無意識日記
宇多田光 word:i_
 



 その1からの続きです。

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 そういう、世界で最も巨大で、且つその為ジャンルごとに細分化されたラジオなりテレビなりのフォーマットの中で、彼女のような全方位型アーティストが、「EXODUS」のような作品が、どのように売り出されるのか。当時そこに興味は集中していた。2002年2月に世界4大レコード会社のひとつであるユニヴァーサル・ミュージックと契約を結んだというニュースが伝わってきた当時、契約金だか制作費だかは5億ともいわれ、まさに破格の条件であったし、レコード会社もそのような巨額の費用をかけるからには凄まじいプロモーション攻勢をかけるのではないか、そう周囲が考えても何ら不思議ではなかった。

 しかし、その実態は、まるで期待・予想とは掛け離れたものだった。当時把握された全米でのラジオ出演は、5都市7ステーション5州7都市、2万とも言われる全米のラジオ局の数を考えると、琵琶湖でミジンコがくしゃみをした程度に等しい数だった。後に残ったのは、余りにも短期間で各都市を回ったためビザを見るなり空港で訝られた、という半苦笑するようなエピソードと、中国人ラップを聞かされて困惑する彼女の半苦笑する声の表情だけだった。それくらいに、2004年秋の、日本の「エキソドス」ではない、全米での「EXODUS」のプロモーションは皆無だった。(その3へ)

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