「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

来年から当ブログ「ハードパンチBlues」は生まれ変わる!各ジャンルの豪華ライター陣が参加し、「読み物」としてリニューアルします!

2018-12-30 11:40:00 | 「ハードパンチ編集部」 からのInfo
前にもちょっとお伝えしたとーり
来年の当ブログでは新連載をスタートさせる!
もちろん「魅惑の新連載」ヨ!

しかもソレだけでは無いのだ!
このリニューアルでは信じられないくらい
「コアなライター陣」のご協力を仰ぎ、
興味深い連載を増やします!

もちろん今年大人気だった
明石のブルースマン
「ハウリンメガネ」のレコード・レビューは
来年も益々パワーアップ!
をお約束しよう!

そんな彼を筆頭に、
レコード盤の新連載をもう1つ、
しかも俺でもメガネでも無い
「別の(謎の?)ライター」でスタート予定!

はたまた、俺のブログと言えば
決して外すことの出来ない偉大な人物、そう!
「ボブ・ディラン」

彼をこよなく愛し、どこまでも追いかける
「あの人」
が、いよいよ満を持して、ライターとして参戦!
ここに待望の新連載!が決定!致しました。

もちろん社会派な一面を残しながらも
「今の福島」を福島県民自らに紹介して貰う!
という新連載!も決定!

その方にも「様々な企画」を
「各方面の豪華ライター陣」へ打診中!
コイツは楽しみだぜ!

さて、肝心の俺は?と言うと、
これだけ「強者ライターたち」が揃ったら、
そりゃあもう、編集長としての役割の方が
断然大きくなりそう… だよね!

でも大丈夫!
もちろん俺発信の新連載も
ちゃーんとご用意しております!

そして「俺は男だ!(I‘m a Man)」
も俺との1対1の経営者・フリーランス向け
「人生相談」(1on1)
と共に益々パワーアップして行くぜ!
ご期待下さいませ!

「One On One」のご紹介ページは以下

https://1on1.crayonsite.com



まだ発表出来ませんが、
随時「ライター陣」と「連載スケジュール」
が決まる予定なので、
ココで発表させて頂きますので
ぜひぜひお楽しみに!

2019年は
「ディープでコアな読み物」
として生まれ変わる!
そんな「ハード・パンチ・ブルース」
に大いに期待して下さいまし〜!

じゃ、末永くよろしく!

《ジェリーズ・グループ代表 MASH》

* アンティーク腕時計
* レア・レコード
* セレクト・ヴィンテージ・ギター
を集めた総合セレクトVintage Shop
「ジェリーズ鎌倉店」

http://jwc.crayonsite.com


俺と1対1での「経営&人生相談」と「音楽教室」
「One On One」のご紹介ページは以下

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クリスマスの夜に「自分を見つめ直す!」そんな「音楽」ならコレ!(Mash編 )

2018-12-23 13:09:07 | 編集長「MASH」のレコード&CDラック(音楽紹介)
子供の頃に聴いた盤で
ずっと引っ掛かっていた盤がある。
コレだ!
ジャクソン・ブラウンの「Hold Out」!

全米ナンバー1に輝いた作品なんだけれど
10歳くらいの少年だった俺には
「何でこんな地味な作品がヒットするんだろう?」
って思っていたんだ。(笑)

で、そもそもこの人を好きになったキッカケは
ミュージックライフ紙のインタビューで
「ビートルズが大好き!」
と言っていて、
「俺と同じだ!絶対良い音楽家に違いない!」
ってね。(笑)

ホント、子供だったから、
勝手に思い込んでさ!
次作「愛の使者」が出た時に
コレも中古盤で買ったんだよね。

「愛の使者」よりも、ずっとよく聴いた盤だった…
でも、この人特有の良い意味でダークな雰囲気が
当時の俺には落ち着いて聴こえたんだよね。
「だから地味なのにヒットするんだ?」
って不思議に思ったんだろうな。

でも大人になって聴くと、凄い作品だった!
って気付いてね。
コレは「落ち着いた曲に乗る、詩が素晴らしい!」
ワケですよ!

数々のストーリーの中に
彼の「人生観」や「恋愛観」があり
今でも泣きそうになるよ!
もちろんこの「貧乏くさい声」も手伝って!さ。

クリスマス前にコレを聴いて
数々の過ぎ去った女性たち…を思い出し
彼女たちを想った。

過ぎ去ったと思っていた女性たち、
実はまだ過ぎ去っていなかったんだ…
ジャクソンの歌にハッ!
とさせられたよ。

そんな彼女たちに
そして、コレを読んでいる読者みんなへ!
彼がこの盤のエンディングで
こう歌ってくれているぜ!

Hold On Hold Out
しがみつき、持ちこたえろ!

どんな時代でも、どんな人にでも
全てに当てはまる言葉だろ?
沖縄や福島から自動運転自動車の問題まで…さ。

そして俺の前を通り過ぎていった
「素晴らしい女性たち」へ…

メリークリスマス!

ずっと微笑んでいるコトを願って!

今でも俺の歌には彼女たちが居る。
決して過ぎ去ってはいないよ!

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明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が贈る!「どこまでもヴァイナル中毒!(第13回)」クリスマスにはこのレコードを聴こう!

2018-12-22 14:30:23 | 「ハウリンメガネ」の「ヴァイナル中毒」&more

読者諸賢!
ちょっと早いがメリークリスマス!
ハウリンメガネである。

「ハウリンメガネスペシャル」も
第3回目ということで、今回でひと区切りである。
さあ、なんの話にしようか?
……なんて野暮な物言いはやめよう!
クリスマスである!

