ウクライナ軍がクリミア半島からの撤退を発表し、事実上、ロシアによるクリミアの支配が完了した。G7は、6月にロシアのソチで予定されていたG8首脳会議への参加を取りやめ、同じ時期にベルギーのブリュッセルで首脳会議を開くことを決めた。日本も、この動きと協調することを明言。4月に予定していた岸田外相の訪ロや経済会合の開催も見送る方針だ。
しかし、G7も一枚岩ではない。
ロシアとの間に北方領土問題を抱える日本は、これまで何度かの首脳会談を積み重ね、良好な日露関係を構築してきた。天然資源をロシアに頼るEUも、対ロ制裁にどこまで積極的かは疑わしい。対ロ強硬姿勢の音頭を取るのはアメリカのオバマ大統領であり、G7はアメリカに引っ張られているように見受けられる。日本、EU、アメリカは、ロシアに対する利害関係がそれぞれ大きく異なり、長期間にわたって足並みをそろえていくことは困難だろう。
これらの動きに対し、ロシアのラブロフ外相は「我々はG8にしがみつかない」と述べ、西側諸国との溝は深まりを増しつつある。だが、G7とロシアの関係が冷え込めば、ロシアと中国の関係が強まることが懸念される。そうなれば、中国は「北側からの脅威」に怯えずに済み、漁夫の利を得る、という指摘もある。
ロシアのクリミア支配を「新たな冷戦」と評する欧米メディアも多いが、今まで西側と良好な関係を築いてきたロシアを突き放して中国と結びつけてしまえば、まさにそれが「新たな冷戦構造」を生み出すことになるだろう。
だが、「ロシアが尖閣諸島を中国領と認めるならば、中国も北方領土をロシア領と認めよう」という中国の申し出を、ロシアが断った経緯がある。今のところ、ロシアも、中国を「潜在的な脅威」と捉えているようだ。
歴史的にみても、クリミアがロシアに帰属することは不自然ではない。1783年から1954年まで、ウクライナ出身でソ連の第一書記となったフルシチョフによりウクライナに移管されるまでは、クリミア半島はロシア領だった。ゆえにクリミア住民の多くはロシア系であり、多くはロシアへの帰属を望んでいる。
実際、1992年にはクリミア州議会は、ウクライナからの独立を決議した。当初、独立無効を決議したウクライナ議会だが、協議の末、クリミアは、ウクライナ共和国内の自治共和国となることで合意した。こうした経緯を見ても、この度、ロシアへの編入を決めた住民投票は、「銃口の前の投票」ではなく、住民の本音といえよう。
この点でクリミア半島のロシア編入は、まったく異なる文化や言語、宗教を持つ民族の意思に反してなされた中国(漢民族)による、チベットやウイグルの侵略・併合とは根本的に異なるのである。
日本は、ロシアを突き放すG7と協調しつつも、対中国包囲網を完成させるべく、ロシアとの関係を強化し、西側vs中露のような新たな冷戦構造をつくらぬよう世界をリードすべきだ。(HS政経塾 田部雄治)
中国近海からアメリカ本土に届く長距離弾道ミサイルを搭載した、最新鋭の原子力潜水艦を、中国が2014年末より前に完成させるという見通しを、米太平洋軍のロックリア司令官が25日、上院軍事委員会で証言した。
この証言は、中国が実戦配備を進めつつある、「晋級原子力潜水艦」と、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪2号」に関する言及とみられており、ロックリア司令官は、「中国は初めて海洋をベースにした核抑止力を持つことになる」と指摘している。
長距離弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦の配備は、中国の核戦略において大きな意味を持つ。現時点では、中国からアメリカ本土まで届く長距離弾道ミサイルには、陸上から発射されるものしかない。このままであれば、中国がアメリカを攻撃する動きを見せた時点で、アメリカは中国のミサイル基地を先制攻撃することができる。つまり、中国への「抑止力」が働いているわけだ。
しかし、そのミサイルが潜水艦から発射される「潜水艦発射弾道ミサイル」となると話が変わってくる。
アメリカは、中国のミサイル発射地点を攻撃できなくなる。また、仮にアメリカが中国本土に核ミサイルを撃ち込んで、北京政府やミサイル基地を壊滅させたとしても、深海に潜んでいた中国の原子力潜水艦から、核ミサイルでアメリカ本土に報復される恐れがある。
つまり、中国にとっては、アメリカとのパワー・バランスを変化させる、大きな“進歩"となる。
これは同時に、日本の安全保障上のリスクを増す。日本が中国から何らかの攻撃を受けた際、日米安保条約に基づいて米軍が日本に加勢しても、中国はアメリカ本土への核攻撃をチラつかせ、アメリカを排除することもできるからだ。
一方で、アメリカ国民の反戦ムードは年々高まっており、昨年行われた世論調査でも、国民の半数が米軍のシリア介入に反対していた。同じように、今後、中国に核攻撃されるリスクを冒してでも日本を守るという選択を、アメリカ国民が支持するとは考えにくい。
こうした世論の影響は、米軍の対中姿勢を軟化させている。実際に、ロックリア司令官は2013年7月の記者会見で、「中国海軍が太平洋一帯で活動を強化しているが、アメリカ軍とはきわめて親密で、友好的な関係を作りつつある」と、対中融和姿勢を示した。財政赤字や医療保険などの国内問題に集中したいアメリカにとって、中国を敵に回すことは次第に割に合わなくなりつつある。
