んでいるあなたが、
もし「何か」を見つけられていないのでしたら、
ロック・ミュージックが、そのきっかけになれば良いなー!なんて思います。
 
まずはボブ・シーガーから初めてみるのも良いでしょう!
 
ちなみに、今回紹介したボブ・グリーンによるコラムは、「アメリカン・ビート2」という本に掲載されています。
こちらもぜひ併せてご覧くださいませ!
 
また僕が出演し熱く語った書評番組をぜひご覧になって下さい!
以下のYouTubeでどうぞ!
                 ↓
(第一回)
(第二回)
 
チェックです!
 
(企画・編集・校正・加筆リライト「Mash」)
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ゲストライター陣紹介
〈Starman☆アルチ〉
 
俺「Mash」のバンド
「マッシュルームハイ」の現メンバー
ドラム、キーボード、広報担当。

ジェリーズ軍団では
「ハウリンメガネ」
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と共に、音楽専門ライター陣
「ロック・マニアックス」
を2019年新規結成

YouTubeにup!「男のライターサミット2019夏」(第二弾!) 「フクシマン土屋」「MASH」編

2019-09-20 08:56:37 | Jerry's.tv (Jerry's映像)

昨日ご紹介したYouTube!

見て頂けたでしょうか?
当ブログの男性ゲストライター陣による
真夏のトークセッション!
 
名付けて「ライターサミット2019夏」
というイベントが行われ
その模様が映像化されたんだ!
 
白熱のライター達の思いを映像作品とした。
今日はその第二弾をupしました!
 
今回このトークセッションにおける「お題」は
「私が影響を受けた書物とそれに合うウイスキー」
ということに決まり、
各人それはそれは熱く語ってくれている!
 
第二回の今日ご登場は
「フクシマン土屋」
私「MASH」
が思いたっぷりに書籍をご紹介するぞ!
 
さあ、当店「鎌倉ジェリーズ」で行われた
「ライターサミット第二弾」を
以下のYouTubeでどうぞ!
                 ↓
 
第一弾はコチラから!
                 ↓
 
チェック!
 
(MASH)

ゲストライター達が熱く語る映像を見ろ!「男たちのライターサミット2019夏」(第一弾!) 「スターマンアルチ」「ハウリンメガネ」編

2019-09-19 11:50:19 | Jerry's.tv (Jerry's映像)

本来なら「ゲストデイ」の木曜日。

今日私が筆を取る理由は
そのゲスト達によるトークセッション
名付けて「ライターサミット2019夏」
というイベントが行われたからなのだ!
 
そしてその模様は録画され映像化!
白熱のライター達の思いを映像作品として
今日からupすることにした!
 
今回このトークセッションにおける「お題」は
「私が影響を受けた書物とそれに合うウイスキー」
ということに決まり、
各人それはそれは熱く語ってくれているぞ!
 
第一回の今日ご登場は
「スターマンアルチ」
「ハウリンメガネ」
という音楽ネタでお馴染みのお二人!
 
さあ、どんな書物とウイスキーを
彼らはご紹介して頂けたのか?
当店「鎌倉ジェリーズ」で行われた
「ライターサミット」を
以下のYouTubeでどうぞ!
 
ちなみに司会は私がやらせて頂いております!
それでは、第一弾をご覧下さいませ!
                  ↓
 
 
 (MASH)

「フクシマン土屋」の「イイトコ探訪 福島県!」(第10回) そして「飯館村」

2019-09-12 12:42:05 | 「フクシマン土屋」の「イイトコ福島県」&more

こんにちは!「フクシマン土屋」です。

 

夏も終わりですね。

残暑はキビしいけど

秋の気配がいろんなところで

感じられるようになってきました。

 

秋も楽しみな季節です。

「夏の思い出…」

みんなは何か印象に残ったことはありますか?

フクシマンは「桃」の収穫を経験できたことかな。

イベントやアクティビティの「収穫体験」ではなくて、

ガチで収穫のお手伝いをさせていただきました。

 

なので労働の対価もいただきましたよ。

現物支給の「桃」!(笑)

 

だけじゃなくてマネーもね!