恋人と過ごす者!
いいじゃあないか。楽しく過ごし給え。
家族と過ごす者!
うんうん。楽しく過ごし給え。
友達と過ごす者!
うむ。羽目を外しすぎないように。
楽しく過ごし給え。
独りで過ごす者!
それもまたよし。まあ、くさるな。
楽しく過ごし給え。

筆者もまあ、ワケあり独り者ではあるので
「ウッキウキウッキー!」
と寛平師匠の様には行かないまでも、
やっぱり街を彩るイルミネーションや、
楽しそうなカップル、親子連れを見ていると
「よし、世界は平和であるな」
と、独りごちるものである。

そして独りごちる男(つまり私)は
クリスマスに何をするのか?
盤を!盤を回すのである!
クリスマスにふさわしい盤を!

そんな老若男女の為にこそ世には
「クリスマス・アルバム」というものがある。

日本ではあまり馴染みがないものの、
アメリカではクリスマス時期の定番商品として
様々なミュージシャンがクリスマスをテーマにしたアルバムを世に出している。

というのも、あちらではクリスマスって
年末商戦の定番商品として
レコードがきちんと売られており、
レーベルもその時期に人気ミュージシャンの新譜を続々投入するなど、まさにクリスマスプレゼント
の定番として、レコードが認知されていたのだ。

そんなクリスマスアルバムの中から、
今回は図太く生き続けるカントリー親父!
ウィリー・ネルソンの「Pretty Paper」
(1979年作。US Org)の紹介だ!

クリスマスプレゼントを模したジャケットが可愛い!しかもこれ、手の込んだ事にエンボス加工してあり雰囲気抜群なのだ!

2018年現在85歳にして、未だ現役!
アルバムを出し続けツアーを続けている
飛んでるカントリー親父、ウィリー・ネルソン!
そんな彼が作るクリスマスアルバムとは
一体どういうものなのか?

王道のカントリーサウンドか?
それともロック寄りに仕上げているのか?

その答えは...黒いクリスマスアルバムだ!

実はこの盤、筆者も敬愛するMG'sの
ブッカー・T・ジョーンズ氏がプロデュース!
残念ながらMG'sのメンバーは不参加なものの、
彼らのリーダーであるジョーンズ自身が
全面アレンジを担当しているので、
サウンド的にはかなりMG's寄りだ。

全体的にタイトなベースと、
クールなハモンドが気持ちいい。
派手さはないが、延々聴ける気持ちよさがある!

そんなサウンドに乗ってウィリーが歌う
クリスマス・ソングの定番
[A1]White Christmas
[A4]Jingle Bellsや、
ウィリーの爪弾くギターの音色が心地よい[B6]Christmas Bluesなど、
クリスマスの夜を独りで過ごす男(つまり俺)
の心を鷲掴みにしてくる、
男のブラック・クリスマス盤なのだ!

いやぁ...黒いねぇ...しみるねぇ。
こういうクリスマスソングがもっと街中に
ガンガンと流れればいいのに!
いっそのこと渋谷のスクランブル交差点で
大音量で流すとか!(笑)

...とここまで書いたところで、読者の方々に朗報!

今年、かなりメジャーな人が
予想外のクリスマスアルバム
を出していることにお気づきだろうか?

せっかくなのでご紹介しよう!
我らがエリック・クラプトンの最新作!「Happy_Xmas」(USプレス)だ!

いわせくれ!、正直、リリースニュースを見た時は
全く買う気はなかったのだが、先日、独り寂しく
イルミネーションを観に神戸へ行った際、
ふと立ち寄ったタワレコで実物を見て
つい買ってしまったのだ(笑)

で、結論から言うが、
このアルバム、とても良い!
恐れずに言おう!
クラプトン作品の中でも一、二を争うぐらいに
ポップなのだ!
ここまでポップなクラプトンは
聴いたことがないぞ!

ご本人曰く
「クリスマスソングにブルーステイストを足してみようと思った」
とのことなのだが、
いやはや、いつものようにブルースを主題に置く
のではなく、ブルースを副題にし、
クリスマスソングを主題に置く事で、
彼のこれまでの作品で影に隠れがちだったポップなセンスがここぞとばかりに全面に出ている!

コレは共同プロデューサーのサイモン・クライミーの腕も大いにあると思われるぞ!
(サイモン氏のレビューは当ブログの主Mash師が過去に執筆しているので、以下をご覧あれ!)
https://blog.goo.ne.jp/12mash/e/fed4baef6908b7a799ff5daa166c96ca

さらにこの盤、2枚組みの45回転LP!
(前回紹介したクリムゾンも45回転だったが、
なんだ?45回転がブームなのか?いいぞ!)
で、当然音も良い!

盤ビギナーの為に書いておくが、
レコードは回転数が早いほど音が良い!のだ。

しかも!
マニアにはタマラナイ!
クリスマスカラーに合わせた赤と緑の
カラーレコードになっているのだぁっ!
(カラーレコードは音が...って話もあるが、
せっかくのクリスマスアルバムだ。
こっちの方が洒落てていいじゃないか(笑)!)

いやー!
やっぱりレコードは楽しいな!
そりゃ、クリスマスプレゼント!
にもぴったりなはずだ!

時代が移り変わり、
CDどころかデジタル配信が主流となりつつある
そんな現代だが、これぐらい洒落たことができるのはアナログ盤だけさ!

さあ、皆さん!
声を大にして言おう!
老若男女!世代を問わず!
プレゼントにレコードを!
いかがですか!

この文章が独り者の心に届くよう
私からのクリスマスプレゼントです!

ハッピークリスマス!
ハッピー・ハウリンメガネでした。


今日は俺「Mash」の誕生日!じゃあ、誕生日に思うコトって何?

2018-12-19 17:37:00 | MASHイズム
今日は俺の誕生日なんです!

そうなりゃ、当然だけれど、
好きなファッションで出掛けたい!
もちろん好きな車で、ね!

