元幸福の科学の会員で1987年より三十数年間、在籍し、活動をしてきました。その間を振りかえります。

最初は勉強会だったのに大川隆法氏は1991年に突然に自分は地球神・エルカンターレだと宣言し、宗教法人となった。

ギリシャ危機は終わらない。——根本解決に必要なこと

2015-07-30 20:00:47 | 日記

ギリシャ危機は終わらない。——根本解決に必要なこと[HRPニュースファイル1443]

http://hrp-newsfile.jp/2015/2331/

 文/幸福実現党埼玉県本部幹事長代理 HS政経塾2期卒塾生 川辺賢一

 ◆ギリシャ危機は終わったか

今月23日、ギリシャ議会は増税や年金改革関連法案に加え、銀行の破綻処理手続き等を柱とする財政改革法案を可決。これにより、ギリシャはEUから求められていた金融支援の条件をクリアしました。

「ギリシャ危機の後退」を受け、世界の株式市場は高騰。2万円台を割り込んでいた日経平均株価も2万500円台まで回復しました。

では、これでギリシャ危機は終結に向ったのでしょうか。

確かに、労働人口の4分の1とも言われる公務員を抱え、早くて50代から年金受給が始まるギリシャ経済の現状は持続不可能であり、ドイツを始め、金融支援と引換えにギリシャに改革を求めるEU側の主張にも正当な点はあるでしょう。

しかし、若年層失業率が50%を超え、名目・実質共に一人当たりGDPがピーク時の4分の1も減少している状況で、増税を始め、さらなる緊縮政策が断行されれば、いっそう失業者が増大し、失業者救済のための公共支出が求められることが予想できます。

これでは、たとえEUが求める改革が断行されても、ギリシャ債務問題は深刻さを増すばかりか、EU支援に依存したギリシャはやがて国民の意思による予算決定、すなわち国民による主権行使が何一つできなくなるでしょう。

つまり、ギリシャとEUが現状、向っている未来は、かつて債務国であった東ドイツを債権国の西ドイツが吸収したとの同様、EUという第3者機関を通じた「ドイツのギリシャ吸収」、あるいは「ギリシャのEU直轄領化」です。

むろん、東ドイツと西ドイツの場合と異なり、言語も民族も異なる国家の統合は、常に破局の危機に晒され、その度に、日本も含め、世界経済は迷惑を蒙るでしょう。

では、ギリシャ危機の根本解決には本来、何が必要なのでしょうか。

 ◆ギリシャに必要な改革

まず、「50代で退職したギリシャ人の生活を、どうしてドイツ人が税金で面倒を見なければならないのか」という率直なドイツ人の感覚は間違ってないでしょう。

かつて英国病とマーガレット・サッチャーが闘ったように、勤労意欲の低下したギリシャには労働組合の弱体化政策、国有資産の民営化、社会保障費の削減、行政のスリム化等といったドイツが求める改革の断行は一部不可欠であり、ギリシャは鉄の意志を持った指導者を選出しなければなりません。

しかし、同時に不可欠なのは、独自通貨の復活と通貨切り下げを通じたギリシャの国際競争力回復です。

現状、ギリシャは通貨切り下げではなく、デフレによって、つまりギリシャの製品・サービス、そして労働賃金が名目・実質共に、下落していくことを通じて、国際競争力を取り戻そうとしています。

ところが、統計上、あるいは直感的にも、名目上の賃金給与額が低下し続ける社会(デフレ下)で、景気回復や失業率の改善は不可能で、ギリシャは国際競争力の回復、つまり債務返済のために、失業率を増大させなければならないという、矛盾した状況に陥っているのです。

だから独自通貨の復活と通貨切下げが必要なのです。

もしもギリシャが独自通貨ドラクマの復活を決断すれば、通貨の切下げによって、ギリシャは自国の製品・サービス、また賃金給与の名目額を下落させることなく、対外的な競争力を取り戻すことができるのです。

実際、英国病からの脱却にはサッチャーによる改革だけでなく、ポンド危機による通貨切下げが必要でした。また97年通貨危機に見舞われた東アジア諸国においても、通貨の暴落自体が次の成長を後押ししました。

日本政府も世界経済のステークホルダーとして、ギリシャ問題をEUやIMFだけに任せるのではなく、意見を述べるべきです。

例えば日本政府には1兆ドルを超える外貨準備があり、その準備から一部融資することで、ギリシャの債務不履行を防ぐことができます。

日本はその見返りに、日本の改革案をギリシャに履行させ、また円建ての返済を求めることで、欧州における円国際化を進め、ギリシャ進出を足かせに欧州における人民元の国際化を企てる中国を牽制することもできます。

 ◆緊縮財政と決別を

緊縮財政ではギリシャ問題の解決は難しいこと、そして根本解決に必要なことを述べて参りましたが、1930年代の大恐慌を経験した世界は、既に緊縮財政の間違いを痛い程、学んでいるはずなのです。

大恐慌以前の世界では、金と自国通貨の価値を連動させること、つまり金本位制がグローバル・スタンダードでした。

供給側に制限のある金を基準に貨幣を刷れば、貨幣の価値暴落はまぬがれ、世界経済は安定すると考えられていたのです。

ところが金本位制の下では、金の流通量、あるいは金の埋蔵量に世界の貨幣供給量が規定されるため、世界経済は成長しようとすればするほどに、デフレ、賃金の下落、景気悪化、結果的としての社会秩序の不安定化が進む構造となっていました。

そこで世界は金本位制と決別し、金ではなく、供給側に制限のない国債やその他債券・証券を担保に貨幣を発行するようになったのです。

金の価値は供給が制限されることで保たれますが、債券には供給側の制限がありません。ところが、たとえ新規債券が発行されても、人々の勤労により、新しい価値が付加されれば、債券の価値は保たれるのです。

緊縮財政の発想が世界経済の成長の足かせとなっています。これを乗り越えるために必要なのは、勤労によって富を増やすことができるという世界観です。

今こそ、私たちは緊縮財政と決別すべきなのです。


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バターはなぜ消えた? 過度な規制や保護はなくすべき

2015-07-30 19:57:42 | 日記

バターはなぜ消えた? 過度な規制や保護はなくすべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9979

 

品薄状態が続くバター(画像は Steve Johnson / flickr )

 

「最近バターが高いのよねぇ」「そもそも、スーパーで品切れになっていることが多くて困るわぁ」

 

こうした不満をもらす主婦も多いことでしょう。

 

今、バターは品薄状態が続き、食卓から姿を消しつつあります。こうしたバター不足は、一般家庭のみならず、バターを大量に使用するケーキ屋さん、パン屋さんなどにも大きな打撃を与えています。事態を重く見た農林水産省は5月に、1万トンのバターの追加輸入を決めました。

 

本欄では世間をにぎわすバター不足の背景に迫っていきます。

 

 

500円のバターが輸入後には1,634円!?