日本にとって、日米同盟の重要性は揺らぐことはない。しかし、同盟強化だけでは国を守れなくなるという現実も直視しなければならない。中国が長距離弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦を完成させれば、その脅威はより一層大きくなる。日本は、「自分の国は自分で守る」体制を、早急に構築すべきだ。(光)
文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ
◆日米韓首脳会談が実現
日米韓国首脳会談が25日、オランダのハーグで実現しました。
日本メディアの中には、朴槿恵大統領が安倍首相と目線を合わせず、握手を拒否したことを揶揄するような報道もありましたが、三カ国首脳会談が開かれたことだけでも重要な一歩です。
今回の会談に反発するかのように、北朝鮮は日本海側に向けて中距離弾道ミサイル「ノドン」を発射しており、例え形だけであったとしても、三カ国の首脳会談が北朝鮮への圧力になると証明されました。
日本としては、さらに三カ国の連携を深め、東アジア有事に対応できるよう努力すべきでしょう。
◆韓国では以外と知られていない北朝鮮の人権侵害
北朝鮮については人権状況に関して、先月17日に、国連の人権委員会に報告書が提出されました。
表現・思想の自由がないこと、政治犯収容所で行なわれている拷問や公開処刑、さらに外国人に対する拉致などについて人道に対する罪に当たると指摘しています。
強制収容所における労働や拷問などによって、過去50年で数十万人が死亡。
現在も8万人以上が収容されていると報告書は伝えています。
同様に、拉致については子どもを含む外国人20万人以上が犠牲になったとされています。
特に、強制収容所における人権侵害は目を覆うものがあります。
北朝鮮の強制収容所12号を抜け出した女性脱北者は次のように語っています。
「遺体から出てきたうじ虫を、周りの人は捕まえて食べていました。
私は、体に悪いのではないかとも心配しましたが、生き延びるために、私も食べるようになるのではと想像しました。
(収容所では)ねずみを生で食べていました。口が血で真っ赤なのを覚えています。
収容所ではたくさんの人が殺されます。1か月に3人も殺されていました。」
(参照:http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2014/03/0317m.html)
しかし、韓国国内では、北朝鮮で目を覆いたくなるような人権侵害が行なわれていることは、それほど知られていません。
北朝鮮でのキリスト教徒への迫害を描いた『神が送った人』という映画が公開されていますが、これを見た観客は「北朝鮮の現実についてあまりに無知だった」と感想を述べています。(2月25日付朝鮮日報)
また、日本では強制収容所の悲惨な実態を描いた映画『北朝鮮強制収容所に生まれて』が公開されていますが、韓国では親北の国会議員の反対で上映される予定はありません。
韓国では、北朝鮮の人権侵害を伝える脱北者に対し、親北の議員が「裏切り者」「変節者」「ゴミ情報を量産している」と攻撃することもめずらしくなく、本来であれば一番同情すべき韓国人が北朝鮮問題に関して一致団結して解決に当たることができていません。
◆封殺される親日派の声
それに対し、親日的な言動については、強硬な統制が行なわれています。
昨年7月に、韓国出身の呉善花(オ・ソンファ)氏が韓国への入国を拒否されたことは有名です。
韓国政府は入国拒否の理由を明らかにしていませんが、呉善花氏の言論活動が親日的であるとみなされ、そのために入国できないのではないかと考えられています。
『親日派のための弁明』の著者である金完燮(キム・ワンソプ)氏は朝鮮半島の日本統治を肯定的に評価したため、本書は有害図書に指定され、金完燮氏は名誉毀損と外患扇動罪で逮捕されています。
同様に、日本による統治が韓国の近代化につながったという論文を発表している李栄薫(イ・ヨンフン)氏もソウル大学の教授を辞職するように圧力を受けました。
残念ながら、韓国では親日的ととられる言論は攻撃され、学問の自由も保障されていない状況にあります。
その結果、世論は「親北反日」に偏っていく一方です。
◆今こそ行動を起こす時
こういった世論を考慮すると、日本と協力関係を築き、北朝鮮と対抗していく困難が理解できます。
その中でも、日米韓の首脳会談が開けたことは大きな一歩です。3ヶ国は北朝鮮の人権問題の理解をされに深めるとともに、拉致被害者が出ているヨーロッパ各国にも協力を要請し、この問題を一日でも早く解決できるよう連携を深めるべきです。
ただ、韓国国内世論と朴大統領の今までの言動を見ていると、どれだけ信頼関係を構築できるか楽観できません。
また、アメリカが外交よりも国内問題を優先する孤立主義の時代に入りつつあります。
最終的には日本単独でも北朝鮮に対処する気概が必要です。
北朝鮮の人権状況について報告書をまとめたカービー委員長は、証言の多くに涙を流さずにはいられなかった、と述べ、次のように訴えました。
「これまで国連は報告を受けても行動をおこさなかった。今こそ行動を起こす時です。」
21世紀、最悪の人権弾圧を終わらせる覚悟が必要です。
ファクト公開中】中国のチベット弾圧にNOを 「THE FACT」第9回
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7612