腕には「琺瑯文字盤の20年代ロレックス」
上着は「アメリカンなブラック&グレー・ジャケット」
ズボンは「パープルのストレート・パンツ」
グローブは本物の革張り「ハリスツイード」
そして足元はパープル&ブラックが決まった
「ナイキのハイカット」という出で立ちだ!

車は長く手を入れて、今日まで乗り続けて来た
「メルセデスCLK」で決まりだ!

「今日という日は一度しかない!」
そう思うと今日が「特別に大切な日」
というわけでは、決してないんだよね…。

そう!
「日々大切に生きること」
が重要だって話さ!

とにかく、そーいうコト!

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ナンシー・ウィルソンが逝った…今日は彼女の盤を永遠に流す!

2018-12-16 13:38:23 | 黒人音楽
緊急寄稿します!
先日13日に「ナンシー・ウィルソンが逝った…」
という新聞記事を目にしたから。

今日はマルチに歌った彼女について…
と言うより、この盤について書きたい。
63年の「シングル45回転盤」だ!

アルバムが売れていたジャズ・シンガーが
不意に放った中ヒット曲という感じの
A面「Tell me the truth」
コレでアメリカ全土のティーンにも
予想以上に知られる様になったんだ。

この後はジャズとポピュラー界を上手く渡り歩き
素晴らしいアルバムを毎年発売して
(当然キャピトル恒例の1年に2枚発売も多数!)
息の長い活動をしていた人でした。

俺みたいなビートルマニアならすぐに
「And I love him(her)」
(彼女は女性からの目線で歌った)
や「Yesterday」に子供の頃
モロに!飛び付いたハズさ!

ただ今回はこの出世盤(45回転)を紹介したい!
A面のスウィートジャズはもちろん申し分無い!
素晴らしい出来で愛聴盤として
多くの人の心に入り込んでいるだろう!
ベスト盤でも聴けるのでお馴染みだ。

しかし俺はあえて本盤B面のブルースを推す!
「My sweet thing」だ!

針を落とそう…
うっ、いきなりタイトなドラムに毎回驚く!
レイ・チャールズ・オーケストラ的演奏に
彼女の余裕ある感情深いブルースが続く…
そんな2分20秒!
諸君!コレだよ!コレ!


俺は何百回も針を落として来た盤だが、
聴くたびに強烈なシェイクと高揚感に襲われる。
完璧と言える演奏に乗って、彼女は楽に歌い切る!

「こんなバックなら歌うのも楽しいだろうなぁ…」

と子供の頃、何度思っただろうか?
ちなみにB面を5回聴いて裏返し、またB面…
という聴き方でした。
で、今もそう!追悼の今日もそう!(笑)

俺のナンシーは、永遠にこの盤!
で、この曲、彼女も曲作りに加わっている。
(多分彼女の鼻歌と詞の部分から出来たブルース)
軽く作った2分20秒が俺の人生を変えた!

音楽の素晴らしき世界…
ちなみにこの「USオリジナル盤」は
当然ですが、音も爆音!

追悼するにはCDは余りに貧弱過ぎる媒体だね…

合掌。

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師走になれば彼女は… おっと、もう12月なのよね!そんな中、この国は沖縄を見捨てる!

2018-12-15 13:14:57 | 過去のハード・パンチ・コラム
いよいよ師走!
って、やっと思えて来た(笑)
やっぱり「寒さが増してやっと12月!」
ってフィーリング… (笑)

街も含めて、雰囲気が出て来たよ!
純粋に嬉しいよね!

クリスマスまで寒さが来なけりゃ
スライ&ロビーの「レゲエクリスマス」
でも流すか!
って具合だったけれど、その心配は無さそうだ。

しかし、今年もあっという間に年末だ…。
一体どうなっちまってるんだ?早過ぎるぜ!
時の経つのがヨォ!(笑)

総括するには、まだ早い…けれど
今年も「新しい出会い」や
「新しくスタートさせたコト」
がたくさん有ったね!

まあ個人的なところだと
「鎌倉店のオープン」や「スポーツジムの変更」
辺りが大きな所かな。

出会いは… まあ無数に有って
特に「フリーランスの若者」や「志しの有る人」
との話は「常に真剣勝負」なので楽しいよね!
「将来性の有る若い人材も結構多いんだ…」
と知った一年だったよ!

逆に「格差の拡大」もはっきり出て来た…
そんな1年だったね。
残念だけれど、
「政治も社会も、誰も助けちゃくれない…」
からなぁ。

沖縄を見てみなよ!
福島だってそうさ!
政治家連中が何をしてくれる?

川崎のヘイトスピーチは「幸せの証し」かい?
俺の知っている「幸せな人たち」は
「愛と平和」の中で生きているゼ!
世の中、どうかしてるネ…
って吐き捨てたくもなるわなぁ。

結局のところ、自分自身でヤルしか無いんだよ!
タフでないと、「茨の道で迷うだけ」だぜ!
「前へ進み、上へ行きたい奴だけが残る」のさ。

「正社員を切られ、ゴミ袋を拾い、
中からブツを選りすぐり、毎日リサイクル店に
えっちらおっちら自転車でブツを売りに行く男」

を俺は知ってるぜ…
ちなみに同世代でね… その男は。

自分がカッコイイと思うならヤレばイイ…
俺は全く思わないけれどね。

《ジェリーズ・グループ代表 MASH》

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明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が「キング・クリムゾン」の2018来日公演をマニアックにリポート!

2018-12-14 12:23:00 | 「ハウリンメガネ」の「ヴァイナル中毒」&more


読者諸賢、約一週間ぶり。
ハウリンメガネである。

告知の通り、今月は
「ハウリンメガネスペシャル!」ということで
矢継ぎ早ではあるが、さっそく今回の本題に入らせていただく。
前回の告知で、勘のよい方は気づいただろうが
観てきたぞ... キング・クリムゾン!