バター不足の原因の1つは、輸入量が制限されていることです。

 

バターを初めとした乳製品は、コメ、小麦などと共に国家貿易品目に当たり、酪農家を保護するという名目で、高い関税がかけられています。バターの実質的な関税率は360%と非常に高く、1kgあたり500円のバターを輸入すると、通関後には1,634円に跳ね上がります。その価格は国内外で大きな差があるのが現状です。

 

輸入量も政府の管理下にあり、現在、農林水産省所管の独立行政法人・農畜産業振興機構によって、ほぼ独占的に貿易が行われています。

 

 

バターに使われる生乳は余りもの

また、日本国内の酪農家の減少に伴い、バターの原料である生乳の生産量そのものが減っていることも、バター不足を招いていると言われています。

 

畜産農家から出荷された生乳は、飲用の牛乳、生クリーム、チーズなどの原材料として優先的に買い取られ、その余りがバターの生産に使われているのです。

 

 

TPP参加がバター不足解消の切り札!?

バターを国内生産だけではまかなうことが難しくなっている中、TPP交渉でバターの関税率がどうなるか注目されています。

 

政府は28日、ニュージーランドやアメリカ、オーストラリアに対して、生乳換算で7万5千トンほどの低関税枠をつくる方針を示したことが分かりました(29日付朝日新聞電子版)。

 

バターの関税率が下がれば、他国の安い製品が輸入しやすくなるというメリットがあります。一方で、一般社団法人日本乳業協会はTPPについて、国が何も対策を講じなければ、「内外価格差の極めて大きい国産バター、脱脂粉乳が輸入品に置換され、国内乳製品工場の操業停止が予測される」とし、食料自給率の大幅な低下とともに、食料の安全保障が脅かされるなどの否定的な見方を示しています。

 

 

輸入自由化後、和牛の生産量は増加

しかしこの考え方は正しいのでしょうか。

 

大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『国家社会主義への警鐘』の中で、こう語っています。

 

『これだけ関税をかけなくてはいけない』ということは、『外国米には意外に優れものがある』ということを意味していますね。本当に日本のお米のほうがおいしいんだったら、こんな関税は要らないし、あっても一割か二割の税率でいいはずだけど、『八倍か九倍の値段にしなくては守れない』という状態では、これは、ほとんど、絶滅危惧種の保護動物のようなものですよね

 

政府の過度な保護・補償が、国内の畜産農家の国際競争力を弱くしているという見方もできるのです。

 

和牛を例に考えてみます。

 

1991年、牛肉の輸入が自由化された当時、国内の畜産農家からは畜産業に壊滅的な影響が及ぶなどの、否定的な意見が多い状況でした。しかし、自由化後、競争原理が働き、国産と外国産で品質などの差別化が進み、消費者の選択肢が増えました。その結果、和牛の出荷量は減るどころか、5年後には、389万トンから412万トンになり、消費の拡大へとつながったのです。外国産の輸入量が増えても、国産品の消費量が減るとは必ずしも言い切れないでしょう。

 

バター不足の原因は様々に指摘されていますが、基本的には消費者の選択肢が増える方向で、過度な規制や保護などをなくしていくべきでしょう。(冨)

 

【関連書籍】

幸福の科学出版 『国家社会主義への警鐘』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=5

 

【関連記事】

2015年5月号記事 世界で稼げる農業 - 2025 幸福実現党の設計図 第1回

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9350

 

2015年3月2日付本欄 トヨタ・JA愛知と農業事業で連携 「攻めの農業」の先駆けとなるか

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9288

 

2014年12月6日付本欄 TPP交渉参加で農業はむしろ発展する 一貫して参加を訴える幸福実現党の先見力 【衆院選】

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8865



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新国立競技場問題 なぜ下村文科相は局長をクビにしたのか?

2015-07-30 19:52:23 | 日記

◆新国立競技場問題 なぜ下村文科相は局長をクビにしたのか?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9981

政府は28日、総務省や経済産業省、文部科学省などの幹部人事を決定した。その中で、下村博文・文部科学相が文部科学省のスポーツ・青少年局長・久保公人氏の8月4日付での辞職を含む人事を発表。これについて、「トカゲのしっぽ切りでは」との批判の声が上がっている。


◎どう見ても不自然な辞職

下村氏は久保氏の辞職を「後進に道を譲る意味の勇退」としている。しかしこれは、当初の2倍近く費用が膨れあがり、建設計画が白紙撤回された新国立競技場の問題に関する、「事実上の更迭」という見方が強い。

久保氏は2012年から現職に就き、新競技場の建設主体である日本スポーツ振興センターとの調整などに当たってきた。定年退職まで1年以上を残しての「自己都合」退職は、どう見ても不自然だ。

新国立競技場の費用の問題を最初に指摘した、東京都の舛添要一知事は7月23日、「最大責任者は文科省であり、(経過を検証した上で)担当役人の処分は免れない。

組織の長にその処分ができないのなら、自らが辞任するしかない」とツイート。こうした声をはじめ、野党を中心に、下村氏の引責辞任を求める声が高まってきた矢先の人事だった。

民主党の細野豪志政調会長は「局長辞任で責任を取らせたとすれば、とかげのしっぽ切りだ」とする。ただ、下村氏にそういった面があるのは、昨年の時点で明らかにされていたことだった。


◎下村氏守護霊は「責任はとらない」と決めている?

幸福の科学大学について設置認可申請中の2014年5月、大川隆法・幸福の科学総裁が下村氏の守護霊霊言を収録したところ、下村氏守護霊は大学設置審議会について次のように語った(『文部科学大臣・下村博文守護霊インタビュー』所収)。

「『審議会で慎重に専門家が議論した結果、こうなりました』ということで、それで政治家が責任を問われない。マスコミから(責任を)問われないためにあれ(審議会を)つくってる」

下村氏の守護霊は、責任を取らせるために下部の組織がある、という見方を披露した。

さらに同年11月、幸福の科学大学設置不認可の判断が出た直後の守護霊霊言では、文科相としての責任の所在について、次のように語った(『永田町・平成ポンポコ合戦』所収)。

「日本はボトムアップだからね。下のほうで決めてきて、最後に上のほうで、めくら判を押すのが日本のシステムだからね。私が判を押すまでもなく、下で決まっていたということ」

やはり、その責任は自らにはないとする立場を強調した。

守護霊とは、心理学的に言えば潜在意識のことであり、本音の部分だ。どうやら下村氏は心の底では、「責任をとらない」と固く"決意"しているらしい。今回の久保氏の人事は、それが表面化したということだろう。(居)


【関連書籍】
幸福の科学出版『文部科学大臣・下村博文守護霊インタビュー』大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1177

幸福の科学出版『永田町・平成ポンポコ合戦』大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1352

【関連記事】
2015年7月18日付本欄 新国立競技場の計画「白紙」 責任を取るのは下村文科相? 安倍首相?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9907

2014年12月1日付本欄 下村博文・文科相の"失政" 「ゆとり教育」復活へ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8840


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中国株の大暴落は、これから本格的に始まる 今知っておくべき、中国経済の真相

2015-07-30 13:36:55 | 日記

© 東洋経済オンライン 

 中国の株式市場は、7月第2週末(9~10日)に金融市場を監視する当局が「カラ売りを仕掛けた人間は逮捕する」という脅しをかけた効果もあって、7月10日には久しぶりに回復に転じた。だが、この回復はおそらく、かなり長期にわたる弱気相場の中の小康状態に過ぎなかったことが、今後数週間のうちに明らかになるだろう。

