(8月22日収録)
幸福実現党政務調査会長 里村英一
台湾の民主の父とも言われる李登輝元総統が7月末に亡くなりました。あらためて97歳で天寿を全うされた李登輝元総統のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
今回は、これから台湾がどう動くのか、そして中国、アメリカはどう動くのか、さらに日本はどう動くべきか、この3点に絞って話をしたいと思います。
◆「台湾の未来」を考える3つの視点――(1)台湾はどう動
くのか
台湾は、1996年に李登輝氏が初めての総統選挙をやって民主的に選ばれて以降、25年ぐらいの間は、中国からの決別と中国にすり寄る時期を繰り返してきました。
馬英九前総統の時は、かなり中国に接近し、もう少しで台湾が中国に飲み込まれるところまでいきました。
これに対して、現在2期目の蔡英文総統は、もともと李登輝元総統に見いだされて政界に身を投じた方です。
蔡英文総統の政治は、簡単に言うと「台湾アイデンティティ」を掲げ、「中国とは別の台湾」という考え方に根ざしています。
また、「コロナウイルス」を見事な手綱さばきによって抑え込んだこともあり、蔡英文総統の支持率は基本的に60%、70%台を維持しています。
今年1月の蔡英文氏当選以来、台湾の人々が国民党の中国寄りの姿勢をいやがって「台湾アイデンティティ」の方に向かったと言えます。
私は今年3月に台湾の国政について、台湾大学のキャンパスの外で学生を中心に男女5人ぐらいに取材しました。(取材映像ありhttps://youtu.be/8yM8jK_44n8)
「蔡英文氏の当選をどう思いましたか」と聞くと、全員が良かったと答えています。その理由は、「一国二制度などの中国の言い分によって台湾が中国に統合される動きが止まったから」です。
2020年、台湾の政治大学の調べによると、「私は台湾人である」と意識している人たちの割合が67%で約7割が台湾人意識を持っており、「台湾意識」が進んでいます。
蔡英文氏は、総統選挙の公約の大きな柱を「中国からの防衛」に置き、自分の国で兵器を造ること、あるいはそれをアメリカなどから輸入すると言っておりました。
数名の与党民進党の国会議員に取材した際にも、そのうち一人の女性国会議員は次のように言っていました。
「アメリカや日本が台湾を応援してくださるという声があるのはありがたいのですけれども、基本的に中国からの脅威に対しては台湾が台湾だけででも自分たちの国を守りける体制をつくることが必要だと思います。」
これから台湾は、中国からの独立がはっきりしてくる流れになると思います。
◆「台湾の未来」を考える3つの視点――(2)台湾に対して中国・米国はどう動くのか
2点目は、台湾に対して中国がいったいどのように動くかです。
習近平中国国家主席は、もちろんコロナの影響もありますが、米トランプ大統領からケンカを売られ、どんどん窮地に立たされています。
今年8月に中国で行われた北戴河会議(中国の長老と現役幹部の会議)で習近平氏は世界の中で孤立が進んでしまったことで、つるし上げにあったという話もでています。
何をやったら中国国内での評価が上がるかというと、「台湾統合」です。これは毛沢東もその夢を実現はできませんでした。
今後中国の台湾に対する武力侵略を警戒する中で、アメリカは、「台湾を守る」という意思をはっきりさせ法律をつくっています。
先般も1979年の米台団交以来、最高位の政府高官アザー厚生長官が元総統の弔問のため訪台しました。はっきり言って、アメリカは「ルビコン川を渡った」という感じがします。
今年、特にトランプ大統領の再選前後の辺で、アメリカはもう一歩台湾に対して踏み込むということが予想されます。
日本では新聞の社説などを見ても「等距離外交」などという言葉を使って、中国とアメリカ、そして台湾とどっちつかずの外交を勧める声が強く、日本政府も基本的にそのスタンスで終始しています。
私が3月に台湾に取材行った時、台湾の国会議員、あるいはテレビに出ているコメンテーターの有名な大学の先生は、「安倍さんには失望しています」とはっきり言っていました。
日本が国際社会の中で曖昧な態度を取る以上、中国になびいているという見方が強くなっています。これは極めて危険なことです。
第二次世界対戦の前にナチスドイツと手を組んでしまっているため、このままでは日本は全体主義国家の仲間、ファシズム国家の仲間だと、このように見られます。
日本は中国に対して「非は非」とはっきりと言って、「自由・民主・信仰」の仲間であるということをはっきりさせるべきです。そして台湾とのさまざまな公的な繋がりを強め、日台関係法のような法律を制定し、台湾と関係を強めるべきだと思います。
◆日本は台湾を助ける義務がある
大川隆法総裁は、2014年にも『日本よ、国家たれ!』というタイトルで「李登輝元総統守護霊」の霊言が出版されました。
この本を2019年、李登輝元総統ご本人が日本語で読まれ、大川総裁にお礼の意味を込めた手紙とご自身のDVDを送ってこられました。
それに応えて大川隆法総裁は去年3月、台湾で講演『愛は憎しみを超えて』を行い、「日本には台湾を助ける義務がある」ことを述べ、次のように訴えられています。
「蔡英文氏は、『独立という言葉を出したら、中国が硬化して、外交上、不利な扱いを受けるから、そういうことは言えない』と、言葉を選びながら抽象的に言ってはいますが、独立などする必要はありません。もうすでに、台湾自体が(中国とは)『別の国家』として成長してきています。この国家は別の国家だと思います。」
『愛は憎しみを超えて』 ―中国を民主化させる日本と台湾の使命―
大川隆法 著/幸福の科学出版
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これが台湾ですごい反響を呼び、去年の3月あたりから、蔡英文氏の支持が増え、対立候補の韓国瑜氏を追い抜いて、結果的に勝利するに至りました。
◆日本よ、国家たれ!
そして、亡くなった李登輝元総統が大川隆法総裁を通して帰天後、第一声を発しました。
『台湾・李登輝元総統 帰天第一声』 大川隆法 著/幸福の科学出版
https://www.amazon.co.jp/dp/4823302095/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_.M1rFbNE37N56 @amazonJP
この中で、次のように日本のことを心配してくださっています。
「米中は、すごい対立から対決に向かおうとしている時期で、(日本は)もうどちらかを選ばなければいけなくなるよ。
これを受けて、大川総裁は、「あとがき」でこのようにおっしゃっています。
「日本よ、目覚めよ。専制的政府による弾圧の自由、侵略の自由と、国民を活かすための『自由』は違うのだ。悪魔に乗っ取られた国家を信じるな。その国民をこそ解放せよ。日本よ、再び武士道精神を取り戻せ。」
今、日本はどっちつかずの態度ではなく、アメリカと台湾と同じ「自由・民主・信仰」の価値を共有する仲間であるということをはっきりさせた上で台湾に対してのさまざまなアプローチをするべき時に来ています。
最後に、日本は地球的正義という立場から、善悪の価値判断を下して、そして今台湾、香港守るときに来ています。
「日本よ、国家たれ!」
この言葉を、日本の政府、自民党、あるいは様々な政治家の皆さんに対して申し述べさせていただきたいと思います。