それはポール師のライブを目前に心が浮ついていた
そんな11月初旬のことである。
ポール師匠の来日情報が気になり、
ネットで情報を仕入れていたときに
ふと目に入って来た並列文字。

「キング・クリムゾン来日公演チケット販売中!」

...えっ!?なに!?来るの!?
実のところ、筆者はロバート・フリップ先生に
深く尊敬の念を抱く者である。

破壊的なディストーション/ファズギターを
それhそれは美しい表現にまで昇華したあのセンス(この辺についてはイーノも絡んでくるので、別の機会に詳しくやる)。
リズムギターという概念の極致といってよい
あのシーケンシャルな単音バッキングなど、
ロックギタリストの中ではクラプトンやアンディ・サマーズと並んで私に強い影響を与えた!
そんな一人なのである。

ああ、フリップ先生率いるクリムゾンが来る…
行かねば!

...というわけで2018/12/9(日)に大阪グランキューブにて行われたキングクリムゾン来日公演へ行った次第である。

さて、ライブの感想を語る前に
クリムゾンについて少し整頓しておかねばならぬ。
なにしろクリムゾンは歴史が長い上に、
幾度にも渡るメンバーチェンジ、解散、再結成を繰り返しているので
それぞれの時代を筆者がどう分類しているのかを
ココで明記しておかないと後で困るのである。

よって、筆者の中での分類を先に述べておく
(なお分類についてはマニアの間でも喧々諤々で意見が分かれる。マニア同士でこれをやり出すと夜を徹する羽目になる話題なので要注意である...)。

まず「クリムゾンキングの宮殿」から
「アイランズ」までのピート・シンフィールド在籍期を第一期とする。
(本当はイアン・マクドナルドを含む宮殿でのメンバーを第一期とすべきなのかもしれないが、それをやると「じゃあメンバーチェンジがあったポセイドンのめざめはニ期でリザードは三期で...」と細かくなりすぎるので、あえてこう分けている)

一度目の解散後、ジョン・ウェットン、ビル・ブルーフォード(馴染みのあるブラッフォードという読みで呼びそうになるが、御本人の意志を尊重し、ここではブルーフォードとする)を擁し、
インプロでのプレイに主体をおいた「太陽と戦慄」から「レッド」までを第二期。

二度目の解散後、フリップ先生のソロ活動をはさみ、先生、エイドリアン・ブリュー、トニー・レヴィン、ブルーフォードによる徹底したポリリズムを追求した「Discipline」から「Three of a Perfect Pair」までを第三期。

三度目の解散
(ほんとに解散が多いな!このバンド!)
後、第三期のメンバーにトレイ・ガン、パット・マステロットを加え、より複雑なサウンド構成を狙ったダブルトリオ期(アルバムでいうと「Thrak」)を第四期。

ダブルトリオ編成からトニー、ブルーフォードが抜け、自らをヌーヴォ・メタルと呼称し、ヘヴィな音像を追求した「The ConstruKction of Light」、「The Power to Believe」の頃を第五期。

そして、フリップ先生の引退事件
(詳細は省くが、ユニバーサル社との版権に関する裁判にかかりきりだったらしい)
をはさみ、ついに活動を再開した8人編成
(正確には7人編成期を挟む)による現在のラインナップ(フリップ先生曰くダブルカルテット編成)を第六期とする!...あー、長かった(笑)。

とまあ、ちょいと流れを追うだけでも息切れしてしまうほど、彼らの歴史は複雑なのである
(なお筆者はどの時期も好きなので、イチバン!好きな時期を一つだけ挙げよと言われると「...うーん!やはり第二期であろうか!でも三期も大好きだし...五期も捨てがたい...あー、でも一期は外せないしなぁ...」と小一時間悩んでしまう)。

そんな複雑な歴史を経て、今、彼らが鳴らす音とはどういうものなのか。それを説明する為にもまずは現在(第六期)のメンバーを説明させて欲しい。

ロバート・フリップ (g, key, soundscapes)
言わずとしれたキング・クリムゾンオリジナルメンバーにしてその総帥!そのプレイは健在どころか今なお鋭さを増している印象を受けた。ちなみに今回のツアーではライブ前にフリップ先生が前説アナウンスをしているのだが、優しい声をしていらした。

ジャッコ・ジャクスジク (g, vo)
もともとプログレ畑のセッションプレイヤーだったらしいがマイケル・ジャイルズ(クリムゾンの初代ドラマー)の娘さんと結婚したことがきっかけでクリムゾンの旧メンバーが集まったトリビュートバンドの21センチュリー・スキッツォイド・バンドへ参加。それを観たフリップ先生がキング・クリムゾン・プロジェクト(クリムゾン本体ではなく、サイドプロジェクト扱い。「A Scarcity of Miracles」を発表している。後で触れるが、この作品かなり良い出来で、この時の方向性が今回の第六期へ直結している)へ誘い、結果、本家のボーカルに格上げされた。他にはレベル42への参加などが有名。ライブではリードギターも頻繁にプレイ。

トニー・レヴィン (b, stick, uplight b, back vo)
ジョン&ヨーコの「ダブル・ファンタジー」、ルー・リードの「ベルリン」、ピーター・ガブリエルの全アルバムなどロックの歴史を紐解くと必ず名前の出てくる説明不要の名プレイヤー。今回のライブでもベース、チャップマンスティック、エレクトリックアップライトにバックボーカルと八面六臂の活躍を見せてくれた。なお、彼は写真を撮るのがお好きなようで、彼の公式サイトを見ると今回のジャパンツアーの写真も沢山掲載されている。ちなみにクリムゾンのライブではトニーがステージでカメラを掲げた時だけ観客に写真撮影が許されるのがファンのお約束となっている(笑)。