マスコミが報じない「真実」を伝えるネット・オピニオン番組「THE FACT(ザ・ファクト)」第9回が、3月27日(木)20時から公開されている。映像は約12分間で、番組のYouTubeチャンネル( http://www.youtube.com/user/theFACTtvChannel )で観ることができる。
中国共産党政府は1950年、「解放」の名のもとに軍事力でチベットを併合。多くのチベット人を虐殺している。それだけでなく、思想や表現、信教の自由を完全否定し、歴史教育やチベット語の使用を禁止するなど、チベットの精神的なつながりや民族の文化を消滅させようとしている。
こうした中国共産党の横暴に対し、スペインの全国管区裁判所は昨年末、中国でチベット人虐殺に関与した容疑で、江沢民元国家主席、李鵬元首相ら元中国政府要人5人に逮捕状を出している。
第9回放送では、「チベット~中国による史上最悪の人権弾圧~」をテーマに、インドに住む亡命チベット人に、チベットでの人権弾圧の現状を聞いた。
さらには、江沢民らを訴えたスペインの人権団体の代表らにもインタビューを試みた。
番組の取材に対し、亡命チベット人らは口々に、チベットでどれほど多くの虐殺が行われているかや、僧侶らが焼身自殺をしていることなどを訴えた。政治犯として拷問を受け、その後亡命したチベット人も取材に応じ、その凄惨な体験を証言している。
スペイン取材では、江沢民氏らを訴えた人権団体の代表、バレンシア大学のホセ教授と、弁護士マイテ氏にインタビュー。
スペインの法律では、スペイン国籍を持つ人が「人道に対する罪」などの被害を受けた場合、それが国外でのことであっても、スペインの裁判所が裁くことができる。この考え方を普遍的管轄権と呼ぶ。だが、逮捕状に強い反発を示した中国に配慮してか、スペインは今年2月国内法を改正し、普遍的管轄権の適用を制限し、もともとスペイン国籍を持っていた人が国外で人権犯罪を受けた場合のみに限るとした。ホセ氏らはインタビューで、国内法改正の背景にあった、中国がスペインに対してかけた圧力を具体的に語った。
国連人権理事会は20日、中国の人権環境を改善するよう、250件の勧告を採択した。そこには、人権活動家への嫌がらせや身柄の拘束を止めること、チベットやウイグルなどの少数民族の権利を保護することなどが含まれているが、中国代表は「事実に即していない」と反発した。
メインキャスターの里村英一・幸福の科学広報局長は、チベット人亡命者の「日本に頑張ってほしい。中国に対抗できるのは日本だけだから」という悲痛なコメントを紹介している。本番組で、今、現実にチベットで起きていることを知り、日本に何ができるかを考えてみたい。(居)
露メディア「日本の露制裁は最も緩い」 日本のロシア外交はバランスが肝心
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7613
クリミア併合を進めたロシアに対して、欧米は資産凍結の制裁を発動し、さらなる追加制裁の可能性に言及している。日本は、ビザ発給要件の緩和交渉の停止などの制裁実施で、欧米の路線に同調する構えを見せている。この日本の動きについて、露国営メディアの「ロシアの声」は25日、「日本はG7で最も緩やかな制裁である」と指摘し、経済分野での関係深化に期待を寄せている。
日本は、欧米との関係を考慮し、制裁路線に同調したものの、19日の日露投資フォーラムの実施に踏み切った。同会合で、プーチン氏が送った祝辞の内容は「経済面での日露連携を深めていく」というものであった。「ロシアの声」は、この会合を引用し、ロシアは西側に立つ日本の立場に理解を示しているという。
また、同メディアは24日、「52%の日本人は北方領土を考慮した独自外交をするべきだ」という日本の調査結果を引用した上で、「日本の制裁は限定的であり、日露の経済関係に影響しない」と分析している。国営通信社のイタルタスも、日本に関連する報道は客観的なものと言える。
日本の報道では、「日本はロシアとアメリカの板挟み状態で、厳しい立場にある」という論調が見られる。しかし、当事国のロシア側は、制裁を実施する日本を敵視しないばかりか、「中長期的に見て日露関係はさらに深化する」という見方をしている。
日本は、欧米と歩調を合わせつつも、日露関係を悪化させないというバランス外交を取り続けるべきだ。日本にとっての脅威は、軍拡を続ける中国であって、ロシアではない。中国を牽制する意味でも、日本はロシアとの関係を深める必要がある。(慧)
◆日本は高速増殖炉を完成させ、核廃棄物の問題を解決すべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7614
オランダ・ハーグで開かれていた核セキュリティサミットが25日に閉幕した。サミットでは、茨城県東海村にある核物質500kgを米国に引き渡すことを日米で合意した。
これらの核物質は、福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」などの研究に利用している高濃縮ウランとプルトニウムであり、高濃度で核兵器への転用が可能である。米国は、これらがテロリストに奪われる危険性を指摘していた。
だが、核物質のアメリカへの返還によって、もんじゅの研究が遅れる可能性が出てきた。