 

普段は一日中パソコンの前のフクシマンには新鮮で楽しかったけど、

毎日の仕事となるとね。

まあどんな仕事もたいへんだけど

少しでもお手伝いできて、経験できて良かったです。

 

「小野農園」さん、お世話になりました!

もちろん獲れたての桃は

激うま!でしたよ

  

さて、前置きが長くなった(笑)

今日は残暑キビしい中、ふらっとツーリングに行って来た

「飯舘村」を紹介するゾ!

 

みんなは「飯舘村」知っていますか?

 

東日本大震災での東京電力の事故で全村避難にもなり、

他の避難区域と同様たいへんご苦労された村です。

 

今は一部の地区を除いて避難解除されていて、

通行止めの区間は所々残るものの、

ツーリングで行くのも問題なし!だ。

 

そんな「飯舘村」の

ふらっとツーリングに行きたくなる理由を二つお伝えします!

 

一つ目は、ふらっと行くのに距離感がいい、そして美しいんです

二つ目は、神社大好き、山も大好きなフクシマンを両方満足させてくれるんです

 

一つ目の「ふらっと行くのに距離感がいい、そして美しいんです」について

これツーリングに限らず車でのドライブにも、とても大事だと思うんだ。

ふらっと行くんだから、あまり計画的ではないじゃない(笑)

だから時間があまりかからない近場がいいんだよね。

そしてどうせなら景色の良いところを気分よく走りたい、リフレッシュにもなるしね。

 

飯舘村へはフクシマンの居る福島市の中心部からは、

だいたい1時間弱で行けるんだ。

それにこの村は

「日本で最も美しい村」連合に加盟しているんだ。

といっても、その連合とやらのことはぶっちゃけ

何も知らないし興味もないんだけど(笑) 

でも「日本で最も美しい村」ってのは

ものすごく興味がそそられてさ!

 

それを知って初めて意図的に行ってみたのが(何度も通ってはいるが目的地としては行ってなかった)2010年10月23日(土)でしたね。

記録がマメでしょ!(笑)

 

紅葉にはまだ早かったけど、きれいな所だったな~。

時間がゆっくりと流れている感じがしてさ。

まあ福島はどこへ行ってもそういう所ばかりなんだけど(笑)

 

ここは自然が多く残っていて美しいだけじゃなくて、

人の暮らしとの調和がとれた美しさが、とても印象的だったな。

 

この翌年3月に震災があり、東電の事故で5月から避難になってしまってね。

印象的だった景色は、その時を最後に見られなくなったんだ。。。

  

二つ目の「神社大好き、山も大好きなフクシマンを両方満足させてくれるんです」について魅力的な神社があるんだよね~

そこは「山津見神社」!

 

ここは社殿と本殿が別のところにあって、

まあ神社にはそういう所は多いんだけどね。

社殿はどなたでも参拝しやすい場所にあって、

本殿は実は裏の山の上にある!とかね。

「山津見神社」もそのつくりなんだ。

 

本殿への参拝は、わざわざ山を登るってところがフクシマンには魅力的なんだよ(笑)

それと、神社につきものの「狛犬」が珍しいことに

「オオカミ」なんだ、カッコイイだろ!(笑)

「白狼」にまつわる伝説とかあるようだけど、

ゴメンよくわからない。

 

「狛犬」に関しては、ここの「オオカミ狛犬」と

岩手遠野かっぱ淵の「カッパ狛犬」がフクシマンのナンバー1、ナンバー2だ!

 

それと社殿のオオカミの天井絵が見事で242枚で同じものはないゾ!

お気に入りがきっと見つかるはずだ!

首が痛くなるけどね(笑)

 

社殿へのご挨拶は本殿参拝後にして、早速神社裏の「虎捕山」山頂にある本殿を目指して登山開始!