メル・コリンズ (saxophone, flute)
第一期の解散から数えて約40年ぶりの参加となった彼だが、キレッキレのサックスは健在!ディシプリン以降の楽曲に対しても積極的に管楽器の立場からアプローチを試みているようで、彼の存在が今回のラインナップにメロディアスな方向性を持たせているのは間違いあるまい。

ビル・リーフリン (key)
セッションマンとしてR.E.M.などへ参加しており、クリムゾンには前回のツアーからdr, keyとして参加したのち、一時休養という形で1年ほど離脱していたが再合流。今回はkeyに専念しており、休養中に後で紹介するジェレミーに立場をとられた形となったが本人曰く「いやぁ、ジェレミーの方がドラムは上手いし、私としては今の編成の方が気が楽だね」とのこと(さすがベテラン。余裕の発言である)。最近ではクリムゾンのライブアルバムのミキシングも担当する多才な人である。

パット・マステロット(dr(ステージ左手))
元ミスター・ミスターという肩書はもはや不要か。クリムゾン在籍歴も20年を超え、クリムゾンを語る上で欠かせない存在となった。今回の編成では金物パーカッションを多く使い、ジェイミー・ミューア的なアプローチを担当。

ギャビン・ハリソン(dr(ステージ右手))
活動休止中の英プログレバンド、ポーキュパイン・ツリーのドラム(なお、フリップ先生は彼らのツアーに帯同し、サウンドスケープによるソロでオープニングアクトを勤めたことがある)。この人、呆れるほど上手く、ライブでは主にブルーフォード的なプレイを担う。

ジェレミー・ステイシー(dr(ステージ中央), key)
前述の通り、リーフリンの休養中に代打として参加したが、フリップ先生に気に入られ、そのままレギュラー入り。この人もセッションマンで、シェリル・クロウやノエル・ギャラガーとプレイしている。鍵盤の腕前も素晴らしく、今回のライブでもドラムと鍵盤を約半々でプレイ。

以上、8名。
右も左もベテランばかりの恐ろしい編成である。
そして皆さんお気づきだろうが、
この編成、ドラムが3人いるのである……!

過去のクリムゾンでもツインギター、ツインベース、ツインドラムという6人編成でのダブルトリオ期があったが、
あれでもToo Muchなシーンが多かったのは否定できない(恐らくフリップ先生自身も音を整頓できなかったのだと思う。そのせいか、ダブルトリオ編成は割とすぐ解体しProjeKct名義での少数編成の多作品体制へと変化した)。

そんなダブルトリオでも過剰になりがちだったというのに、トリプルドラムとは...
一体どうなるのだ?という諸々の思いを胸に抱きつつ開演を迎えた私だったが...
この編成、素晴らしかったのである。

最初に書いた通り、開催に気づいたのが遅かったこともあり、SS席チケットはすでに完売。
よってS席の2階席やや右側のチケットをとったのだが、これがなんと大正解!

トリプルドラムがステージ前方に来る今のクリムゾンは1階からだとドラムがステージを塞ぐため、
全体像が見づらいのだが、2階からだと俯瞰視点になるため、まあよく見えること!

また、中規模のコンサート向けホールなのも手伝い、音のバランスがいい!(観客もよく訓練された(笑)ファンばかりなので曲中は演奏中の生音が聴こえてくる状態だったことを付け加えておく)

18時丁度に開演。
SEが止み、フリップ先生のアナウンスが流れる。
万雷の拍手の中メンバーが登壇。一拍の間が空き、演奏が始った。

鉄琴のような音でオリエンテッドなメロディが鳴り始め、リリカルな空気が作り出されるなか、少しずつ、少しずつダーティなノイズが音量を増していく。そして訪れるカタルシス!おお!
「太陽と戦慄 Part.Ⅰ」だ!
もうこの後は目の前で繰り広げられる演奏に目が釘付けだった。

ブリューのトーキングスタイルとは異なるメロディックな歌いかたで新曲のように生まれ変わった「Neurotica」。

フリップ先生のギターとトニーのスティックが生であのポリリズムを積み上げる「Discipline」。

「Indiscipline」は原曲はフリーキーなプレイが目立つぐらいで特に特筆すべき印象はなかったのだが、トリプルドラムではなんと驚くべき事にパット→ギャビン→ジェレミー→ギャビン→パット...というように、3人で曲芸のようにフレーズを回していくのである!

一打ずつフィルを叩く姿は音もそうだが視覚的に圧倒的に面白い!トニーがインタビューで「サーカスでライオンの曲芸を観ているようだよ」といっていたが仰る通り。まるでバディ・リッチとジーン・クルーパのドラムバトルのように互いのプレイを活かし合いながら魅せつつ、一つのドラムスとして機能するようプレイしている。

そして、この後で演奏された「Epitaph」や「Islands」で顕著だったのが、ジェレミーの鍵盤の腕の良さ!さらに、ジェレミーが鍵盤をプレイする事によって、当初危惧していた「常時トリプルドラムによる過剰なプレイ」を排除できるというこの発想!さすがフリップ先生である。
(書いていて思ったが、ダブルトリオの過剰さのツインベースだったことが大きかったかもしれない)

なお、この時の「Islands」は個人的に原曲より良かったと感じたほどで、ジャッコの声がグレッグ・レイク寄りだというのもあるが、とても美しい曲だったんだなぁ〜 とため息が出るほどであった。