日本は、返還予定の高濃度のプルトニウムの他にも、国内に44トンのプルトニウムを保有する。これらは原子力発電の過程で核廃棄物として発生するもので、青森県六ヶ所村の再処理工場から取り出すことができるが、不純物が多く、もんじゅの研究には使えないという。
もんじゅは、原発から出た核廃棄物を、原発の燃料として使えるプルトニウムに変換することができる(これを「増殖」という)。それだけではなく、核廃棄物を減らすという優れた特徴を持つ。なんと核廃棄物を1/7にまで減少させることができるのである。また、約10万年という高寿命の放射性廃棄物を、天然ウラン並みの約300年に短縮させることも可能という。
もんじゅの研究を通じて高速増殖炉が実用化すると、世界中の核廃棄物の問題に大きく貢献することができる。本来、日本はこの意義を強く主張すべきだろう。
しかし、日本はもんじゅに積極的ではない。2月下旬、政府がまとめた「エネルギー基本計画」では、従来「高速増殖炉」と表現されていたものが「高速炉」に変更された。主要目的からプルトニウムの「増殖」が外されて、格下げされた格好だ。
今回の核物質のアメリカ返還の決定は、核拡散防止のためのアピールとして一定の意味を持つことは理解できる。しかし現実には、核廃棄物の最終処分をどうするか、世界中の国々が悩んでいるのである。
その点で、日本に核物質の返還を要求したオバマ大統領の判断はミスと言える。原発技術で世界のトップクラスにある日本がリーダーシップを発揮して、高速増殖炉を完成させることは、世界の発展に大きく寄与するからだ。
(HS政経塾 田部雄治)
◆日本は高速増殖炉を完成させ、核廃棄物の問題を解決すべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7614
オランダ・ハーグで開かれていた核セキュリティサミットが25日に閉幕した。サミットでは、茨城県東海村にある核物質500kgを米国に引き渡すことを日米で合意した。
これらの核物質は、福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」などの研究に利用している高濃縮ウランとプルトニウムであり、高濃度で核兵器への転用が可能である。米国は、これらがテロリストに奪われる危険性を指摘していた。
だが、核物質のアメリカへの返還によって、もんじゅの研究が遅れる可能性が出てきた。
日本は、返還予定の高濃度のプルトニウムの他にも、国内に44トンのプルトニウムを保有する。これらは原子力発電の過程で核廃棄物として発生するもので、青森県六ヶ所村の再処理工場から取り出すことができるが、不純物が多く、もんじゅの研究には使えないという。
もんじゅは、原発から出た核廃棄物を、原発の燃料として使えるプルトニウムに変換することができる(これを「増殖」という)。それだけではなく、核廃棄物を減らすという優れた特徴を持つ。なんと核廃棄物を1/7にまで減少させることができるのである。また、約10万年という高寿命の放射性廃棄物を、天然ウラン並みの約300年に短縮させることも可能という。
もんじゅの研究を通じて高速増殖炉が実用化すると、世界中の核廃棄物の問題に大きく貢献することができる。本来、日本はこの意義を強く主張すべきだろう。
しかし、日本はもんじゅに積極的ではない。2月下旬、政府がまとめた「エネルギー基本計画」では、従来「高速増殖炉」と表現されていたものが「高速炉」に変更された。主要目的からプルトニウムの「増殖」が外されて、格下げされた格好だ。
今回の核物質のアメリカ返還の決定は、核拡散防止のためのアピールとして一定の意味を持つことは理解できる。しかし現実には、核廃棄物の最終処分をどうするか、世界中の国々が悩んでいるのである。
その点で、日本に核物質の返還を要求したオバマ大統領の判断はミスと言える。原発技術で世界のトップクラスにある日本がリーダーシップを発揮して、高速増殖炉を完成させることは、世界の発展に大きく寄与するからだ。
(HS政経塾 田部雄治)
文/政務調査会チーフ 小鮒将人
◆4月1日の消費増税が近づき、日本のマスコミでも特集開始
あと3日で消費増税が始まります。日本のマスコミもここに来て突如、特集を組んで増税後の具体的な値上がりについて報道するようになりました。
本来であれば、昨年の9月から10月にかけて、安倍総理が決断する時期に報道しなければならないはずです。しかし当時は、アベノミクスの影響として好況であり、増税やむなし、という論調でありました。
一方、海外のメディアでは昨年からすでに核心をついた報道が行われています。2013年9月13日のイギリスの経済紙「Financial Times」では、次の見出しで報道されました。
「安倍首相の戦略は1997年の消費増税の悪い記憶を思い出させる」
「消費増税により消費が減退し、最近の景気回復は止まってしまうのか」
(いずれも原文は英語)
さらに2013年9月16日「International Herald Tribune」では、
「経済の専門家、増税計画が日本の経済成長を止めるのではと懸念」
「消費増税が個人消費の盛り上がりを潰してしまうのではないかと彼ら(専門家)は述べている」(いずれも原文は英語)
との見出しで「安倍総理の増税の決断が最悪のタイミングであり、日本の景気回復の根幹を崩しかねない」と報じています。
海外では当たり前のように行われてきたこのような議論が、日本国内ではほとんどなされなかった事が残念です。
◆家計支出の削減はどこから?