 中国で6月12日まで急騰を続けてきた株価が突然連日の暴落に転じた理由は、決して悪質な投機屋グループがカラ売りを仕掛けているからではない。中国の実体経済が、2000年代初めから延々と続けてきた過剰投資によって、本来減速すべきGDP成長率を高水準に保つという政策の矛盾がついに噴出したからこそ、すさまじい暴落を招いたのだ。

 その辺の事情は、次の2枚組のグラフにはっきりと表れている。

 上段は2010年11月~2015年6月の上海総合株価指数と中国経済先行指標を対比したグラフだ。ご覧のとおり、経済全体の先行指標は下がり続けているのに、上海総合株価指数のほうは、去年の初夏に底入れして以来急騰を続けてきた。このグラフを見るだけでも、中国株が暴落した最大の要因は、経済基礎条件によって正当化できないほど上がりすぎていたことだとわかる。

 さて、世の中にはおめでたい人がいるものだ。つい最近発表された2015年第2四半期のGDP成長率が第1四半期と変わらずの+7.0%だったのを根拠に、「中国経済はまだかなり高い成長率を確保しているのだから、株価は暴落しても経済全体の健全性にはほとんど影響はない」などとコメントしている経済評論家もいる。

 だが、そもそも中国政府の公表する経済統計は、入念にマッサージされ、メーキャップを施して素顔とは別人のように美化された代物なのだ。その政府公表数値でさえ、「何がなんでも守り抜く」と公言した7%成長をギリギリ確保しただけということは、正直なデータを見ればマイナス成長になっている可能性が高い。

 前出のグラフ下段には2012年10月~2015年6月の中国製造業生産高の前年同月比変化率と、中国のコンテナ貨物輸送量が対比してある。製造業生産高は、2013年末まではほぼ一貫して2ケタ成長だったものが、今年の3月に6%割れで底を打ってから、直近では6.8%成長にまで挽回したことになっている。だが、これもまたかなり厚化粧をした数字だろう。

 比較的ごまかす余地の少ないコンテナ輸送量指数のほうは、2013年の1100台から、直近では800台をかろうじて維持するまでに下がっているが、特に3月以降になって下落率が加速している。

 中国の実体経済の成長率鈍化は、ひょっとするとすでにマイナス成長まで深刻化しているかもしれないという事実が世界経済におよぼす影響は、甚大だ。次の2枚組グラフをご覧いただきたい。

 上段は、中国の製造業生産高の前年同月比変化率と、国際商品市場における原油価格の前年同期比変化率を対比したグラフだ。一目瞭然と言うべき明瞭さで、2000年代半ば以降の原油価格は、中国の製造業成長率が高ければ上がり、鈍化すれば下がるという相関性があったことがわかる。

 いまだに広く認知されていないが、1990~2000年代にかけて、世界中の先進諸国でかなり顕著な経済の省エネ化が進んできた。その結果、過去10年ほどの期間を見れば経済大国でエネルギー消費量が増えていたのは中国だけであって、その他諸国では横ばいから減少にとどまっていた。だから、中国製造業の成長率が高ければ、世界市場での原油の需要が拡大し価格も上がるが、中国製造業の成長率が低いと世界市場での原油需要は縮小して価格も下がるというパターンが確立されていたのだ。

 原油価格の動向を点検すると、このグラフで対象とした2005年後半から2015年前半までの全期間にわたって中国製造業生産高の成長率に寄り添うように上下している。つまり、現代世界における原油価格は、中国製造業の成長率が11~12%台を維持できれば値上がりし、10%台まで下がれば値下がりするのだ。

 2014年初夏からの世界的な原油価格の暴落は、同年年央には中国製造業の生産高成長率が8%を割りこむほど下がったために起きたのだと断定できる。米国のシェールオイル開発動向やOPEC諸国、ロシアなどの政治的な思惑による生産量の拡大や縮小とはまったく無縁で動いてきたのだ。

 こうした基本的な事実関係を踏まえ、さらに公表数値は実態よりかなり上げ底されているということも頭の片隅に入れた上で、中国製造業の成長経路を振り返ってみよう。2005年から2008年半ばまではほぼ一貫して10%台後半の急成長が続いていた。2008年後半から2009年前半の1ケタ成長への低下は、明らかに国際金融危機に引きずられたための一過性の減速だった。

 ところが、2009年末に始まった中国製造業生産高の低下はまったく違う。一過性の急落からV字型の回復へというパターンではなく、中国経済全体としての成長率が低下したために、2010年から2011年にかけて12~14%台に低下し、2012から2013年にかけては8~10%台へ、そして2015年にはついに6%を割りこむほど下がってきたのだ。

 下段に掲載した国際市場での銅価格の動きを、同じく中国製造業の生産高成長率と比較したグラフに目を移すと、原油の値動きとは明らかに異質だということがわかる。2008年末に国際金融危機の余波でトン当たり3000ドル台を割りこむほど急落し、その後2009年を通じてトン当たり8000ドル目前まで急回復したあたりまでは、原油価格とほぼ同じパターンだった。

 だが、2010年以降は原油価格の上昇率が1ケタからマイナスへと低下し続けたのに対して、銅価格は2011年年初にトン当たり1万ドル台という最高値を記録している。この時期にはもう中国製造業の成長率鈍化は明白になっていたので、この銅価格上昇は実需というより、投機的な買い占めや銅地金を担保にカネを借りる、いわゆる「銅ファイナンス」を反映した上昇だった可能性が高い。そして、直近の数値でも銅価格は5500ドル台を維持していて、2008年末に3000ドル割れした頃よりはるかに高い位置にある。

 しかし、中国経済全体も、中国の製造業も、成長率は2008年以前より大幅に鈍化している。現在の銅価格はまだまだ割高であり、この先暴落する危険が大きい。鉄鉱石、粗鋼、鋼鉄を生産するためのコークスに使う原料炭といった商品も、銅と同じように不自然な高止まり状態にある。

 中国のエネルギー資源や金属資源の爆買いに依存していた国際市況商品は、これから中国製造業の生産高が低成長からマイナス成長へと下落するにつれて、本格的な暴落過程に入る。そのとき、「世界の工場」であることによって高値で維持されてきた中国株は、さらに大きな下げを演ずるのは、間違いのないところだ。

 また、オーストラリア、ブラジル、インドネシア、カナダといった資源国も、これまでは中国からの旺盛な需要が持続することを前提にして、資源採掘事業の規模拡大を進めてきた。だが、これら諸国の資源業界には、今や原価を下回る価格で自社の生産物を売ってでも、すでに投下してしまった設備投資額を少しでも早く回収しようと安売りせざるを得ない状態に追いこまれた企業が多い。

 特に鉄鉱石や原料炭を産地から積出港までピストン輸送するだけの貨物列車の運転士の年収が、日本円で言えば1500~2000万円に達していたというような資源バブルを謳歌したオーストラリア経済は、眼も当てられない惨状を呈するだろう。