ここまでで第一部が完了。
20分の休憩を挟み第二部へ。

トリプルドラムを聴かせる為に作られたと思われる現ラインナップの新曲
「Devil Dogs Of Tessellation Row」から個人的にとても聴きたかった「The ConstruKction Of Light Part.Ⅰ」へ!(出来れば歌の入るPart.Ⅱまでやって欲しかったがまあ贅沢な悩みであろう。そして筆者は見逃さなかった。この曲の途中、フリップ先生が拍を見失ったのか少しプレイを止めた後、両手を上げ「お手上げ」ポーズをとった瞬間を!いやぁ...先生、キュートだなぁ(笑))

「Easy Money」では中間部のインプロ部でここぞ!とばかりにトリプルドラムが炸裂!
ギャビン、パット、ジェレミーがあの手この手で彩りを加える!(よくまあドラム、パーカッションだけであれだけできるものだと筆者は感心を通り越してあ然としたほどである)

そして誰もが聴きたいであろう「Moonchild」から「The Court of the Crimson King」への展開はやはり素晴らしかった。しかし、そこから続けざまに放たれた現ラインナップでの新曲「Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind)」と「Meltdown」の方が個人的に興奮度は高かった!

基本的にディシプリン以降、ヌーヴォメタル期に至るまでのクリムゾンはシーケンシャルなフレーズの積み重ねによる複雑な音像を主体としていたのだが、キング・クリムゾン・プロジェクトでの
「A Scarcity of Miracles」では第一期のような叙情性の強いサウンドに変化していた
(これについてはボーカルがブリューからジャッコに代わったことも大きい)。

第六期は「A Scarcity~」の音の延長線上に第五期までの複雑性を加味した音に仕上がっている。
面白いのは第一期の名曲である「The Court of~」の直後にこの2曲が演奏されると!
「ああ!クリムゾンの経てきた遍歴の果てにこのラインナップは出来上がっているのだ!」
と実感できることである。

簡単に言えば「The Court of~」の叙情性を持った「Discipline」のサウンドフォーマットがそこに存在しているのである!

この後、「太陽と戦慄 Part.Ⅴ(旧題Level Five)」で本編は終了し、アンコールは「Starless」で〆であった。

セットリストは以下。
--------------------
第1部
Larks' Tongues In Aspic Part.Ⅰ
Neurotica
Suitable Grounds for the Blues
Lizard (Bolero, Dawn Song, Last Skirmish, Prince Rupert's Lament)
Discipline
Indiscipline
Epitaph
Larks' Tongues in Aspic Part.Ⅳ
Islands
--------------------
第2部
Devil Dogs Of Tessellation Row
The ConstruKction Of Light Part.Ⅰ
Peace
Easy Money
Moonchild
The Court of the Crimson King
Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind)
Meltdown
Larks' Tongues In Aspic Part.Ⅴ (Level Five)
--------------------
アンコール
Starless
--------------------

いやはや「21世紀の精神異常者が聴けなかった!」とか「レッドが聴きたかった!」とかそういう感想を私がもっても不思議ではないセットリストなのだが、ライブから数日経った今でもそこは一切気になっていない。

さらに言ってしまうと現ラインナップでの新曲をもっと増やしてくれてもいいくらいである!

今回のライブではっきりしたのだが、
クリムゾンは未だにプログレスし続けている。
プログレッシヴロックという言葉が表すのは大作主義や、複雑性のことではない。
常に過去の方法論を取捨選択し、さらなる高みを目指すその姿勢をさす!

第一期から現在の第六期まで網羅しつつ、
どの曲も今のクリムゾンの形に変化している素晴らしいセットリストであった。

今回のライブの帰りにふと似たような感想をもったライブを思い出した。
それは我らがボブのライブだ。
そう!ボブ・ディラン!

彼が形を変えながらアメリカン・ミュージックの本質を体現しつづけているように、クリムゾンもまた、形を変えながらプログレスし続けるロックを体現している。だから私はクリムゾンに、フリップ先生に憧れ続けているのだろう。

ライブレポートに熱が入ってしまい、最後になってしまったが、盤もきっちり紹介しよう。

今回の盤はKing Crimson「Uncertain Times」(2018)。

...ふはははは!そう!売ってたのだ!ライブ会場の物販で!現ラインナップのヴァイナルが!

最初、Tシャツを買うつもりで並んでいたのだが、ふっと商品案内を見ていると「レコード」の文字が目に入った。
(お?レコード?リシューか?でも見た事ないジャケだぞ?)
「現ラインナップのライブ音源から厳選した4曲をレコード化!」
(おお、これは欲しいな...ん?サイズが小さい?)
「Limited edition 2 x 10" vinyl」
(おいおい?これまさか...)「これください!」
帰宅後、封を開け、確認した。
「10インチの45回転だコレ!」

そう!まさかまさかの45回転2枚組である!
さすがクリムゾン。アナログでも最高品質でぶつけてくる!(どうやらEUプレスのようだ)

収録曲は以下。

[A-1]Red
[B-1]The Letters
[C-1]Cirkus
[D-1]Larks' Tongues In Aspic, Part.II

おお!見事に今回のライブでやらなかった曲が揃っている!
(なお、今回のツアーではフリップ先生が毎回セットリストを変えており、なにが飛び出すか当日までわからないびっくり箱状態)

ライブを思い出しつつ回しているが、やはり45回転は抜群に音がいい!ライブで聴いた印象ドンピシャの音が飛び出してくる!

いやぁ!フリップ先生!
このフォーマットで現ラインナップのライブボックス出しちゃくれませんかい!
マニアは買うって!俺みたいに!買うって!
お願いだから出してぇぇぇ......

以上、おねだりしてでもこの音で聴きたい!
そんな「オネダリメガネ」
もとい、ハウリンメガネでした。

来週は何が飛び出すかな?
乞うご期待! さあ、君もハウレばイイ!