 

そう、登山なんです、山なんです。

時間的には30分もかからないんだけど、トレッキングシューズと水分を用意してくれ。

そして道に迷わないよう注意して、木に結んであるピンク色の目印や、ロープを確認して進んでほしい。

というのもフクシマン以前に迷ったことがある!(笑)

「山をナメちゃなんねえ」

それは近くの低い山でも言えることだと、この時に実感したんだよ。

 

あっ、登山口(参道入り口)は社殿の右手にあって、

上まで行く人は少ないんだろうなあって感じで草が生い茂っております(笑)

 

10分ちょっと登ると手水があって、さらに3分くらい登ると鳥居が見えて、いよいよか!って5分くらい登ると最後に難関、鉄はしごで岩を登ります(笑)

そしてお待ちかね、本殿に到着です。

 

参拝を済ませたら忘れないでほしい。

この本殿の裏(さらに裏が!)は登ると展望が開けていて、飯舘村が

「日本で最も美しい村」というのが分かります。

ぜひ自分の目で確かめてくれ!

ちょっと岩登るけどね、すぐだから(笑)

 

一つ目の時に

「その時を最後に見られなくなったんだ」と書いたけれど正確ではないね。

たしかにあの、村のどこを走ってもキラキラした風景は正直今はないよ。 

だって6年間近く暮らせない時期があったんだ。

 

初めて行った時の記録には、こう書いてあったよ

 

「本殿まで登りました。今までで1番険しい参道かな。頂上は最高の眺め!素晴らしい景色!」

 

そして今回訪れた2019年9月8日 

「本殿まで登りました。あの時から何も変わらない、頂上は最高の眺め!素晴らしい景色!」

 

今日も「イイトコ探訪 福島県!」を読んでくれてありがとうございました。

「今までで1番険しい参道」は現在は「山津見神社」ではなくて「…の」

おっと、ここは後日紹介しましょう!

ぜひお楽しみに!

 
( 編集・校正・加筆リライト「Mash」)
https://mrh.crayonsite.com
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ゲスト・ライター陣紹介
〈フクシマン土屋〉
俺「Mash」とは小学5年生時から!
という長い付き合い。
 
彼が福島県に移る中3の夏まで
毎日登下校をする仲であった。
ちなみにここ時の彼への餞別には
ビートルズ「ホワイトアルバム」の
「ミュージックテープ(国内盤2本組み)」
(当時はカセットテープも売られていた)
を贈った。
 
以後、お互いの結婚式に出掛けたり…
と関係を保ち続けながら、
「震災後」頻繁に手紙のやりとりを続け
現在に至る。
 
俺にとっては数少ない
「友人」と呼べる人物。
である。

ジョーカーウーマンの「明日もボブで狂うわよ!」(第七回) 2019年春ヨーロッパツアー雑感(完結編)

2019-09-05 09:31:09 | BOB DYLAN

遅い。
遅すぎる。。。

これを書いている8月31日現在、未だボブ・ディラン秋ツアーのアナウンスがないのだ。

「ボブがツアーを辞めるわけない」

と高を括っていた世界の「ボブ中」達も今週明けから、ざわつき始め、、、
「大幅に減らすのでは?」と不安が蔓延中。

かく言う私も2020年のイタリアの某町のフェスに「ボブ・ディラン呼んじゃうんだ♪」と市長か誰かが自慢したニュースを聞くまで、不安を通り越して絶望にまで達しそうな状態だった。

秋は最悪ないかもしれないが、Never Ending Tourは終わらない!

多分、これが掲載される頃には遅れて始まる秋ツアーのアナウンスとなってることでしょう。
(であって欲しい!)