昨年10月、安倍総理が「消費増税」の決断をしてからもマスコミは相変わらず「アベノミクス」による経済成長に焦点を当ててきました。
残念ながら、景気は今年に入ってから、その勢いに陰りが出ており、日経平均株価も年初から比較すると下落の傾向性が止まらない状況です。
来週からは増税が始まるのですが、すでに消費景気の冷え込みが見え始めています。外食、自動販売機、切手等々、日常のあらゆる暮らしの中に増税が影響してきます。
今回の増税には「軽減項目」はないので、当然その中に「新聞紙」も入ります。
確認したところでは、大手新聞も、消費増税をきっかけとして値上げに踏み切ります。朝日新聞は、宅配の新聞に限り3,925円から4,037円へと110円の値上げとなるほか、中日新聞は、駅売りの販売価格を110円から130円へと20年ぶりの値上げとなります。
危機感を持っている消費者はすでに家計の防衛に入り、可能な支出の削減に入っているようですが、4月以降さらなる削減として、上記に掲げた新聞購読料も入る可能性があり、新聞社にとって経営危機が訪れようとしています。
新聞社自身が分かっているとおり、長期デフレ下の中での値上げということは販売上、極めて厳しいのです。
マスコミは本来、安倍総理が決断する前までに、経済に及ぼす影響をしっかりと伝えなければならなかったのです。それがこの時期、自らの身に及ぶことになりました。
◆もう一つの動き「マイナンバー法」に要注意
また、消費増税に関連して、「マイナンバー法」の動向についても注目しなければなりません。
去る3月18日の日経新聞1面によると、政府は預金口座にマイナンバーの登録を義務付ける方向で銀行界との調整に入っています。
「脱税、マネーロンダリングを防止する」という大義名分はもっともに聞こえますが、財務省はこの他に、「国家が個人財産を管理する」ことも一つの目的として意図しているとも言え、注意が必要です。
これは、消費増税の隠された目的でもある「国家社会主義」への道にも大きく関係しています。このような動きが着々と進められていることについて、広範囲に報道されていませんが、注意深くしなければなりません。
◆社会保障に使われる保障はない
また、政府・自民党や民主党等は「増える社会保障費のために増税しなければならない」と主張していますが、現在の議論を見る限り、本当に消費増税分が社会保障費に充てられるかははっきりと決まっていません。
そうであれば、「福祉目的税」となるべきなのですが、増税分の支出について、はっきりと社会保障費として規定されているわけではないこともお伝えいたします。
◆日銀は「2%成長」を忘れたのか
昨年は、日銀の「異次元緩和」なる金融緩和の結果、株価の上昇と消費景気の拡大、さらには2020年東京オリンピックの開催決定などの要素が重なり好況を感じさせる一年でありました。
その立役者であった黒田日銀総裁は、就任直後の意気込みは大変強く、実質GDP「2%成長」を掲げ、日本経済も活気を持つようになりました。
しかし昨年9月、消費増税の議論に関して、財務省寄りの発言を行ってからはやや存在感が薄くなり、そして、本当に2%成長を目指そうとしているのか、疑問に感じられるようになりました。
それに関連して、先日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で「現在の失業率3.7%は完全雇用に極めて近い」と発言し、日本経済が安定しているとの認識を示しました。しかし、特に地方においては、雇用は地域の最重要課題の一つとして取り上げられています。
数字以上の厳しい実態がある中で、日銀の考えが本当に実態に即しているものなのか、大きな疑問が残ります。
かつて民主党政権時代、まじめに「増税によって景気がよくなる」と言った首相がいました。
現在の日銀総裁について、まさか「増税によってGDP2%が達成できる」と考えてはいないとは思いますが、いずれにしても今後の日本経済について危機感が薄いことは事実です。
◆鹿児島補選でも消費増税の是非が争点に
この消費増税の是非については、来る4月15日告示の衆院鹿児島2区補選でも大きな争点となることは間違いありません。
消費増税施行後の初の国政選挙として、国民がどのような判断をするのか、この結果が注目されるところです。
幸福実現党は、今後も一貫して消費増税反対を掲げて、がんばってまいります!