明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が贈る!「どこまでもヴァイナル中毒」(第12回 ) 「ジョン・レノン」追悼編

2018-12-08 09:20:01 | 「ハウリンメガネ」の「ヴァイナル中毒」&more

読者諸賢、イチババンバンバン!
ハウリンメガネである。

12月8日。
ジョンが逝った日…

この日は毎年Mash氏がジョンの話を
「熱く熱く書く」ことが通例になっていたのだが
「メガネのジョンが読みたい!」という
氏の一方的な希望(笑)により
今回は私に白羽の矢が立ったというわけである。

というわけで
今回は私なりのジョン・レノン論を交えつつ、
彼の盤について語ろう。

以前、ジョージのクラウドナインのレビューでも触れたが、
私がビートルズを意識しだしたのは高校生の頃だ。
だが、ジョンを知ったのはもう少し前で中学生の頃になる。
その頃、「世紀末の詩」というTVドラマ(野島伸司脚本)があり、
そのテーマ曲としてジョンの「Love」と
「Stand by Me」が使われていた。

当時まだハードロックやグランジに熱中していた私だったが、この2曲についてはスッと耳になじみ(ドラマで効果的に使われていたのも大きいが)、街の図書館でジョンのベスト盤(CDだけどね)を借りて、カセットテープにダビングしたのを覚えている。
(確か1年ほど聴いているうちにテープがワカメになってしまい(この例え、今の人に通じるのかね?)、
高校生になってからCDを買い直した覚えがある。

筆者の地元の図書館はなぜかロックに強く、
ニルヴァーナやらガンズやら
とにかく沢山借りたもんだったなぁ...閑話休題)

そんな私も少しずつビートルズ、そして
ジョン、ポール、ジョーズ、リンゴのソロ作品と
順々に聴き込んでいくのだが、
ジョンのソロにだけ強く感じることがある。

それは「ビートルズの不在」だ。

ポールのソロにも、ジョージのソロにもリンゴのソロにも感じない
そんな「ビートルズの不在」を何故かジョンのソロにだけは色濃く感じてしまう。
(無論これはジョンの作品が不出来といっているのではなく、ただただ大きな空白を感じるということなのだけど)

ポールたち3人のソロ作品には
「もうビートルズに縛られなくていいんだ!」という一種のリラックス感すらあるが、
それに対しジョンの初期のソロ作は
「お前らがいなくても俺はやれるんだ!ヨーコだっているし!」
と3人(特にポール)に強がってみせている気配がある。

だが、それはそのまま裏返しに
「僕はもうビートルズには戻れない」という事実を強烈に浮かび上がらせてしまう...
はっきり言って痛々しいのだ。

それが一番顕著なのは「ジョンの魂」だろう。もちろん大好きな盤なのだけど、やはり聴くとそれを強く思う(リンゴだけが参加している分、余計に)。
多分、ビートルズが終わって最も寂しかったのはジョンだ!

そして、その強がりが薄まりだす時期の名盤、
それが今回ご紹介する72年作
「Sometime in New York City」(US org)である。

この盤、世間的にはなかなか評価が辛く
「ヨーコの歌が邪魔!」やら「メッセージが政治的過ぎる!」やら、
まあ、ヨーコ嫌いのビートルマニアや、
ソロ初期の頃のジョンのイメージが好きな人はそう言うかもね。という評価が多い。

確かに筆者もヨーコの歌が全て好きかと訊かれれば答えに窮することもあるし(あの不安定にピッチを揺らす歌い方が苦手なのだ。逆にピッチの安定している時のヨーコさんの歌は嫌いじゃない)
政治的過ぎると言われれば
「そりゃそうだ。だってこの時のジョンはそれがやりたかったんだから!」
と言うしかない。

よって今回注目すべきポイントは政治性、メッセージ性ではない。
重要なのは、この盤、ジョンが「黒い」ということだ...!

ビートルズからソロにいたるまで、ジョンから黒いフィーリングを感じることはまずないと思う。

だが、この盤だけ、なぜか妙にジョンが黒い。
何回も針を落とし、[A-1]Woman is the Nigger of the Worldの冒頭、一音目からむせび泣くサックスを聴いて考えた。

これ、この盤でバックを勤めたエレファンツ・メモリーのノリにジョンが触発されたのではないか?
(エレファンツ・メモリーのメンバーについて少し調べてみたのだが、ほとんど情報がない。
どうやらニューヨークのスタジオバンドだったところをジョンとヨーコが気に入り、参加することになったようだ。
なお、今作の後、チャック・ベリーに気に入られ彼のアルバムにも参加している模様。なるほど、黒いはずである)

黒い音はまだまだ続く。
エレキのスライドが効いた[A-3]Attica Stateや、
途中のピアノソロが思いっきりリトルリチャードしている(笑)[A-5]New York City。

タイトなリズムに乗せてアイルランド問題に端を発する血の日曜日事件を歌った[B-1]Sunday Bloody Sunday
(途中Come Togetherっぽいタメが入るのが心憎い!
この曲、コーラスでのヨーコの歌がグルーヴィーでいい!

なお、U2にも同名の曲があるが、この曲を元ネタにしたとボノが語っている。
ちなみにポールもこの事件を題材にした
「Give Ireland Back to the Irish」というタイトルのシングルを出しているが、これアナログだと入ってるアルバムないのよね。45回転で聴け!

そして個人的にこの盤の白眉は[B-3]John Sinclair!
これ!これよ!