 本来、世界中の先進国でもっともエネルギー資源、金属資源、食料の対外依存度が大きい日本にとっては、資源安は原材料コストを大幅に削減するチャンスだ。そして資源安のメリットを最大限に享受するためには、円高への転換を志向すべきだ。だが、現政権は相変わらず国民の生活水準を下げるだけの円安・インフレ路線に固執している。残念としか言いようがない。


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安保法制の「強行採決」批判が見当違いな3つの理由

2015-07-30 07:31:41 | 日記

安保法制の「強行採決」批判が見当違いな3つの理由
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9956


安全保障関連法案が衆議院で通過し、参議院に送られました。

 

この採決に際して、野党議員が「強行採決反対」などと書かれたプラカードを掲げるパフォーマンスを、テレビ中継などで見た方も多いでしょう。

 

様々な分野の学者がつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」は20日、「強行採決は国民の意思を踏みにじる立憲主義と民主主義の破壊だ」などとする、1万人超の共同声明を発表しています。

 

こうした主張からは、まるで今回の採決が「民意に反した独断」であったかのように聞こえます。強行採決とはそもそも、何なのでしょうか。

 

強行採決とは、審議中の法案について、少数派の反対派が審議継続を求めているにもかかわらず、与党側が審議を打ち切って採決にかけることとされています。

 

日本の国会では、与党側が野党側に歩み寄り、合意を作って採決する慣例があるため、こうした手続きは、合意を形成できない場合に行われてきました。野党やマスコミがいつの頃からか、それを強行採決と呼びならわすようになりました。

 

今回の"強行採決"も、その流れにあるものです。

 

これは、国民に選ばれた代表者が国の重要な事案を決めるというルールに則ったもので、本来"強行採決"と批判されるものではありません。その理由を以下に3つ上げます。

 

 

1. 歴代6位の116時間も審議された

安保法案は、昨年7月の安全保障に関する閣議決定から、合計116時間かけて衆議院で審議されました。この審議時間は、1960年以降で、6位になる長さになります。それが「実のある議論ではなかった」というなら、野党側や反論や対案が不十分だったことになります。

 

十分な対案を示さずに反対し続けるなら、それは「ためにする議論」に過ぎず、国費の無駄遣いと言えます。

 

 

2. 時間切れによる廃案狙いの審議継続願い

民主党を始めとする野党が審議の継続を求める中、採決を行ったために強行採決と言われているわけですが、安倍政権はすでに会期を95日間延長しています。それは、審議が長引いたために、国会の会期が審議中になくなり、時間切れで自動的に廃案になってしまうことを防ぐためでした。

 

民主党は法案に対してひたすら反対する立場をとっています。これまでの審議でも、集団的自衛権の行使を認めることが合憲なのか、違憲なのかをめぐる議論に多くの時間を費やしました。いつまでも合意に応じない野党の審議継続要求が、時間切れによる廃案狙いにあることは明白です。

 

 

3. 安保法整備は民意の反映

昨年12月の衆院選で、自民党は「安全保障法制を速やかに整備します」という政策を掲げて大勝しました。

 

そもそも、民主党政権時にも、小泉政権が審議に100時間以上かけた郵政改革を、たった6時間でひっくり返した「郵政改革法案」など、強行採決の数は3年4カ月で21回もあったにもかかわらず、その時は、それほど問題にされていません。

 

野党やマスコミが「強制採決」について批判的に煽り立てたとしても、冷静に判断する必要があります。

 

とはいうものの、安倍晋三首相の説明が分かりにくいのも事実。参議院での審議を通して、安倍首相は、何が正しいのか、何が大切なのか、安保法案は「国民の生命・財産を守るためのもの」であることなどを、国民にしっかりと説明すべきです。(居) 

 

【関連記事】

2015年7月17日付本欄 安保法案が衆院通過 宗教が「国防強化」を訴える3つの理由

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9902

 

2015年7月9日付本欄 アメリカは米中戦争を警戒し始めている 日本も国防体制を固めよ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9878


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マイナス思考では絶対にビジネスで成功できない。マイナス思考をプラス思考に変える方法です。

2015-07-30 07:31:23 | 日記

友人がユーチューブに動画をUPしたので応援してます。

タイトルは「マイナス思考を治す。セルフイメージを変える方法。 」(左をクリックしてください)

 

『マイナス思考の人はセルフイメージも悪いはずです。悪いセルフイメージを持っていると­、現実も悪くなり、不幸になります。セルフイメージは人生を左右するので大切です。


私は転職ばかりしていた32歳の時にある本と出会い、ひどいマイナス思考をプラス思考­に変え、セルフイメージも変えたと、現実が大きく変わり始め、営業成績が大幅にUP,­ヘッドハンティングされ、後に独立。夢だった映画を製作し、全国の14館で上映できま­した。ぜひ、私のやった方法で、あなたも、セルフイメージを変えて、幸せになってくだ­さい。』

https://www.youtube.com/watch?v=smjsvi6snLQ


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マイナス思考 改善。マイナス思考をプラス思考に変える方法です。

2015-07-30 07:30:36 | 日記

友人がユーチューブに動画をUPしたので応援してます。


32歳の時にある本と出会い、ひどいマイナス思考をプラス思考に変えたところ、現実が­大きく変わり始め、営業成績が大幅にUP,ヘッドハンティングされ、後に独立。夢だっ­た映画を製作し、全国の14館で上映できました。思いを変えると現実が変わります。
ご質問などがありましたら、sasaki0617@kjb.biglobe.ne.j­p へメールをください。

https://www.youtube.com/watch?v=KW4yE8XclNk

 


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磯崎補佐官の「法的安定性」発言で考える 憲法や法律は何のためにあるのか?

2015-07-30 07:30:20 | 日記


◆磯崎補佐官の「法的安定性」発言で考える 憲法や法律は何のためにあるのか?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9978

集団的自衛権の行使を可能にする安保法制の審議が27日、参院で始まった。この法案をめぐり、自民党の磯崎陽輔首相補佐官が大分市で行った講演での発言が波紋を呼んでいる。

礒崎氏は講演で、「法的安定性は関係ない。わが国を守るために(集団的自衛権の行使が)必要かどうかが基準だ」と述べ、これに対して与野党から批判の声が噴出。自民党の谷垣禎一幹事長は、「そのような発言をしたとすれば、極めて配慮に欠けたことだ」と批判し、民主党の枝野幸男氏は「行政に関与する資格はない」と辞任を求める考えを示している。


◎発言の真意は「国を守るために何が必要かを考えないといけない」

磯崎氏は「発言はやや短縮して報道されている」と主張している。確かに実際の発言は、「我が国の自衛権は必要最小限度でなければならない。その憲法解釈は変えていない」「考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない。我が国を守るために必要なことを、日本国憲法がダメだと言うことはありえない」というものであり、やや言葉足らずではあるが、きわめてまっとうなものだ。

マスコミは「法的安定性は関係ない」という発言だけを取り出して、「補佐官が憲法を軽視し、憲法などどうでもいいと考えている」という印象操作をしている。しかし、磯崎氏の真意は、「憲法を守ろうとするあまり、国を守るために何が必要かについて思考停止に陥ってはならない」ということだろう。


