ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

大震災と医療問題: 診療所を優先して地域医療の再建を

2011年03月29日 | 時事問題
医療に関する提言・レポートfrom MRIC by 医療ガバナンス学会(2011年3月27日) 「被災地での医療体制の復興」 中村利仁 北海道大学医学大学院 医療統計・システム・社会管理学部門より

 応急の復旧・再建の次に来る課題は、より良い物を作るという意味での復興である。津波に洗われた地域に国道や、鉄道は敷くべきではないし、被災地に住宅や町を再建すべきではない。現地再建を目指すなら、新たな津波対策・地震対策が必要である、十分に高いところ新たな町を開発し、町全体を移動させるべきでしょう。病院・診療所も流された場所に再建してはいけません。病院とは基幹病院・中小病院・診療所の再建を目指すことになるが、北海道の経験を踏まえて提言したい。北海道では診療所不足から過度に基幹病院の外来部門に依存した体制であったため、効率的とはいえない地域医療体制を余儀なくされてきた。病院に対する補助はいうまでも無いが、緊急に診療所再建のための費用補助が必要である。稚内の診療所開業助成制度がひとつの見本となる。


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3月29日午前8時 茨城県空間線量率データ(茨城県放射線テレメータより)
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
測定局    NaI線量率nGy/h   風向    風速m/s
日立市大沼     460       東      1.8
東海村石神     361       西      1.4
水戸市吉沢     188       北北東   0.5
鉾田市徳宿     263       南西     1.3
(22年度測定値の統計はほぼ30-50nGy/hの範囲にあった。)
最近は晴れが続いているため、放射線量はかなり低減してきた。


読書ノート ぺートル・ベックマン著 「πの歴史」 ちくま学芸文庫

2011年03月29日 | 書評
円周率πの歴史から数学の幅広い展開へ 第15回 最終回

2.12) オイラーのarctangent級数解

 最も偉大な数学者(ガウスだという人もいるが)スイス生まれのオイラー(1707-1783)は多作な研究者であり、総数886冊の論文・著書を出した。指数関数と3角関数の関係や、変分計算法と複素関数論が有名である。数値計算に驚くべき才能を発揮したのも天才的な記憶力によるものであるといわれる。オイラーは出る限りのほどのπの公式を出しつくしたといわれる人物である。逆2乗級数の和は長い間数学者を困らせていた。1736年オイラーはこの問題を楽々と解いた。ニュートンのSIN(x)=X-(1/3!)X3+(1/5!)X5-(1/7!)X7・・・・から、πの2乗を整数の逆2乗級数であらわし、πの4乗を逆4乗級数、・・・・・・と数多くのπ式を出した。πと結びついた問題を徹底して扱ってしまったため、彼の後にπの計算式でよい方法を編み出した人はいない。オイラーは数値計算に関しては、πの仕事を全て終らせたといわれる。と言っても最も重要な仕事はオイラーの公式 eix=COSx+iSINx ( X=πでは eiπ=-1)を発見したことであろう。
(完)

文藝散歩 坪内稔典著 「柿への旅」 岩波書店「図書」

2011年03月29日 | 書評
2010年2月号 「柿への旅」⑩ 「年取りの柿」

 坪内氏が琵琶湖の奥にある菅浦という村に行ったときの話である。菅浦で干し柿を見たとき、「ああ、もう正月がちかい」と思ったそうだ。坪内氏の実家(愛媛県)では正月の朝、三方を頂き、干し柿をたべて年を取る習慣があった。干し柿は絶対食べなければならなかった、食べないと年を取れないのだという。その干し柿の最高級品が岐阜県美濃加茂市産の「堂上蜂屋柿」である。将軍家にも献上された高級品で茶会の菓子として珍重された。食べ方はまず半分に割り、さらに2つに裂くことで4分して食べる。絶対にかぶりついてはいけない。そこで買った桐箱入りの「堂上蜂屋柿」を、見つけた孫にぱくりと2つも食われた悔しさを柿内氏は恨めしそうに書いている。私の記憶では正月の鏡餅の上には干し柿を載せるものだと思っていたが、いつのまにやら蜜柑に代わってしまった。さて皆様はどちらですか。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「避難疎開」

2011年03月29日 | 漢詩・自由詩
群衆南行惨別顔     群衆南行し 別顔惨たり

離郷千里異江山     離郷千里 江山異にす

憔悴困憊渾無色     憔悴困憊 渾て色無く
 
鳥雀巡思久未還     鳥雀思を巡らせど 久しく未だ還らざる


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(韻:十五刪 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)

CD  今日の一枚 ラフマニノフ 「晩 祷」

2011年03月29日 | 音楽
ラフマニノフ 無伴奏合唱によるミサ曲「晩 祷」作品37
テノール:カール・デント 
ロバート・ショー指揮 ロバート・ショー・フェスティバル合唱団
DDD 1989 TELARC

ロバート・ショー・フェスティバル合唱団はフランスのケルシーに本拠を置く合唱団。全員に奨学金が与えられロバート・ショーのもとに学ぶ。アメリカとフランスの次世代合唱団の育成に当たっている。ラフマニノフはロシア正教会からは距離を置いたが、宗教曲は多く作った。晩祷は夕べの祈りという意味で、1915年に作曲された無伴奏合唱曲である。それは静かな雰囲気で始まる。
東北大震災の犠牲者に捧げます