Sightsong

自縄自縛日記

ポール・ニルセン・ラヴ+ケン・ヴァンダーマーク@新宿ピットイン

2012-09-12 07:10:04 | アヴァンギャルド・ジャズ

ポール・ニルセン・ラヴケン・ヴァンダーマークのふたりが来日していて、なんとか、新宿ピットインに足を運んだ(2011/9/11)。

Paal Nilssen-Love (ds)
Ken Vandermark (bs, ts, cl)
坂田明 (as, cl)
八木美知依 (エレクトリック21絃箏、17絃ベース箏)
本田珠也 (ds)

ノルウェー出身のニルセン・ラヴと、シカゴ出身のヴァンダーマーク。彼らはもう10年以上も共演を続けているといい、「4 Corners」というグループもある。ヴァンダーマークを直に観るのははじめてだ。

今回の演奏は以下の組み合わせ。

1. K.V (bs)、本田
2. K.V (ts)、本田
3. P.N.L、坂田 (as)、八木
4. P.N.L、坂田 (cl)、八木
5. P.N.L、坂田 (as)、八木
6. K.V (bs→cl→ts→cl→bs)、P.N.L、坂田 (as→cl→叫び→as)、八木、本田
7. K.V (ts)、P.N.L

まずはヴァンダーマークのオーソドックスでストロングスタイルのアプローチが印象的。この人はシカゴの王道なのである。エネルギッシュなバリトンサックス、抜けの良いテナーサックス。そして坂田明とのクラリネット2本によるぴろぴろ共演には笑った。エネルギーを吐き出しさらけ出しても、必ず太い流れに戻ってくる感覚。

ニルセン・ラヴは、前回観たときには、ジョシュ・バーネットのような堂々たる体躯でのパワープレイに圧倒されたのだったが、今回、強さも多彩さも惜しげもなく繰り出してくる様子を観て、あらためてそのポテンシャルに感じ入った。体形だけがジョシュなのではない。総合格闘技でもショープロレスでもトップで暴れるという点でもジョシュである。本田珠也と並んで叩いていると、ふたりともパワー、スピード、名人芸すべて持つ三冠王ながら、キャラの違いが出てくるようで面白い。ニルセン・ラヴは、マッスで聴く者を攻めてくる。

もちろん、坂田明の「待ってました」的な叫びも、八木美知依のつくりだすうねりも、素晴らしかった。それにしても、フロントに坂田明とヴァンダーマーク、ドラムスに本田珠也とニルセン・ラヴが並んでいる様は、冗談のようだ。

最後にアンコールに応え、来日したふたりのデュオを聴かせてくれたのは嬉しかった。この前日までがデュオのみで、稲毛のCandyにも駆けつけようと思いつつ時間がなかったのだった。

終わってからヴァンダーマークをつかまえ、ペーター・ブロッツマンのDVDでインタビューに答えて「インプロヴィゼーションは連続性(continuity)のスナップショットだ」とか言っていたのが印象的だったけど、と訊いた。彼は至極真面目な顔で、ウン確かにそう言った、生活も音楽も毎日いろいろあって異なる、インプロヴィゼーションはその一断面の発露だと思っている、などと語った。


ヴァンダーマークとニルセン・ラヴにサインを頂いた(『Letter to a Stranger』)

●参照
4 Corners『Alive in Lisbon』(ヴァンダーマーク、ニルセン・ラヴ参加)
ペーター・ブロッツマン@新宿ピットイン(ニルセン・ラヴ参加)
ジョー・マクフィーとポール・ニルセン・ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(ヴァンダーマークがインタビューに答える)
横井一江『アヴァンギャルド・ジャズ ヨーロッパ・フリーの軌跡』(ニルセン・ラヴに言及)


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