◎「法的安定性」の二つの意味

そもそも「法的安定性」という言葉には、二つの意味があるとされる。一つは「法自体が安定している」ということ。すなわち、時の政府の恣意的な判断や都合でルールをコロコロと変えてはならないということだ。
例えば選挙活動で禁止されていた行為が、次の選挙では行ってよいとされ、また次の選挙では禁止されるとなれば混乱を招き、場合によっては国民の自由が奪われる。

もう一つは「法による安定」ということ。すなわち、法によって秩序が守られ、社会生活が安定する、という意味である。

この二つの意味を冷静に考えれば分かるが、憲法や法律は国民の自由や安全を守り、幸福を実現するためにあるのであって、憲法や法律自体を金科玉条のごとく守ることに価値があるわけではない。

もちろん、国民の生命と自由が守られない方向にルールが変わっていくならば問題である。しかし、国を守り、国民の生命と自由を守るという目的のもとで、その時代に必要な形で法律やその解釈が変わることはむしろ大切なことだ。

人間がつくった憲法や法律を守ること自体が至上の価値だと考える人は、普遍的な価値や正義を見失っている。それを知るためには、最終的には人間心を超えたものに念いを馳せ、「神仏は何を望んでおられるか」を考える謙虚な姿勢が必要ではないだろうか。(佳)

【関連書籍】
幸福の科学出版 『左翼憲法学者の「平和」の論理診断』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1489

【関連記事】
2015年8月号記事 憲法の目的は国民の幸福の実現 - 安保法制の整備を急げ - The Liberty Opinion 3
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9821

2015年7月13日付本欄 安保法制 岡本・村田両氏が賛成 「憲法守って国滅ぶ」を考える
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9891

2015年7月9日付本欄 法治主義も完璧ではない もしも中国が「法治」を徹底したら?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9877


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バブル崩壊。続く中国株の低迷。 中国が必要とするビジョンとは

2015-07-30 07:30:03 | 日記

続く中国株の低迷 中国が必要とするビジョンとは 【Weekly Watch国際政治】
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9976

(1)中国株低迷 権力を維持するために共産党はどこまでやる?

株価を支えようとする中国政府の介入もあり、3週間ほど安定していた中国株式市場だが、このほど再び下落を始めた。27日、上海株式市場は8.48%下落し、一日の下落幅としては2007年以来の出来事となったことを、各紙が報じている。

 

英ガーディアン紙によると、中国政府は「株を直接買い上げることで市場を支える」とし、株価を安定させようとしている。しかし同紙によると、株価の下落は、中国の実態経済の弱体化や、「中国政府が株価の低迷に対応しきれない」という不信感から来ているという。

実際、今回の株価低迷だけでなく、最近の経済指数も、中国経済が失速していることを暗示している。

 

中国共産党政府は国民に経済成長を約束することで、自分たちの権力を正当化してきた。

言いかえれば、共産党にとって経済成長や、中国国民の命や繁栄も、自分たちの権力を維持するための道具にすぎないということだ。約束を果たせなくなった共産党は、権力にしがみつくために、国民を力で押さえつけるだろう。

 

日本は、中国の覇権主義に対して国防体制を整えるとともに、「中国国民が本当の繁栄と幸福を享受するために、何が必要か」というビジョンを提示し、思想的な戦いも進めていくべきである。

 

【関連記事】

2015年7月25日付本欄 中国の株価暴落は「中国経済崩壊」? 4つのバブルを整理する

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9967

 

 

(2)TPP交渉が終盤へ アジアの平和を守るための協定

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉が27日から31日にかけてハワイで開かれていることを、欧米各紙が報じている。順調に進めば、8月には最終的な合意が見られるかもしれない。

 

アジア太平洋地域に面する12カ国が貿易交渉を続けており、さらに4カ国が参加に興味を示している。関係国は世界のGDPの約40%を担い、もし可決すれば、史上最大の貿易協定になると言われている。

 

現在続いている交渉では、日本の農業関税の撤廃、カナダの鶏肉や乳製品の輸入規制、そしてアメリカの自動車部品に対する関税など、市場開放・貿易自由化に関する問題に焦点が当てられている。

 

しかし、TPPが目指すものは貿易の自由化だけではない。知的財産の侵害や、為替操作で輸出業を有利に運ぶなどといった行為を防ぐために、共通のルールを設けようとしているのだ。そのため、知的財産権を侵害し、中央政府が人民元の価値を決めている中国などは、参加が難しいとされている。

 

こうした点から考えると、TPPは、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や「一帯一路」など、中国が広げようとしている中国型経済圏に対抗するものでもあるとともに、中国包囲網でもある。

TPP交渉が合意に達すれば、アジアの平和を守るための一石を投じることとなるだろう。

 

【関連記事】

2015年6月25日付本欄 TPA法案が可決 「中国包囲網」であるTPPの早期締結を目指せ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9830

 

 

(3)米原油生産量の下落が始まる? シェール革命の夢が終わる

アメリカの原油生産量が近未来に縮小し始めるであろうことを、オンライン紙オイルプライスが報じている。

 

ここ数年、アメリカの原油生産量は急激に上昇していたが、これはシェールオイルの採掘によるところが大きい。シェールオイル採掘とは、地中に眠る頁岩から石油を取り出すことだが、地中数キロまで掘った後、さらに横掘りをしなくてはならないため、コストがかさむ。昨年の後半から、原油価格が暴落した影響で、シェール企業が危機に陥り、新しい油田の採掘を見送る企業が相次いだ。

 

今のところは、価格暴落の後も、アメリカでシェール関係の原油生産量が上がり続けているが、これはシェール企業の多くが、大量の油田を事前に掘っていたからである。

 

だが、それも終わりつつある。一時的にごまかすことはできても、採算の採れない事業は長続きしない。

今、世界が必要としているのはシェール革命ではなく、石油に代わって世界を潤すことができるエネルギー革命だ。

 

【関連記事】

2015年3月号記事 シェール開発金融に波及するリスク - 原油価格暴落 - The Liberty Opinion 2

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9089



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「オバマ政権、凋落」日本でも米国でも、もはや単独で防衛はできない

2015-07-30 07:29:37 | 日記

京都大学名誉教授で「正論」メンバーの中西輝政氏が28日、「世界の動きと日本の進路」をテーマに、山口県下関市で開かれた防衛セミナー(県防衛協会下関支部など主催)で講演した。

 中西氏は、任期が1年余りとなった米オバマ政権について、「凋落が見え始めた」と指摘。中国についても、「国内経済はガタガタだ。国内の危機が深まれば、もっと強く出てくるかもしれない」と危惧した。

 沖縄・尖閣諸島や、南シナ海で周辺諸国に圧力を強める中国に対抗するため、「日本でも米国でも、もはや単独で防衛はできない。

日米が手を組んでいるというメッセージを、中国やロシア、北朝鮮に送らなければならない」と語り、参院で審議入りした安全保障関連法案の重要性を強調した。


http://www.sankei.com/west/news/150729/wst1507290046-n1.