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7592
4月より消費税が5%から8%に増税される。さらに来年秋に10%まで引き上げるか否かを、今年7~9月の実質GDP成長率を見て判断する予定だ。
政府は、今回の増税による景気の冷え込みを和らげるために、2013年度補正予算に5.5兆円の経済対策を盛り込んでいる。また、公共事業を早く実施に移すために、財務省と関係省庁のやり取りも活発になっているという。財務省幹部が、「すべては7~9月にかかっている」と漏らしたように、もしここで景気が腰折れしたら、消費増税は見送ることになる。(25日付日経)
財務省幹部の発言に見る通り、今回の経済対策は景気回復のためではなく、消費増税を通すためにGDP成長率を水増しするのが目的だ。
8%への消費増税を決定したときには、2013年4~6月の実質GDP成長率4.1%という数字(2013年9月時点発表)をもとに判断したが、この成長率は公共事業を集中的に実施して、人為的につくったものだ。実際、この年の後半は公共事業の減少と共に成長率が大幅に落ち込み、年間通じての成長率は2%にも届かなかった。
今回も、7~9月の成長率だけよく見せるために、公共投資を増やしているわけだ。
そもそも、アベノミクスの目的は脱デフレであったはず。それを達成するには、成長率ではなく、国民所得が増え、それに伴って物価が上昇することが必要だ。だが実情は、安倍晋三首相が企業に賃上げを要請しなければならない状況だった。それに応じた企業はあるものの、収益増を背景にした自然増ではないため、いつまで続くものかは分からない。従業員としても、消費より貯蓄に回したくなるのが本音だろう。
日本経済はまだ、今回の消費増税に耐えられる状態ではなく、4月以降の景気は深刻な状況になるだろう。
さらなる10%への増税など、日本経済を完全に破壊してしまう。政治家も国民も、財務省に何度も騙されるべきではない。今年7~9月の成長率は、財務省がすでにつくる準備に入っていることを忘れてはいけない。(居)
【関連記事】
2014年3月15日付本欄 減速する日本経済 消費増税の根拠はすでに崩れている
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7521
2013年10月2日付本欄 安倍首相8%へ消費増税を決断 ニッポン沈没の引き金を引いた?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6730
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7593
アメリカに配慮する安倍政権は、歴史問題を打開することができるのだろうか。
日本軍がアジア諸国を侵略し、強制的に慰安婦を集めたとする河野談話の検証に関し、自民党の萩生田光一総裁特別補佐は23日、「新たな事実が出てくれば、それに基づき新たな政治談話を出すことはおかしなことではない」と述べた。
それに対し、菅義偉官房長官は翌日の会見で「安倍晋三首相が見直しはしないと明言している。検証はするが、見直しはあり得ない」と新談話の可能性を否定した。安倍晋三首相が14日に談話の見直しを否定したことを受けての説明だ。
こうした姿勢の背景には、アメリカへの配慮があると思われる。アメリカが韓国に強く働きかけたことによって、これまで日本との首脳会談を受け入れてこなかった韓国がついに折れ、25日の日米韓首脳会談が実現したからである。
しかし、萩生田氏の発言はどう見ても真っ当だ。むしろ、河野談話を「検証」しながら、同時に「継承」するという政府の姿勢こそ矛盾している。「談話が裏づけの無いものであることが正式に明らかになったとしても、同談話を認め続ける」と表明することは、「日本は外交上の都合で、事実を歪める」と世界に発表しているようなものだ。
「談話の検証」を「新談話の発表」とセットで考えることこそ、国民にとって誠実であり、長期的な国益につながる。
大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は昨年、政府の歴史認識を示す新たな談話の参考となるよう、「大川談話─私案─」を発表した。
同案には、「歴史的事実として証拠のない風評を公式見解としたものである。その結果、先の大東亜戦争で亡くなられた約三百万人の英霊とその遺族に対し、由々しき罪悪感と戦後に生きたわが国、国民に対して、いわれなき自虐史観を押しつけ、この国の歴史認識を大きく誤らせたことを、政府としてここに公式に反省する」とある。
今まで日本が、河野談話・村山談話で自虐史観を国内外に植付けてきたことが、自主防衛体制を整えることを妨げ、「謝罪外交」は近隣国の挑発や軍事拡張などを増長させてきた。同時に、日本人に自虐的なメンタリティを持たせてきた。
日本の国益を根幹から蝕む談話を発表し、歴代政権がそれを継承してきたことこそ、日本は国民に“謝罪"するべきだ。その点では、同談話を継承した安倍政権も同様だ。河野談話と村山談話が正当なものであったかを検証し、「事実」に基づいた談話を発表する必要がある。(光)
集団的自衛権の行使容認をめぐって、議論が本格化してきている。政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が4月にまとめる報告書の内容を固めつつあるほか、公明党の山口那津男代表は22日、松山市内の講演会で集団的自衛権について触れ、改めて慎重な姿勢を示した。
こうした中、公明党は先週、集団的自衛権に関する党内の勉強会を初めて開催した。同党は、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認は認めないという立場を取っており、党内の足並みを揃えることを目的としているようだ。
