転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



今でこそ、介護生活のために一戸建ての家に落ち着いたけれど、
これまでの結婚生活は、転勤につぐ転勤だった。
現実問題として、行った先によっては、狭い官舎をあてがわれることもあるから、
大型家具は少ないほど良い。
が、その機能性重視の典型のような住宅プランで暮らしている我々が、
ただひとつ、転勤先へと連れ歩いた場所取り家具(?)、それが私のピアノだ。

私のだから、夫には頼らず、私の虎の子を頭金に、ローンで買ったものだ(^_^;)。
それでも、やはり道楽者なので、張り込んで「木目」にした。
実家で長年弾いていたものより、ひとまわり小さいのだが、
自分で選んで買ったピアノなので、愛着もひとしおだ。

そのピアノの上に、私がいちばん先に飾ったものが、
イーヴォ・ポゴレリチのサイン入り写真。
ポゴレリチは私にとっての、ピアノの世界を決定的なものにしてくれた、
神様に等しい演奏家だ。
私の演奏を聴かされる写真のポゴたんは辛かろうが、私は幸せだ。
私は彼が、ショパンコンクールで物議をかもした頃から知っていて、
初来日も覚えていて(残念ながらじかに聴くことは出来なかったのだが)、
88年以降は来日公演のたびに聴いていて、
畏れ多くも彼とは英語で直接話したことがあり、
ロンドンの彼の家まで行ったこともあり(が勿論、外から眺めただけ!)、
ワシントンDCの議会図書館へ、彼に関する資料収集のためだけに二度も行ったのだ。
正気の沙汰ではない。イタい、と笑いたければ笑いたまえ。
だが、それほどに私は彼に魅せられているのだ。
昨年など、彼の演奏が収録されている、というだけの理由で、
学研から出ている『ワルシャワの覇者』DVD31枚組を買ったのだ(ローンだ(^_^;))。
http://musik-platz.gakken.co.jp/special/chopin.html

「四十代になったら、自分の思い通りの演奏をしてみせる」
と二十年以上前に若きポゴレリチは豪語していたものだが、
実際にその年齢に差し掛かる頃、彼は最愛の妻を失い、神経を病み、
演奏家としては危機的な状況に陥ってしまった。
現在の彼はどうしているのだろう。
日本の辺境でおばさんがこうしてひとり、彼に熱く思いを寄せ続けていることを、
………想像して欲しいワケではないが、その思いに答えてくれるような、
何か、来日公演か新譜発売の企画でもあったらいいなぁ、と切に願っている。

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