下関市で講演する京都大学名誉教授で「正論」メンバーの中西輝政氏

     

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トルコ イスラム国とクルド労働党を空爆 イスラム教にはイノベーションが必要

2015-07-29 17:23:22 | 日記

◆トルコ イスラム国とクルド労働党を空爆  イスラム教にはイノベーションが必要
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9977

トルコは、シリアの「イスラム国」(IS)、イラクの「クルド労働者党」(PKK)の両者を同時に空爆する作戦に踏み切った。

トルコは北大西洋条約機構(NATO)の一員でありながら、今まではISへの軍事攻撃を控えており、ISを殲滅させたい欧米から批判を受けていた。

トルコがIS攻撃に慎重だった理由は、ISがトルコ政権と同じスンニ派であったこと、ISによる報復テロを恐れたこと、シリアのアサド政権をめぐるアメリカとの意見の対立などがあった。トルコ側はアサド政権の打倒が先決で、ISへの攻撃は敵対するアサド政権を利すると考えていた。

今回、ISへの空爆に踏み切った背景には、ISの動きを看過できなくなったことがある。20日には南部のスルチでISによるものと見られる自爆テロが発生し、32人が死亡し、約100人が負傷。その2日後、シリア国境付近でISとの大規模な交戦が起こっていた。

一方、敵対関係にあるPKKとは2013年に停戦合意に至り、その後も和平交渉を続けていたが、今回の空爆で交渉は決裂した。

ISとPKKの同時空爆には、トルコ国内のテロが激化する恐れもある。トルコ国内には6000人ものIS戦闘員が潜んでいると言われ、トルコ各地で報復テロが起こる可能性もある。

今回の空爆により、シリア情勢は一段と複雑化する見通しだ。現在シリア国内では、アサド政権(シーア派)、反政府勢力(スンニ派)、IS(スンニ派)、クルド人勢力(主にスンニ派だが、クルド人としての意識が強い)が四つ巴の戦いを繰り広げているが、トルコ軍が加わることで、戦いの構図が変わる可能性もある。


◎イスラム教圏は、寛容性と欧米による植民地支配からの離脱が必要

欧米はISを悪と見なし、殲滅を目指しているが、トルコのISへの空爆は、必ずしも望ましいとは言えない。シリアでは、シーア派のアサド政権がスンニ派住民の弾圧を続けており、ISの活動はそれに対するスンニ派の復興運動という意味合いもあるからだ。

イスラム教という同じ宗教の中で、これだけ激しい宗派対立が起こっているのは、イスラム教に原理主義的な非寛容性と不自由さがあることを示している。また、この宗派対立は、第一次世界大戦後、英仏などの列強国がオスマン・トルコ帝国を植民地化し、国境線を勝手に引いたことに対する抵抗運動という意味合いも強い。 
 
現在のイスラム教圏の戦いは、イスラム教にイノベーションが必要であることを示している。この戦いに終止符を打つためには、イスラム教の中に寛容の精神を取り込み、欧米の植民地支配から脱するための各国の自助努力が必要だろう。(泉)

【関連書籍】
幸福の科学出版 『中東で何が起こっているのか』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=913

幸福の科学出版 『世界紛争の真実』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=95

【関連記事】
2015年4月号記事 中東の憎しみの連鎖を断つには——国際政治にも「許し」を(Webバージョン) - 編集長コラム
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9431

2015年5月6日付本欄 シリア・アサド政権が危機に イスラム教圏に必要なこと
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9587


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「河野発言は重大な問題」と非難 韓国、米国の慰安婦像設置「日本の名誉を毀損」 自民党提言の最終案判明

2015-07-29 05:42:06 | 日記

 自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」(委員長・中曽根弘文元外相)が慰安婦問題をめぐる誤った認識を正すため策定した提言の最終案が27日、分かった。平成5年に河野洋平官房長官(当時)が、慰安婦募集の強制性を認めた談話を発表後、「(強制連行の)事実があった」と発言したことを批判し、政府に日本の立場、取り組みなどの発信を強化するよう求めた。

 自民党は28日の党総務会で提言を正式決定し、安倍晋三首相に提出する。

 提言は、河野氏の発言や吉田清治氏の虚偽の証言に基づく朝日新聞の一連の誤報を「事実に反する認識を韓国をはじめ国際社会に広めた大きな原因になった」とし、「重大な問題だ」と非難した。

 韓国や米国で進む慰安婦像や碑の設置について「著しく日本の名誉を毀損(きそん)し、国益を損なうものとして看過できない」と指摘。米国の公立高校で使われる教科書に「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に募集、徴用した」などの記述があることについては「教科書などで虚偽を教えて、いたずらに日本の名誉を毀損することは許されることではない」と批判した。

 慰安婦を強制連行された「性奴隷」と認定した国連人権委員会の「クマラスワミ報告書」について「(誤った認識が国際社会に流布され)近年でも人権に関する国際的なフォーラムなどで誤った認識に基づく言及が行われることが少なくない」と懸念を示した。

 また、米国やオランダなどの議会で慰安婦問題を理由とした対日非難決議が採択されている事態を「憂慮すべき状況」と位置付け、「地域住民のみならず、国民同士の友好関係を悪化させ、日本の名誉と信頼を著しく傷つける結果につながりかねない」と指摘した。

 そして、海外に広まった誤解を正すため、政府に対し慰安婦問題について偏りのない出版物の翻訳や国連などでの情報発信、慰安婦像や碑を設置している自治体への働きかけを積極的に行うよう求めたほか、姉妹都市交流や企業間交流などを通じた「『親日派』の開拓」なども盛り込んだ。

 ただ、戦時中の慰安所の設置については「根本的に女性の人権と尊厳を著しく傷つけたという点に議論の余地はない」とも指摘している。http://www.sankei.com/politics/news/150728/plt1507280005-n2.html

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「慰安婦」「強制労働」政府に国際広報の強化要請へ 自民特命委の提言


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上海株、乱高下の果てに1.7%安の続落で終了 連日の暴落危機は阻止

2015-07-28 18:46:36 | 日記

 28日の中国・上海総合指数は前日比1.7%安の3663.00と続落した。ただ前日の8.5%安に続いて一時5%安と連日の暴落となった場面もあったが、そこから一時高値圏へと急反発するなど、ジェットコースター並の乱高下が終日続いた。

 5%安となったときは、前日の下げ幅とあわせるとわずか2日で13%安を超える下げ幅となった。

 ところが日本時間正午ごろには6%も上昇する離れわざを見せて、前日比1.0%高へと高値圏に一気に浮上した。その後はほぼ3600台での値動きが続いた。

 政府の中国証券監督管理委員会は前日夜に、政府系金融機関を通じて下支え策を継続する意向を示した。序盤は懐疑的な見方が支配的だったが、急反発を見せた時間帯を見ると、実際に奏功したようだ。いつまで支え続けることができるのか、など疑問もつきない。


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上海株暴落 「逆ミンスキー現象」と呼ばれる負の連鎖…中国で地獄が始まる