さて、もう夏も終ろうとしておりますが、今春ツアーパリ・ウィーン公演の最終回です。

初日のハプニングは5/2-5/5に渡っての報告の通り。

まとめると、観客が写真を撮っていて(2階席から観てた人の話では1階の客席から誰かがフラッシュをたいていたのをボブが問題視したとか)
ボブは演奏を中断して注意をした。
初日のBlowin' In The Windの4分の3を聞き逃したが、何しろ、ボブ・ディランが久しぶりに観客に向けて喋ったことだし、ボブは何をしてもカッコいいし、居合わせてラッキーだった。
(ただし、当日現地では、ボブが倒れたのではないかと一瞬思い、とても怖かった。)

さて、動揺は去らないながら、ボブが無事であったことに深く感謝しながらのウィーン2日目。
会場内に入ると、なんとピアノの蓋が上げられ、ライトは明らかに暗くなっていた。
チャーリーの顔、ドニーの顔はハッキリ見えるのに、ボブの顔だけが薄ぼんやり。。。

前日の私たちの打ち上げでは
「明日から鏡(※)が復活したリして」との冗談も起こっていたが。

(※)2010年前後ステージに鏡が配されており、「写真対策?」「魔よけ?」「アート?」「嫌がらせ?」「自分を見ろとのメッセージ?」と諸説展開されたが、いつも間にか消えていった。
また開演前に大きな鏡を配置する係の女性スタッフは敬愛を込めて「ミラーガール」と呼ばれていた。

恐らく400-600ユーロを支払ったと思われるVIP席の観客が暴れ出すこともなく、何事もなかったように上品にウィーン2夜目のショーは進行。またこの日はアンコール曲時も誰も立たず先生に校長先生に叱られた小学生みたいに静かに鑑賞していた(勿論声援はあるけれども、雰囲気的に)。昨日のできごとのせいか?

しかし、この日は素晴らしく勢いのある演奏で、全曲最初から最後まで圧倒される。
「怒った顔が綺麗だね」というからかい言葉があるが、実際興奮すると顔がくっきりシャープになり綺麗に見えたりする。

ボブが怒ってるかどうかはわからないが、パリとは全然違う路線の隙のなさ、目の覚めるようなエネルギッシュな演奏、火山噴火のように噴出する言葉達の連続、硬質な声が、心持ち緊張した客席によく響いていた。昨日より音質もグッド。圧倒的に良い。
忘れられないようなグレイトなショーだが、時間が経つと人が覚えてる「2019年のウィーン」といったら、初日の出来事になるのだろうな。

ボブ・ディランはたまに怒らせた方が良いのだろうか?

かなり昔の例になるが、過去ブーイングされたイギリス公演も研ぎ澄まされすぎてた怖いほどの”何か”だったし、ボーンアゲイン時代も折衷案を取り出した80年半ばよりも、それ以前の賛否両論の中、自分の道を突き進んでた頃が、やはり怖いほどの”何か”だった。

まとめとしては、2日で色々観れてよかったと思う。

・久方ぶりに観客に喋るボブ
・つまづいて転倒しそうになるボブ
・文句無しの絶品ショー

一つだけ、帰国後、日本語に訳されてるニュースに違和感があるので、そのことを。

>「演奏か、写真か、どちらかだ。わかったか」と観客へ向かって一喝

出回ってるビデオを見るとすぐに判ると思うが、
ボブはこの日も含め、エレガントで知的な立ち振る舞いをする。
この日本語のような乱暴なニュアンスはない。

ボブは仕事に関してはとても厳しい人なんだろうな。
毎日真剣に満足いく音楽を作り出そうと全霊を傾けてるようだ。
(お客さんを満足させることより、ボブが納得いく音楽を表現することに力点がおかれているところが素敵だ。永遠のストロング・スタイル!)

