イギリス総選挙、投開票へ 崩壊寸前のEUの行方
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7日に投票が始まったイギリスの総選挙では、キャメロン首相率いる与党・保守党と野党・労働党が第一党の座をめぐって接戦を繰り広げた。
今回の総選挙の主な争点となったのは、「財政政策」「移民の規制」、そして「イギリスのEU残留の是非」だった。
財政政策に関して、保守党は、巨額の財政赤字の削減に取り組み赤字を半減させたことや、14年もGDP成長率が2.6%となるなど高い経済成長を達成したことを強調した。労働党は、保守党の政策による格差拡大を批判し、最低賃金の引き上げなどを公約に掲げ、格差が拡大しないように財政再建を目指すべきだと主張した。
財政再建中であるにもかかわらず、住宅市場の活性化などの個人消費の拡大によってイギリス経済は堅調だ。一方で、輸出は伸び悩み、労働者の賃金も停滞して国民の間で景気回復の回復が伴わないなどの問題もある。
基本的に、財政再建と経済成長は両立しない。国家の財政赤字を減らすために緊縮政策を行うと、実体経済が停滞する。そうなると税収が減って国家財政を圧迫することになる。イギリス政府は、実体経済の成長を優先させ、国民が富むことで税収を増やし、国家財政を安定させることを目指すべきだ。
また、EU内部では、労働者の移転の自由が認められており、イギリスにも低スキルの移民が大量流入している。イギリスでの昨年9月までの1年間における移民の増加は約30万人に上る。移民問題については、両党とも、移民規制の強化を掲げていた。
EU諸国は自立を目指すべき
EU残留の是非については、EUに対して懐疑的な意見も強い保守党は2017年末までにEUからの離脱の賛否を国民投票で問うとした。労働党は、経済の停滞を招くという理由から、EU離脱に反対していた。
ただ、財政破綻寸前の国を多数抱え、EUは崩壊しつつある。今やEUは弱小国家集団となり、ギリシャなどの弱小国家がドイツやフランスの強国などから支援を求めるという構造になっている。各国が自助努力で強くなるという考えが薄いことが問題だ。
イギリスは、ユーロを導入しないなどEUからは一定の距離を取っているが、加盟負担金やEUの規制、移民増など、EU加盟によるマイナス面も生じている。ただ、輸出の約半分がEU加盟国向けであり、EU離脱はデメリットが大きいとの見方が一般的だ。また、EUを離脱すると、ロンドン金融市場への外国からの市場参加が減る可能性がある。
EU諸国は国家意識を強め、金融面・経済面・政治面において、自立する必要がある。自立した国同士だからこそ、他国と友好な関係を維持することができるのだ。イギリスは、自立した国家を目指し、ヨーロッパ諸国のあるべき姿を示すべきだ。(泉)
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