2015-07-28 18:39:19 | 日記

いつ弾けるのかと言われていた中国市場でついにバブルが崩壊した。このような場合必ずと言ってよいほど出てくるのは『私の損は誰かの得』という主張であり、これがよくある陰謀論の温床となっている部分がある。実は経済は『非ゼロサム』であり、自分が損をしたからといって誰かが得をしたのではないのだ。では、その金がどこに消えたのか?という疑問に突き当たるわけであるが、バブル(泡)という名の通り、一瞬にして消えてしまうのである。

 これを理解するには『信用創造』というものを理解する必要がある。例えば、100万円の土地を持っている人がいるとしよう。この人が土地を担保に銀行から80万円(8掛け担保)を借り入れ、それを証拠金として入れて10倍の信用取引していたとする。

 これを計算すると100万円が、100万+800万(80万×10倍)ということになり、100万円のお金が900万円に膨れ上がっていることになる。現金取引も証拠金取引も市場から見れば同じお金なのである。

 しかし、これが下落に転じた場合、この逆転現象が起きる。特に信用取引などのレバレッジマネーでは、これが顕著になる。現金取引であれば、損が出たとしてもその投資額だけで済むが、信用取引では、損も信用倍率により増加するのである。

 これを先の例に合わせると、10倍の取引では10%株価が落ちれば80万円の証拠金がなくなってしまう。この場合、不足分を『追証』として補うか、精算するしかなくなるわけだ。この場合、市場からは一気に800万円の価値が消えることになる。

 そして、この80万円を返せなければ、担保にしていた不動産の売却を迫られることになる。そして、損を出した人が増えれば増えるほど、不動産価格が下落する。買い手がいない市場では、価格は落ちるしかないのである。そして、不動産価格の下落は他の不動産所有者にも影響を与える。例えば、先ほどの100万円の不動産が50万円まで落ちれば、銀行にとっては担保評価割れになり、所有者は売却しても債務の返済ができないことを意味する。また、他の人がお金を借りる場合においても、不動産価格の下落は借入限度額の減少を招くわけである。

 そして、これは負の連鎖を起こすのである。このような信用創造の逆転現象を『逆ミンスキー現象』と呼ぶのだ。実はサブプライム問題にはじまるリーマン・ショックの際もこれが起きたのである。当時、債券バブルにより世界の金融市場は真水のお金の60倍程度まで膨れ上がっていた。しかし、サブプライム問題とそれに伴う信用不安によりこれが半分程度まで落ちてしまったわけである。その結果、世界の市場で資金量が急激に縮小し、不動産、債権、株式のトリプル安になってしまったわけである。そして、この資金量不足に対処するために行った政策が量的緩和という通貨増刷政策であったといえる。1(真水のお金)×60(倍率)=60から、倍率が半分になったのであれば真水のお金を2倍にすれば、2(真水のお金)×30=60で市場の資金規模を維持できるという理屈である

そして、この量的緩和により米国の市場は回復したのであった。

 では、今中国で何が起きているのかということになる。中国は成長の鈍化が伝えられる中で、上海総合指数は昨年7月から2.5倍、年初から60%の急上昇をしていた。これは異常な水準であるといえる。では、この資金がどこから生まれたのかということになるわけだが、この原資の多くは不動産や債券市場から離脱した資金であると言われているのだ。

 実は、中国都市部の不動産価格は逆ざや状況になっていた。つまり、平均借入金利よりも家賃利回りが低い状況になっていたのだ。つまり、賃貸用に不動産を購入すると保有しているだけで目減りしたり損失が出る構造だったのである。

例えば、1000万円の不動産を買ったとする。これが月5万で貸せれば5万×12=60万、つまり表面利回り6%ということになる。同じ不動産の価格が2倍に上がれば金利は3%という計算になる。中国の平均的な調達金利は8%以上、そして都市部の平均利回りは2%前後。これでは投資したくてもできないわけである。

 また昨年以降、実体経済の悪化に伴い債券市場やシャドーバンキングにも不透明感が強まっていた。中国の場合、多くの企業に地方政府や政府関係者が関わっているため、政治的に潰れない(潰させない)と思われていた。

つまり、このような商品に投資することで安全に高い金利が得られると思われてきたわけである。しかし昨年以降、中国政府は債権のデフォルトを容認したため、債権が安全なものという幻想が失われたわけである。また、中国政府は地方政府が係わる債券等に関しては、低金利での借り換えを促進する政策をとり始めたのである。その結果、債券市場が魅力的な市場ではなくなってきていたのである。

 そのような環境の中で、不動産市場も債券市場も金利を得られない状況になり、だぶついた資金が一極集中的に株式市場に投入されたものと思われる。だからこそ、中国の株式市場の参加者の80%以上が個人投資家という構造なのである。

また、その結果、中国株式市場の時価総額は中国のGDP規模と同じレベルの10兆ドルを超える水準まで上がり、売買高も市場規模2倍以上のNY市場を大きく超える状況になったわけである。

 しかし、企業業績の悪化が予測され配当の減少が予測される中で、このような状況をいつまでも保持できるわけではなく、この臨界点を超えたのが6月12日から始まる継続した下落であったといえる。中国株式は約3週間で3割以上下落した。


額で言えば3兆ドル以上、GDPの3割が一気に失われたことを意味する。ギリシャの危機とこの状況をうけて、7月6日から中国政府の意向を受けた証券会社によって2.6兆円規模のPKO(プライス・キープ・オペレーション)が行われたが、株価下落を抑制することができず、現在のところ失敗に終わったと判断される。

7月8日、株価の暴落を抑制するため、上場株式の半数以上を売買停止(売買が停止されている限り、株価が決まらないため損失が出ない)にしたが、これでも株価下落を抑えきれなかった。

 また、中国の中央銀行は、株価下落の影響を受ける証券会社に対して、特別融資を行う(中央銀行が証券会社にお金を貸し出す)として、金融不安を抑える政策も同時進行で取りはじめている。

この件に関しては、中央銀行による間接的な株価購入ではないかという国際社会からの批判も出ている。そして、上場企業の大口株主などに対して、6ヶ月間の売却禁止を命じた。これも売却量が減れば価格が下がらないという理屈である。

 しかし、このような強権的な政策をとっても、市場のひずみを拡大するだけという意見もあり、これが外国人投資家の離脱を促進する部分もある。バブル崩壊リスクだけでなく、政治的リスクとして認識されているからなのだ。

いつ、自らが保有する株式を売却できなくなるかわからないからなのである。そもそも共産主義の国であり、どこまで権利が守られるかも不透明なのである。

 中国ではこれから地獄が始まるのであろう。

【プロフィル】渡邉哲也 1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。大手掲示板での欧米経済、韓国経済などの評論が話題となり、2009年『本当にヤバイ!欧州経済』(彩図社)を出版、欧州危機を警告しベストセラーになる。内外の経済・政治情勢のリサーチや分析に定評があり、さまざまな政策立案の支援から、雑誌の企画・監修まで幅広く活動を行っている。 2015.7.28 11:26


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高まるチャイナリスクに日本企業は身構えよ

2015-07-28 18:30:19 | 日記

 

