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永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(33)

2008年04月28日 | Weblog
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【紅葉賀】の巻 (4)

 紫の上は、源氏が御殿に居られながら、こちらに直ぐに来られないので、拗ねてむかむかしていらっしゃったのか、
源氏が「こちや」――こちらへいらっしゃい――
とお声をかけでも、知らん顔で、「入りぬるいその」(万葉集のうた)と、ただ口ずさんでおられるののが「いみじうざれてうつくし」――ひどく女っぽくて美しい――
源氏は「あなにく。かかる事口慣れ給ひにけりな」
――なんと憎らしい、こんなことが言えるようになったのですね――

 箏の琴を取って、いつものように笛を吹きつつお教えになり、また一緒にかき鳴らしていらっしゃいます。紫の上は、何事にも上達が早く、賢くていらっしゃいます。
源氏が、さあ、そろそろ…と言って例のごとく、夜の外出をされようとしますと、紫の上は心細そうにうつ伏してしまわれました。

 源氏は「外なるほどは恋しくやはある」
――私が留守にすると恋しいですか――
などと言って、この夜は「出でずなりぬ」
――今夜はどこにも行かないことにする――と言いますと、ご機嫌が直るのでした。

 源氏は、こんな風に御自邸に居られることの多いのを、左大臣方へ申し上げる人が居たようで、
左大臣邸の女房たちの話
「誰でしょう。もってのほかですこと。今までそんな女が居るとは聞いていませんし。殿を側に引きつけて、ふざけてるなんて、どうせ上品で奥ゆかしい人ではないでしょう。宮中でちょっと見かけて懇意になった女を、お隠しになっているのでしょう。なんでもまだ
物心つかぬおぼこだとのことですよ」

 帝の耳にも入られて
帝「いとほしく大臣の思ひ嘆かるなること……、おふなおふなかくわざとものしたる心を、……などかさ情けなくはもてなすなるぞ」
――気の毒にも、左大臣が嘆いているとのことだ。まだ物心つかぬ頃から、精一杯こうしてわざわざ世話をしてくれたものを、それ位のことが分からぬ年頃でもあるまいに、なぜそう無情な振る舞いをするのだ――

一方で帝は「心ゆかぬなめり、といとほしく思召す」
――さては、満足ゆかぬ夫婦仲らしい、気の毒だともお思いになるのでした。――
「この辺にいる女房にせよ、又方々の女達にせよ、素振りも評判もないようなのに、一体どこを遊び歩いてこんなに人にうらまれるのか」と言われます。 

 源氏は恐れ入った様子で、ご返事もおできになれない。

ではまた。


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