転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



25日3時公演を観た。
トップの和央×花總コンビのサヨナラ公演二日目。
個々の生徒さんについてはまた後ほど書きたいと思うが、
とりあえず全体的な感想を。

見終わって感じたことは、とにかく、小池先生の手腕に脱帽、
というか、もしこの台本でなかったら、
私はこんな内容の芝居、途中でアゴが出て、
とてもじゃないが最後まで見られなかっただろう、
ということを、強く思った。

私にとっては本質的にかなり苦手な部類の題材で、
娯楽で観に来てんのに鬱陶しい講釈聞きたくないんだよ、
と普段の私なら投げ出していたであろう、
重い・深いテーマの社会派の芝居だった
(内容をお知りになりたい方は、公式サイトでどうぞ)。

和央ようかが演じるのは、ユダヤ系ポーランド人で、
パリの風俗を撮影して名を得たカメラマン、ジョルジュ・マルロー。
ハリウッド女優エレン(紫城るい)と愛人関係にありながら、彼は、
新進作家のキャサリン・マクレガー(花總まり)と恋に落ちるが、
その彼女のほうも、離婚歴のある大人の女性で、
こういう、ある意味退廃的な恋愛関係を取り上げているところが
このふたりのコンビ歴の長さを考えても、大変に成功していたと思う。

だがもし、この恋愛部分が話の焦点になっていたのだとしたら、
「コンビの退団だし、これを書きたかったのね」
と私はそこだけ観て終わっていたかもしれないのだが、
今回の面白さは、話が単にラブストーリーで終わらず、
脇役に至るまで、様々なキャラが立っているというところだった。
その構成のうまさにつられて、私はこういう主張のある重い話を
最後までしっかり聞かされてしまったのだと思う。

たとえ一場面しか出番がない脇役でも、
そこで観客の目に何かを強烈に焼き付けることができるなら、
それは決してただの脇ではないし、そういうキャラのいる作品は名作だ、
と私は『エリザベート』を観たときに思ったものなのだが
(↑マダム・ヴォルフもヴィンディッシュ嬢も出番は一度きりだ)、
今回もそれに似た手応えを私は随所で感じた。

毬穂えりな演じるアニータが見事であるのは勿論だが、
天羽珠紀のアルフォンソ・リベラ、
風莉じん扮する(姓名さえ出ない)市長、などは、
宙組を初めて観る人でも目をとめる役ではないだろうか。
歌唱が素晴らしいこと、団体芸としてのコーラスが圧巻であること、
等々、宙組は、私の気づかない間に、
これだけ見せる要素を持った組になっていたのかと
本当に驚き、嬉しく思った。
彼らがささえた部分は実に大きかったと思うし、
彼らの存在なくしては、この芝居は成り立たなかったと思った。

なお和央ファン的には、年末の、あの転落事故があったために、
たかこさんが、たった三ヶ月でちゃんと歩いて走って、
銀橋渡って、それどころか踊ってる~、大羽根背負ってる~~、
というのが、もう、尋常でない、とてつもない感激だった。
初日を観た友人たちの中には、たかこさんの姿だけで涙・涙で、
他には何一つ、主人公の名前さえまともに記憶に残らなかった、
という物凄い人々が(^_^;何人か、いた。
単なるサヨナラ公演だったら、こんな感激は、
決してあり得なかっただろう。えらいことになったものだ(^_^;。

(なお、そのような友人たちでも、二日目を見終わった頃には、
『オリンピックに来ただけのオランダ人レスリング選手が、
なんで、スペインの内戦に参加して闘ってるんでしょーかねー。
普通なら速攻、帰りますやん』
とツッコミを入れる元気を回復していた。大したものだった(^^ゞ。)

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