公明党は、中国や北朝鮮をはじめとする日本周辺の安全保障環境が緊迫化する状況を認識しつつも、個別的自衛権の拡大や警察権の範囲内で対応できると主張してきた。先週の勉強会でも、北側一雄・党副代表は、「これまで長年積み重ねられた政府解釈について、もう一度よく理解をしていく必要がある」と、行使容認を進めようとしている安倍内閣の方針に釘を刺している。
だが、一方では党内でほころびも出始めている。公明党は行使容認に賛成と受け止められないように、これまで党内での議論を避け、各議員に独学を促すレベルにとどめてきた。党は憲法解釈による行使容認に反対という見解に沿う阪田雅裕元法制局長官の書籍を読むように薦めてきたが、実際は分かりやすさから石破茂・自民党幹事長の入門書を読む新人議員が続出しているという。
石破氏は行使容認に積極的なため、議員が行使容認に立場を変えてしまう可能性もあると、公明党幹部は危惧しているようだ。実際に、公明党の若手議員7人は石破氏と18日に懇談しており、集団的自衛権の行使容認について、「国民の理解を得るために十分な議論を尽くす必要がある」との認識で一致している。
第二次安倍政権の発足以降、集団的自衛権の行使容認に関する議論が何度か出たが、その都度、自公連立政権の「ブレーキ役」を自負している公明党は容認反対の立場で足を引っ張ってきた。
しかし、東アジアの安全保障情勢が緊迫化する中、「平和」を掲げるだけでは日本の安全を守ることはできない。軍事的な拡張を続ける中国・北朝鮮から日本を守るためには、集団的自衛権の行使容認は必然の選択と言えるだろう。自民党はこれまで連立与党である公明党に配慮し続けてきたが、そろそろ、与党内での「ねじれ」を解消し、日本を守ることのできる体制の構築を望みたい。(飯)
http://hrp-newsfile.jp/2014/1356/
文/岐阜県本部副代表 河田成治
今回から、敗因を掘り下げて考察し、幸福実現党の政策について考えてみたいと思います。
◆情報戦略
(1)情報戦で負けた日本軍
たいへん悔しく思うのは、太平洋戦争の直前から敗戦に至るまで、ずっと日本の暗号がアメリカに筒抜けであったことです。
(正確には、戦争直前は日本の暗号のおおよそが解読でき、ワシントン駐在の日本人大使と東京外務省の暗号電文が解読され、日本が戦争を決意したという極秘情報も、ルーズベルト大統領はキャッチしていた。)
しかし日本は、暗号技術に絶大な自信を持っていて、敗戦まで解読されていたことに気がつかなかったようです。
太平洋戦争の帰趨を分けたミッドウェー海戦、山本五十六長官の戦死、東京大空襲を許すこととなったマリアナ沖海戦、日本の敗戦が決定的となったレイテ沖海戦、これらすべてで、日本の作戦は筒抜けで、日本が情報戦で負けたことが、敗戦の原因であったといっても過言ではありません。
(2)現代でさらに重要になる情報収集能力
従って、現代でも、外交や国防政策においては、情報戦が最重要の鍵を握っています。
たとえばアメリカは、CIA(中央情報局)やNSA(国家安全保障局)など情報機関に、年間で約7兆円(産経2009.9.16)もの予算をかけています。これは、日本の防衛予算の1.5倍にもなる金額で、アメリカは情報部門だけで、これだけのお金をかけているのです。
またエシュロンと呼ばれる電波傍受施設を、アメリカは世界中に持っていますが、これは、史上最強の盗聴機関といわれ、軍事無線は当然のこと、携帯電話、ファクス、電子メールなど、おおよその通信が盗聴されていると言われています。
このエシュロンは、日本の青森(米軍三沢基地)にも存在するようで、つまり、日本やアジア近隣諸国の情報は筒抜けになっています。
このように、アメリカの情報収集と分析にかける労力は桁外れです。
また当然、中国も政府の管轄する国家安全部、軍が持つ総参謀第二部などの情報機関を持ち、情報収集のほか、スパイ活動などを行っていますが、詳細は不明です。
一方、日本はCIAにあたる組織は持っていません。あえて言えば内閣情報調査室がそれにあたりますが、その職員数は170名で、CIAの2~3万人(推定)に比べ、予算も規模も比較になりません。
自衛隊も情報本部(2400名。予算約500億円。防衛省HPより)等を持ち、外国の軍事情報を収集、分析していますが、やはり非常に限定的な組織です。
ちなみに、情報収集活動の中には、友好国からもたらされる重要な情報源もありますが、「特定秘密保護法」ができたことで、相手国もより安心して秘密情報を日本に提供できるようになったといいます。
(それまでは日本に情報提供すると、簡単に情報漏洩してしまうので、危なくて提供できないと言われていた。)
このように日本も情報の重要性を認識し、法律の整備等も行うところですが、他国とは太刀打ちできない差が開いていることも事実です。(次回につづく)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7589
核安全保障サミットに出席するため、オランダ入りした中国の習近平国家主席と韓国の朴槿惠大統領が23日夜、ハーグ郊外で会談した。
この会談で、習氏は、中国黒竜江省のハルビン駅に日本の初代総理大臣で初代韓国総監でもある伊藤博文を暗殺した安重根の記念館が1月に開設されたことについて、「私が記念館建設を指示した」などと述べたほか、日本統治に抵抗した朝鮮人部隊の記念碑を西安に建設中であることを明かし、「中韓国民の結びつき」を強調した。朴氏も「両国国民から尊敬される安重根義士をしのぶ記念館は、友好協力の象徴となる」と応じるなど、謝意を伝えたという。
実は、昨年6月に大川隆法・幸福の科学総裁が安重根の霊を呼び、霊言を収録した際、「習氏が安重根を応援している」ことが明らかになっていた。安重根の霊は、途中から、近くに自分を応援する霊が来ていると言い出し、それは「習近平の遣い」であることが判明した。