ボブが観客にも真剣に、全霊を傾けて聴くことを期待しても不思議では無いし、
ボブ・ディランはそれに値すると思う。
(写真も見たいが)

そんなボブが愛(いと)しすぎる。
私はボブの事は理解できないし、理解する必要もないと思うが、
とにかく愛しすぎる。

その後もツアーは続き、「素晴らしかった」との報告が続く。
スペインに入って、現地でディランの公演があるという報道も色々されてる様子がネットを通して入ってくる。

日本では考えられない程、ヨーロッパのボブ隠匿方針は緩く、ツアーバス、会場の出入り、公園に私服でいるボブの写真などどんどん流出していた。

ビルバオ(Bilbao)という街では、まるでボブサイドがOKを出したかのように、大々的に写真が流出し話題を呼んでいた。(真相は判らないが、いつもよりボブの服装がパリっとしていたのが気になる。ホームレスの人と間違われたり、が通常仕様のボブであるのに)

その夜、残念ながら私の好きな”Cry A While ”は姿を消し、何年ぶりかの”Dignity”に5曲目を明け渡すこととなる。

1989年の名盤 Oh, Mercyのアウトテイクになる人気曲。
この曲を知ってる人々の脳裏に閃くのは勿論

”Dignity never been photographed”

という歌詞しかない。ウィーンの記憶も生々しい今なら。

昼は写真を撮られて、夜のショーでこの曲。
遊んでるに違いない。

オリジナル録音のアレンジに近い仕上がりで、久しぶりの登場ながら、バンドもヴォーカルも素晴らしい(素早くアップしてくれたテーパーさんに感謝)。
ボブは後半、歌詞があやふやになってきたのか、有耶無耶に歌ってる。。。いつものボブである。
(写真の歌詞のところで、また再び元気良く歌いだしていた。やはりここを歌いたかったのか)

2019年春ツアーは、色々盛りだくさんで、ハプニングも含むツアーとなった。
シナトラ曲をやり続けた数年間も確かに良かったが、殆どのファンはオリジナル曲を聴けないことが不満であったと思う。

シナトラ曲が減って行き、徐々にオリジナル曲と入れ替わり、前年秋のツアーでほぼ入れ替わりが終わった様子。
これからまた、色んな曲を色んなアレンジで披露してくれることになると思う。

今のボブにこそ、歌って欲しい歌が色々あるが、
ボブの余りの本気ぶりに、ボブが本気を出せるなら、もうどんな曲でも、ずっと同じでも何でも!
ボブが心置きなく表現できる好きな曲をやり続けて欲しいと思う。

ツアーがいつまでも続きますように!

さてその後、ポルトガルの地方都市ポルト公演も、かなり盛り上がった様子。

この道数十年の敬愛する大先輩オッカケ女史の
”The Best” "What a show! What a night!"
との、まるでうわ言かのようなレビューも本気で超名演なんだと深く思い知らされる。。。

この日全体的な観客の声援も素晴らしかったらしいが、終演後も特に熱かった最前列左側の客のほうにふらふら?ひょこひょこ?と歩いて行き、彼らに向かって手を広げ挨拶したという。

更にあろうことか!ボブが両手を口に、そして広げて「投げキス」したと言う。
(と言う、、、というかYouTubeでビデオ観た。今回の写真はビデオからスクショ)

観客の時機を得た声援もとても大切だ。
アーティストだけがコンサートを作るに非ず!
一人奇声を発し、周りが誰も呼応しない時、非常に辛いものがあるが、ボブと何かが合致したような時の報いは計り知れない。
最前列の件の観客は知人であり、彼がこの夜の観客を引っ張ったのではないかと思うくらい、、、いつも凄い。
実際の所は何が起こったのか判らないが、取りあえず、彼には拍手を送りたい。

2019年春ツアー雑感   完

( 企画・編集・校正・加筆リライト「Mash」)
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ゲスト・ライター陣紹介
〈ジョーカーウーマン〉
日本を代表する
「ボブ好き5人衆」
の一人。
 
お金が有ればもちろん、
無ければローンを組んででも
海外まで出掛け
「ボブ・ディランLive」
をGetsし続ける「重鎮」
 
俺「Mash」とは
「ボブの音楽的部分」
そして
「ユーモラスに笑える部分」
にて合致!
 
今回の新連載で
より深く「ボブ」を掘り下げる!
 
ジェリーズ軍団では
「Starman☆アルチ」
「ハウリンメガネ」
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「ロック・マニアックス」
を2019年新規結成。