ペーター・ブロッツマンが来日していて、「生誕70周年記念ツアー」と銘打たれている。最近も頻繁に日本で演奏しているにも関わらず、もう何年もブロッツマンの演奏に接していないこともあり、ようやく新宿ピットインに足を運んだ(2011/10/15)。
ペーター・ブロッツマン(sax, cl)
ポール・ニルセン・ラヴ(ds)
フレッド・ロンバーグ・ホルム(cello)
ジム・オルーク(g)
八木美知依(21弦箏、17弦箏)
脳内にある姿と比べると、随分と歳を取ったものだなあと思う。たぶん90年代後半に観て以来(ヨハネス・バウアーとのデュオ、羽野昌二とのバンド、近藤等則とのデュオなど)であるから、当時のブロッツマンは50代だったはずだ。この日、ブロッツマンは主にテナーサックスを吹き、1曲ずつ、メタルクラリネットとアルトサックスを手にした。主観的な印象に過ぎないが、暴力的なほどのエネルギーは多少減じているように思えた。それにしても、70歳にしてあのブロウはあり得ない、驚愕にあたいする。
エネルギーの放出というなら、はじめて演奏に直接接するポール・ニルセン・ラヴのドラミングである。叩く1音1音あたりの音圧が凄まじく、石矢のように突き刺さってくる。ジョシュ・バーネットかというほどの筋骨隆々とした体躯、これは格闘技だ。居合わせた@Cat Cooperさんも@Eigen Kinoさんも、普段よりもパワープレイに徹していたと圧倒されていた。やっぱり演奏家の個性を体感するにはライヴに尽きる。
もちろん他3人の共演者の演奏も愉快で、座った場所も良かったのか、全員の音が同レベルで耳に入ってきて至福だった。八木さんの21弦箏はまるでエレピのようでもあり・・・。
ちょうど来ていた評論家の横井一江さんに、ミシャ・メンゲルベルグのポストカード(『アヴァンギャルド・ジャズ』の表紙)を貰ってしまった。ウフフ。
ニルセン・ラヴにサインを頂いた
●参照
○ペーター・ブロッツマン
○エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(ブロッツマン参加)
○セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット(ブロッツマン参加)
○ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(ブロッツマン参加)
○ハン・ベニンク『Hazentijd』(ブロッツマン参加)
○ジョー・マクフィーとポール・ニルセン・ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』
○4 Corners『Alive in Lisbon』(ニルセン・ラヴ参加)
○横井一江『アヴァンギャルド・ジャズ ヨーロッパ・フリーの軌跡』