また、この霊言の冒頭で大川総裁は、中国、韓国はアベノミクスが始まった頃から「人民元安」「ウォン安」になって輸出で儲けられなくなり、日本に反撃するために、安重根を英雄として祀ることで両国の共同戦線を張ろうとしていると見抜いていた。そして、これがある意味での甘えであり、現在の韓国の調子が悪いことについて、その理由の原点を百年以上も前の日本統治に求めていることを指摘している。
他人や環境のせいにしていては、何事も好転しないのが世の常だ。朴大統領が本当に韓国を発展させ、国民を幸福にしたいなら、歴史問題で日本を攻撃している場合ではない。現在の自国の問題は自分たちの責任として受けとめ、解決していかなければならない。(紘)
◆日米韓首脳会談を最も必要としているのは韓国
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7542
日米韓首脳会談が、25日に開かれる見通しだ。オランダ・ハーグで24、25日に開催される核安全保障サミットに合わせてのことで、安倍晋三首相と朴槿惠・韓国大統領が就任して初めての直接会談となる。
韓国が歴史問題で日本を非難し続け、日韓関係が冷え込む中で、安全保障上の懸念が増すと判断したオバマ米大統領が仲介した形だ。日朝政府間協議の再開などの日朝接近で、韓国側の危機感が高まったことや、安倍首相の「河野談話は見直さない」という発言も影響したと見られる。
朴大統領はこれまで、第3国との首脳会談の場で、わざわざ歴史問題を持ち出して日本を批判する「告げ口外交」を続けてきた。その体面もあり、今回の会談が、国民感情を損なわないような形式になるよう神経をとがらせている。
一方で、3月に行われた韓国国民を対象にしたアンケートでは、「日韓首脳会談を開くべき」という意見は過半数に達している。韓国にとって死活問題なのは、70年も前の歴史問題ではなく、現実に直面している北朝鮮の核兵器なのだ。
韓国は自国の防衛について米軍の協力を前提にしており、有事の際には、在韓米軍だけでなく在日米軍が日本の基地から支援することも必要としている。
しかし、18日付産経新聞によれば、昨年の日韓両政府の非公式協議で、日本人の対韓感情があまりにも悪ければ、朝鮮半島で有事が起きた際に日本は米軍が基地を使うことを認めない可能性もあると、日本側が指摘した。そうした対応が取られる可能性は非常に低いものの、日本側の発言を理解した瞬間、韓国側は凍りついたという。日韓関係を改善しなければならないのはむしろ韓国の側なのだ。
この期に及んで、もし朴大統領が日米韓首脳会談で、慰安婦への賠償や謝罪を求めるようなことがあれば、一国の元首として失格と言わざるを得ない。朴大統領は再三再四「歴史問題を解決することが未来志向だ」と言ってきたが、事実無根の言いがかりで結局、自国の未来を危うくしていることを自覚すべきだ。もちろん安倍首相も、日本を貶める「河野談話」の見直しは憲法改正の必要条件であるという認識のもとに、安易な謝罪は決してすべきではない。(居)
◆米提督「中国の軍拡」を批判 日本は危機感の薄いASEANに改革を迫れ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7580
インドネシアが主催する「ジャカルタ国際防衛会合」が、19日から20日の日程で開催された。オーストラリアや日本など50数カ国の政府関係者や専門家が集まり、中国の東シナ海進出や海洋の安全保障などについて話し合いが行われた。
同会合でハリス米提督は、クリミア問題にふれて、アジアで起きている領土争いについて懸念を示し、「中国の失地回復主義の傾向」を強く批判した。清朝時代の領土回復を画策する中国は、東シナ海や南シナ海にある島の領有権の根拠を歴史に求め、軍拡を背景にした外交により、周辺地域を不安定化させている。ハリス提督は、これに強い危機感を表し、領有権争いの行き着く先が「アジアのクリミア化である」と指摘した(英紙フィナンシャル・タイムズ 19日付電子版)。
こうした中国の軍拡に対して、アジアの一部の国はすでに防衛体制を構築し始めている。
インドは、この10年間で軍事費を3.5倍に増やしており、特に海軍の増強が目覚ましい。この軍拡に関して、インドのガガンディープ・バクシ少将は、21日付米誌ディプロマットのインタビューで、「インドの軍拡は、中国の軍事的台頭に向けられたもの」と発言。「中国の軍事予算は、実際よりも過小評価されている」と指摘した上で、「インドは日本やベトナムとの間で、戦略的な協力をより深めていく必要がある」とした。
また、中国と南沙諸島の領土問題を抱えるフィリピンは、1990年代に一度米軍を撤退させたものの、中国の脅威が強まる中、このほど新たに米軍の基地使用に合意した。今回の合意により、米軍の人員や艦艇の配備が増加する見通しだ。フィリピンの憲法では、「外国軍の駐留を認めない」という条項があり、憲法違反の可能性も指摘されているが、政府は米軍の駐留について「憲法違反に当たらない」と発表。4月のオバマ大統領との会談で最終合意する予定だ。
このような中国を牽制する国がある一方で、ASEAN諸国全体で見ると、経済的に中国依存を強めており、安全保障上の危機感が薄い状況だ。ミャンマーやカンボジア、ラオスは中国の顔色をうかがい、強い態度で臨めないでいる。フィリピンは、南沙諸島の領土問題を国際司法裁判所に提訴したが、同じく領土問題を抱えるマレーシアは、提訴する姿勢を見せない。対中姿勢に温度差があるASEANは、南シナ海の領土問題に対処する行動規範が策定できず、機能不全の状態だ。
中国は、ウイグルやチベットを強奪し、人権弾圧を繰り返すなど、政府が主導して非人道的な行為を行っている。ASEANは中国と経済的な関係があったとしても、安全保障や領土問題で、中国に妥協してはならない。日本は、すでに中国の本質を見抜いている国と連携を取りながら、対中防衛で遅々として連携が進まないASEANに改革を迫り、そのリーダー役を引き受けるべきだ。そのためにも、自国の経済や国防を強化しなければならない。(慧)