中国でのビジネスで高まる二つのリスク

 最近、中国経済はかつての勢いを失いつつある。それに伴い、わが国企業が中国でビジネスを展開する場合のリスク=チャイナリスクが高まっている。チャイナリスクは大きく分けて二つの要素を考えると分かりやすい。

 一つは中国経済全体の先行きや政治情勢の変化、一般的に言われるカントリーリスクだ。今年4~6月期のGDP成長率は7%と発表されたものの、経済専門家の中では「実体経済は数字よりもかなり悪化している」との見方が多い。

 現在、中国政府は従来の輸出と設備投資に大きく依存する経済構造を、個人消費中心型の安定した構造=“新常態”へと移行することを目指しているものの、世界第2位の規模を誇る大国経済の基本的な体質を変えるのは容易ではない。

 また、中国経済は国内の不動産バブルやシャドウバンキングなどの問題を抱えている。経済成長率が鈍化する中で、政府がそれらの問題と向き合うのは口で言うほど簡単なことではない。経済の減速が鮮明化すると、人々の共産党政権に対する不満も高まるだろう。

 もう一つは日常の業務を行う上でのリスク、いわゆるオペレーショナルリスクだ。具体的には、従業員などの不正行為などが考えられる。

 海外で事業を行う場合、わが国で通用していたビジネス常識が通用しないことが多い。

 特に中国では、経営を任せた現地の人材が会計処理をごまかして私腹を肥やしたり、従業員が不正行為を働いて会社の金を持ち逃げしたりといったことをよく耳にする。

 しかも、そうした事態が発覚しても、当の本人はほとんど罪の意識を持っていないケースもあるという。そうしたオペレーショナルリスクは、日本人の感覚では理解の範囲を超えることが多く、中国に進出した企業にとって大きな心労になっている。

高成長の時期は終焉国民の不満が高まる懸念

 ここへ来て、中国経済の減速が鮮明化している。それは、今年の全国人民代表会議の席で李克強首相が、景気の下振れリスクについて強い懸念を表明したことからも分かる。株価の乱高下と、それに対する政府の強引な株価対策も気になる。

 元々、中国経済は様々な問題点を抱えている。その一つは人口構成の歪みだ。今後は一人っ子政策の影響もあり、少子高齢化が急速に進むと見られる。そうした状況下、社会保障制度が未成熟な中国では、これから充分な経済的富の蓄積を持たずに定年を迎える人口が大きく増加する。

 人口構成の歪みから、働き手である生産年齢人口の割合は低下する。働き手の割合が減って、高齢者層の消費が盛り上がらないと、経済の実力=潜在成長率は大きく低下する。中国経済の高成長の時期は終焉したと言っても過言ではないかもしれない。

 そうした状況が続くと、国民の共産党政権に対する不満が高まり、現在の一党独裁の体制維持が難しくなることも考えられる。そうしたリスクが顕在化すると、経済だけに留まらず、政治や安全保障などの面でも世界の不安定要素になることが懸念される。

 そうなると、中国社会全体が一時的に混乱に陥る可能性が高い。治安が悪化したり、反政府活動などによって経済活動が阻害される懸念も高まる。そうした状況では、中国で業務活動を行うにおいて、リスクに見合うリターンを取ることがかなり難しくなる。

一部上場企業を破綻に追い込んだオペレーショナルリスク

「中国ビジネスは人の管理だ!」。同国でのビジネス経験の長い経営者の指摘だ。彼によると、少しでも目を離すと、経理担当者が経費をくすねたり、営業担当者が売り上げをごまかしたりする。

 あるいは、信用できると考えて経営を任せた現地のビジネスパートナーが、会社の売り上げの一部を自分の口座に入れる。そうした行為は日常茶飯事で、「人を見たら泥棒と思え」という喩えの意味がよく分かったという。

 福井市に本社を置く江守グループホールディングスという会社があった。1906年に江守薬店として創業され、合成樹脂や化学品を扱う東証一部上場企業だった。大きな特徴は、中国でのビジネス展開が進んでいたことだ。中国経済の発展に伴い、同社の事業も堅調に推移していた。

 ところが今年2月、監査法人から中国の連結子会社について不正会計の疑いが指摘された。同社が調査したところ、中国側の責任者が、自分の親族が経営する企業を使って大規模な架空取引を行っていたことが発覚した。

 実際には、親族企業から商品を仕入れた格好で代金を払う一方、同じ親族企業への売り上げを未収金として回収していなかった。その架空取引によって、親族企業に資金を移していたのである。しかも、その金額が大きかった。

 今年3月、江守グループは462億円余りの貸倒引当金の計上を余儀なくされた。最終的に、同社グループは民事再生法の適用を申請し、事実上の破綻に追い込まれた。

 これは必ずしも特別なケースではない。中国ビジネスのベテランにヒアリングすると、「多かれ少なかれ、同国に進出したわが国企業はそうした経験をしている」という。

不安定化する中国の社会リスクに見合うリターンが取れるか

 経済成長が進み給与水準が上昇すると、生産拠点としての魅力は低下する。そのため、繊維産業など付加価値の低い分野での優位性は薄れることになるだろう。量販型のアパレル分野の企業が、生産拠点を相次いで中国からミャンマーやバングラデシュに移し始めている。

 一方、13億人の人口を抱える中国では、経済成長に伴って人々の所得が上昇するとその分だけ購買力も上がる。消費市場として大きなビジネスチャンスがあることは間違いない。わが国企業の中国展開については、今後、生産拠点展開よりも消費者向けの販売網やサービス関連の展開が中心になるだろう。

 問題は、リスクに見合ったリターンが取れるか否かだ。業種やビジネスモデルによって異なるものの、これからチャイナリスクが高まることを頭に入れておくべきだ。

 中国経済は産業構造や人口構成の制約から、リーマンショックを境に高度成長期から安定成長期に向かいつつある。当面、かつてのような高成長を望むことは困難だ。

 中国政府が描いている構図は、鉄鋼・セメントなどの過剰生産能力を新興国向けの輸出に振り向けることだ。AIIBを作って新興国に資金を貸し付け、中国製品を売り込んでインフラ投資を援助することを目指す。

 それと同時に、国内の消費を活性化して安定した成長を維持することを模索する。いわゆる“新常態”だ。その構想が上手くワークすると、中国社会は安定した経済基盤を基に穏当な時期を過ごせるかもしれない。

 しかし経済成長率の低下は、若者の就業率の低下や貧富の差拡大などの効果をもたらしやすい。それらの要素は、国民の不満を増幅する可能性が高い。人々の不満が蓄積すると、その矛先は政権に向かうだろう。

 政権基盤の弱体化は社会不安につながることが想定される。多民族を抱え、それでなくても不安定要素の多い中国の社会がさらに浮き足立つ可能性が高い。同国の友人の一人は、「家族をカナダに移住させた」と言っていた。

 社会的な不安定性が増幅すると、政治・経済にもマイナスの影響が出ることは避けられない。そうなると、中国のカントリーリスク、オペレーショナルリスクは一段と高まるだろう。そのリスクに見合ったリターンが取れるか否か、冷静に見極めることが必要だ。

http://diamond.jp/articles/-/75604


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