転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
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HN「転勤族の妻よしこ」、筆名「山田亜葵」。家族は、転夫まーくん(またの名を「ツアコンころもん」)、転娘みーちゃん(1995年生まれ。首都圏在住。会社員)。
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六月博多座大歌舞伎
歌舞伎・古典芸能
/
2019年06月04日 09時50分17秒
初日翌日の昨日、博多座で菊五郎劇団中心の大歌舞伎を観てきた。
音羽屋の旦那さん(菊五郎)は『野晒伍助』一本で、絶品!
こういう役を、ここまで粋に大らかに演じられるのは、
菊五郎の芸歴があってこそなのかもしれないと思った。
実年齢が合っていれば良いという訳には到底行かない、
歌舞伎の難しいところでもあり面白いところでもあった。
それより驚いたのが、突然の左團次休演だった。
前日の初日の夜の部の途中から、体調不良のため出演できなくなったそうで、
情報弱者の私は(汗)そんなことはつゆ知らず、
博多座に行ってから貼り紙を見て仰天した。
代役が、昼はあらしちゃん(松緑)、夜は彦兄(彦三郎)。
どんなアクシデントでも、それによって新たな配役が見られる妙味はあり、
ここは左團次のためにも両者、頑張ってくれよと念じつつ、開幕を待った。
結果として、あらしちゃん(松緑)は昼の一本目から悪役で大活躍、
昼夜出ずっぱりの公演となった。
仁三郎役で菊五郎の伍助と並んだとき、あらしちゃんの大きさを強く感じ、
立派になった……(T_T)、と感動を禁じ得なかった。
声も深さがあって惚れ惚れ。
『土蜘』は菊之助の凄さに言葉もなかった。
登場時の、深い闇をまとって姿を現すような妖気と静けさ、
そして、この世のものと思われぬほどの声の迫力!
菊之助の投げた蜘蛛の糸は、虚空に舞い上がったあと、
ふわりとスローモーションのように弧を描いて、
細やかに広がりながら降って来るのだが、
その軌跡まで美しく、まさに異界の気、ただただ圧巻だった。
彦兄が代役で平井保昌を務めたが、これまた美声が響き渡り、
若々しく張り詰めた舞台が、良い意味での緊張感に繋がっていたと思う。
最後の『権三と助十』は、打って変わって楽しい一幕。
喜劇の巧い人は本当に芝居が上手、というのが私のひとつの認識なのだが、
芝翫と松緑は笑いの相性もなかなか良いようで、
初日開け二日目にして既に素晴らしいテンポだった。
松緑と亀蔵の兄弟ぶりのほうも、阿吽の呼吸で文句なく愉快!
團蔵はときどき台詞が怪しく(爆)
言葉そのものは出ないが、意味合いを台詞にして繋いでいる、
という感じのところが何カ所かあった。
猿回しの福之助は愛嬌があり、なかなかの熱演で印象に残った。
彦三郎の勘太郎は、あの超一級の美声と相まって最高の舞台映えで、
彦兄の声は現代歌舞伎界の宝!!
ほかの人の演る勘太郎など、私はもう、考えられない(^_^;!!
というわけで、慌ただしかったが博多座昼夜観劇を果たして来た。
私は本当に菊五郎劇団が好きで、この座組でまたやって貰いたい、
と心から思ったが、なかなか私自身の時間の都合がつかず、
こんなに近所でやっている博多座公演ですら、残念ながら、
おそらくはもう今月はこれ1回しか機会が得られないだろう。
舞台は一期一会で、なんとも勿体ないことだが、
今回一日だけでも行けたことを、今は、感謝せねばならないと思っている。
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