ウッドのドブロと思われるスライドが真っ黒なフィーリングをかもし出す中、一切負けないジョンの歌声!これ、正しくブルースである!
(なお、このスライドをプレイしているのがエレファンツのウェイン 'Tex' ガブリエルなのかジョンなのかは不明。ジョンがこのスライドをプレイしているとしたら彼の隠していた黒さに筆者はもう驚くばかりである)

そしてヨーコのシャウトが炸裂する[B-5]We're All Waterでエンディング!
(この曲でのヨーコさんのシャウトを聴いていると「白木みのるさん」を思い出すのは筆者だけだろうか...ちなみに「白木さん」の歌を聴いた事ない方、ぜひ聴いてみてほしい。あの人、凄まじいシャウターだから)

...とまあ、これだけでも十分お腹いっぱいだが、
まだ、Disc1が終わっただけだ。
そう、本作はスタジオ録音のDisc1と
ライブ録音のDisc2のダブルアルバムなの!
そしてここからがまた凄まじい。

C面(Disc2のA面)は
69年のユニセフチャリティイベントにジョンとヨーコが参加した音源になるのだが、その時のプラスチック・オノ・バンドの面子がとんでもない。
クラプトンとジョージ、ビリー・プレストンにキース・ムーン。クラウス・フォアマンにボビー・キーズ、デラニー&ボニー...と錚々たる面々が顔を揃えている(一部偽名でクレジットされているが、わかる人が見ればバレバレなのが茶目っ気があっていい(笑))。
C面は2曲だけだが、はっきり言って、2曲でも重いくらいだ。

原曲の10倍はヘヴィに黒く仕上がった[C-1]Cold Turkey。この曲のエンディングでジョンが声の続く限りシャウトを繰り返すのだが、まるで曲のタイトルをそのまま表現しているような(Cold Turkeyは隠語でクスリの禁断症状を指す)狂気じみた叫びがブルースを感じさせてくれる。

そしてヨーコといえばこの曲!
といってもいいであろう[C-2]Don't Worry Kyokoではひたすら繰り返されるヨーコの叫び声と、
それに呼応するようにひたすらレスポンスし続けるバンドのサウンドがトランシーな16分間に導いてくれる(おそらくだが、この曲で聴けるシンバルをほとんど使わず、太鼓で押し切る重戦車のようなドラムはキース・ムーンと思われる。ちなみにCold Turkeyのタイトなドラムはおそらくジム・ゴードン。予想でしかないが)。

そして最後のD面(Disc2のB面)では
71年、フィルモアイーストでのザッパ&マザーズとの競演が収録されている。

全曲通してパワフルなジョンの歌声に
[D-2]Jamragで顕著なフリージャズのように変幻自在にリズムを行き来するマザーズの仕上がりっぷり[D-3]Scumbagでのジミヘンが乗り移ったようなザッパのギター。
[D-4]Auでのクレイジーなノイズに最後のジョンとヨーコの挨拶など!
聴きどころは沢山あるし、いいんだけどね...

黒いジョンの魅力がばっちり出たA,B,C面の後に聴くと...ロック過ぎる!つらい…
D面だけは別の作品として聴いた方がいい!
(というか、このD面、ザッパファンにはもちろん、ロック好きにも名高い、ザッパのフィルモアイーストの内、ジョンとヨーコがゲスト参加した箇所だけカットアップしたものなので、まさしく別作品だ)

以上、評価の低さに首をかしげるしかない!
そんな充実のダブルアルバムである。

ここまでに書いてきたとおり、エレファンツの黒さや、プラスチック・オノ・バンドのヘヴィさ、
ザッパ&マザーズのロックネスと盤を引っくり返す都度、様々な要素が現れる本作だが、一貫しているのはジョンの歌の良さだ。

力強いシャウトから柔らかな歌い方まで
ビートルズの時から歌い方のバリエーションの広いジョンだが、その声に感じるのはやはり優しさだ。

何をテーマに歌っても、どれだけ声を枯らしても、ジョンの声はなぜか優しい。
それはジョンが優しい男だったからに他ならない。
寂しがりやのリバプールの優しい不良少年。
きっとそれがジョンの根っこだった。

最後に筆者がイチバン!好きなジョンへのリスペクトソングの一節を引用して今回のレビューを結びたいと思う。

拝啓、ジョン・レノン
あなたがこの世から去りずいぶん経ちますがまだまだ世界は暴力にあふれ、平和ではありません
(真心ブラザーズ「拝啓、ジョン・レノン」より)

ジョンがこの世から去って40年近く。
まだまだ暴力のあふれるこの世界で僕らは何ができるんだろう?

サンキュー!ジョン!
あなたの残してくれた道しるべは今もターンテーブルの上で輝き続けているよ。

以上、ハウリンメガネでした。

追伸
Mash氏が告知してくださったように、
今月は「メガネスペシャル」ということで、
来週も原稿が載る予定だ。
さて、来週は何をやるでしょーか?

ヒント、2018年12月現在来日中の超大物バンド
(ニヤリ(笑))

乞うご期待!
ライブ会場でも当然ハウル!
声を掛けてくれ!


12月特別企画!あの「ハウリンメガネ」が書く人気レビュー拡大版のお知らせだゼ!

2018-12-04 14:18:34 | 「ハードパンチ編集部」 からのInfo
ご存知「ハウリンメガネ」のレビューが好評だ。

「レコード盤」に熱い彼の連載は当ブログ
「ハードパンチBlues」でしか読めない!

当然、来年度も連載を継続して行くコトに決定!
したので、早々にご報告しておくぜ!

で、逆に「連載を取りやめる」ものも有る。
コレはリニューアルだったり、完全廃止だったり…
と、今企画自体を整理中です!
近日発表予定ですので、少々お待ちを!

さて、
「ハウリンメガネ」の「連載継続決定記念」
として、この12月に、なんと
「メガネ・レビュー3連発!」
を予定しているぜ!

う〜んHOT!
こんなに熱いと益々の暖冬が決定だぜ!
気候をも変える「メガネの盤レビュー」!
ぜひ期待して欲しいゾ!

次回の更新で「急に来る!」から
心の準備だけはシッカリとしておけ!
さあ、その時を待て!

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