《ハウリンメガネ》
うーん……むーん……ぬぅーん……
{編集長Mash}
なんだよウンウン唸って。はは〜ん、悪いもんでも食ったか。道端のタンポポを生で食ったとか?
《メガネ》
ちゃうわ!今時そんな人いませんよ!
{編集長}
そうお?
《メガネ》
そうお?じゃないですよ!いませんから! いえね、我々、長かったチャーリー追悼対談を終えて、ようやく「イーノで紐解くロックの歴史」を再開しようとしとるわけなんですが……
……どこまで話したっけ?
{編集長}
オイッ!
《メガネ》
いや!だってもう半年近くトんでるんですよ!?しかも最後、アリスですよ!?イーノから期間的にもネタ的にもだいぶ離れてますよ!
{編集長}
あっ!今アリスを馬鹿にしたか!?
《メガネ》
いやいや!してないしてない!アリスはちゃんといい"バンド"なんだって話したじゃないの!
{編集長}
うむ。分かれば宜しい!
《メガネ》
まあまあ、忘れかけてるってのは冗談半分なんですが……実はですね、6月からある催し物がありまして。
{編集長}
ん、何?
《メガネ》
これです。
ブライアン・イーノ・アンビエント・キョート(https://ambientkyoto.com/)。
京都でイーノのインスタレーション(空間そのものを作品として構成する現代美術の一種。特にイーノは光と音を使った作品が有名)が開催されるんですわ。8月までやるみたいですね。
{編集長}
ほーお!面白いものやる気ですなぁ!
《メガネ》
私は勿論行くつもりなんですが、当ブログ読者の方々にも是非足を運んで頂いて、イーノの魅力を知って頂きたいな、と思い、今回はイーノで紐解く〜は一旦置いて、「なぜブライアン・イーノはこんなにイーノ(良いの)か!」というテーマで読者の方々をこの展示へ誘いたいわけです!
{編集長}
……まあ、キミの愚にもつかない親父ギャグは脇に置くとして……話を続けてくれ!
《メガネ》
それは自覚してますからそんな醒めた眼で見ないでください。
そもそも何をきっかけにイーノを意識しました?私はベタにU2がきっかけでしたけど。
{編集長}
俺は「ディスクリートミュージック」ね!
コレを中学生の時、中古レコード屋で買ったんだよ。寝る時によく盤をセットして寝込んでいたね。
《メガネ》
ああ、その感じ分かりますが、中学生でEnoをどうやったら知るんですか?しかもロキシーとかじゃ無く、アンビエント系を(笑)。
{編集長}
確かに情報も無い時代だったからね。俺の場合は「行きつけの中古レコード屋のおじさん」に色々と教えて頂き、しかも安くしてくれてね。これも「U2のプロデューサーだよ!」って渡されたんだけど、ホントこういうのは有り難かったよ!
《メガネ》
それこそがジェリーズの原点となったんですね!私は昔、「War(闘)」と「ヨシュア・トゥリー」をまとめて聴いたんですよ。
前者はスティーヴ・リリーホワイトがプロデューサーで、後者はイーノでしょ。全然音の印象が違うじゃないですか。それで「あれっ?」って。
{編集長}
U2は俺にとっても大きなバンドだよ!リアルタイムでずっと聴いていたからね!リアルタイムで聴いていると「あれ、段々大人っぽくなってる!」って思っていたよ。「ユシュア・トゥリー」はもう渋みが有り最高だったな!
《メガネ》
U2もトーキング・ヘッズもそうだし、(デヴィッド・)ボウイのベルリン三部作もそうだけど、イーノって音の機能をすごく考えてる人ですよね。
音の鳴り方、どういう響きだと人間は心地よく感じるのか、不安に感じるのか、緊張するのかリラックスするのかをすごく意識して、プロデュースするミュージシャンのカラーに応じてちゃんと使い分けている。そこが極まっている気がします!
{編集長}
それこそが良いプロデューサーとしての基本なんだけれど、彼ほど多種多様なミュージシャンと仕事を出来る人も少ないよね!
《メガネ》
あとこの人は音のグラデーションが豊か。どれもそうなんだけど、特にU2とかコールドプレイ、アンビエントの作品群を聴くと残響がすごく美しいですよね。
{編集長}
音が聞こえるか聞こえないか…そんなところまで考えているよね!
《メガネ》
以前あなたとギターアンプの話になった時「いいリバーブが載ってるアンプは音が美しくなるからいいよ」って話をした記憶があるんですけど、残響音の良し悪しって音の気持ちよさとイコールじゃないですか。クラシックをメインの演目にしてるコンサートホールも会場自体の音の響き方、残響時間まで計算して建てられてますし、音楽において残響音って凄く重要なファクター。で、イーノって残響のセンスがずば抜けてイイんですよね。薄っすらと長〜くかけたり、深いリバーブにディレイとパンニングを併用してウェットなのにさらっと聴かせたり。レコーディングでミックスしたことある人ならわかると思うけど、ここのさじ加減ってほんとに難しいでしょ。
{編集長}
俺は若い頃、アシッドサイケみたいな深いリバーブを多用してさ。今聴くと「不快リバーブ」そのものでねぇ(苦笑)。プロリバーブみたいなエフェクトを後乗せしていると、どうしても68〜69年あたりのマイナー盤みたいな仕上がりになっちゃう…俺はサイケプロデューサーだったよ!
《メガネ》
さすがに全員をサイケに仕上げたワケじゃあ無いんですよね?
{編集長}
もちろんだよ。ゆずみたいなフォークデュオにサイケ色は合わないでしょ!ただ色々な盤を聴いて来た分、引き出しは多くなったよね。ENOはヘヴィリスナーでも有ったから引き出しも無数だったと思うね!
《メガネ》
さもありなん!ところで今回のアンビエント・キョートの会場も90年前に建てられた建物らしいので、凄く響きがいいだろうし、イーノのことだからそれに合わせた音響に仕立てるんじゃないかな。それだけでも面白そうだけど、インスタレーションって来場者が"体感する"芸術だからその辺も興味あるなぁ。
{編集長}
一種のライブと考えてもいいのかもね!
《メガネ》
イーノの関係者でいうとデヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)がなんかのイベントに出したインスタレーションで、ギターとアンプの間にボスのエフェクトペダルを100個ぐらい並べて、来場者がそれを適当に踏む(ON/OFFする)ことでランダムな音の変化を楽しんでもらう、っていうのを出してたんだけど、ちっちゃい子が楽しそうにそれを踏んでる写真があって「ああ、いいな、こーいうの」って感心したんですよ。
{編集長}
音楽で何かしら体験して成長して欲しい!ってところは俺も常々思っているので、大いに共感出来るよね!
《メガネ》
イーノも「ノン・ミュージシャン」を自称してるだけあって、音楽をやってない人でも何かしら感じられる作品を展示するのは間違いないでしょうから「アンビエント?なんじゃそれ?」って人こそ行ってみてほしいなぁ。
{編集長}
遊びに行く感覚、デートなんかでも良いと思うな!
《メガネ》
というわけで是非「ブライアン・イーノ・アンビエント・キョート」へ。
あっ、別に袖の下を貰ったりはしてないからね?当ブログ編集部は非営利でございます(笑)。
{編集長}
楽しい事は共有して行けばいいのさ!ただ感染対策は忘れずにね。
《メガネ》
というわけで次回こそ本編の続きです!お楽しみに!……(コソコソ)次回ってあのネタでやるって話でいいんでしたっけ?
{編集長}
やっぱりキミ忘れてたんじゃないか!よくないぞ!そーいう誤魔化し方!
《メガネ》
いやいや、ちょうどいいネタが転がり込んできたから渡りに舟ってやつで。
{編集長}
渡りに舟、じゃないよ!説教してやるからそこに直り給え!
《メガネ》
ヒェ〜この時代に「昭和の体罰」はご勘弁!
{編集長}
体罰?何言ってるんだ?兎に角このヘッドホンを付けたまえ!
《メガネ》
ヘッドホン?
{編集長}
ふふふっ…今から「ガンダルフ」の深く物寂しいリバーブやエコーを存分に流すから覚悟しろよ!
《メガネ》
あ、それじゃあオリジナル盤でお願いしますよ!
聴きたいと思っていたんですよ!セットok!
アンダーサイケの名盤!楽しみだなぁ!早く流して下さ〜い!
{編集長}
あれっ?俺の時代はコレって拷問だったのに!時代は変わる…ベイビーブルーだ… しかもあんな盤さえオリジナル盤は貴重で高額…時の流れは恐ろしい…トホホ…。
《続》