わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 177 指に怪我をした状態で轆轤作業は可能か?

2015-09-10 21:43:33 | 素朴な疑問
手足に怪我(けが)を負ったり、いぼ、魚の目、かぶれ等の皮膚病に掛かった場合、何らかの方法で

轆轤作業を続ける事は可能でしょうか?

当然、怪我の程度や皮膚病の状態によって、可能の場合と不可能の場合があります。

1) 指や腕を骨折すると、ほとんど轆轤作業は不可能になると思われます。

  骨折すると、ギブスで固定され包帯でグルグル巻きに成りますので、指や腕を自由に使う事が

  出来なくなり、轆轤作業はほぼ不可能です。

2) 指先や掌(てのひら)に怪我を負った状態では、轆轤作業は難しくなります。

  但し、手の甲の部分の怪我ですと、絆創膏で処理すれば、轆轤作業に影響ない場合が多いです。

 ① 切り傷や擦り傷を負った場合は、傷口が小さくても轆轤作業が制限されます。

  轆轤作業は原則両手で行いますので、片手の傷であっても、轆轤作業は難しくなります。

  当然どの部分が傷を負ったかによって、作業の影響は違います。一般に傷を負った箇所には、

  絆創膏を貼り、傷口から粘土の泥が入り込まない様に処置します。傷口に泥が付いた場合、

  最悪病原菌に感染する恐れもあります。勿論、簡単に絆創膏が剥がれ無い様に、傷口より広範囲

  に貼りますが、水を使う轆轤作業では剥がれ易くなります。

  轆轤作業後には綺麗なみずで、傷口を洗い流し、消毒をしておく必要があります。

  ) 薄手の手袋を使う事も考えられますが、使ってみると判りますが、かなり難しいです。

  ) 両手又は片手に布切れを持ち、轆轤挽きする方法もあります。

    特に、小石(ハゼ石)混じりの土を使う場合、指を痛める事もある為、布切れを使う場合と

    水切れ防止の為、布切れを使う事もあります。この場合は指が直接土に触れませんので、

    絆創膏を貼った指でも、轆轤作業が出来る事になります。

    この事から、指が怪我してもやり方にによっては、轆轤作業が可能かも知れません。

 ② 指先の傷が一番影響します。

  左右どちらの指でっても、指先が負傷する事で作業がし難くなります。例え余り使用しない

  小指であっても、作業中は気に成る物です。指先は意識の有無に関わらず、常に作品の表面に

  触れながら、作品の形は勿論、肉厚や粘土の軟らかさ、作品の拠れや振れを感知しているセン

  サーです。それ故、感度の鈍ったセンサーでは、思うように行かないのは当然です。

 ③ 掌の怪我の場合。

  轆轤での土殺しの際には、掌を使う事が多いです。又筒状に挽き上げた土が振ら付きを直す

  場合にも、両手で抱え込みますので、掌を使う事になります。

  特に親指の付け根と、小指の付け根付近が多く使われますので、この部分の怪我は轆轤作業に

  大きく影響します。

 ④ スポーツ等で突き指をした場合にも影響がでます。

  突き指をした指には、力がはいりません。轆轤で指先に力を入れる行為は意外と多いものです。

  例えば、土の中央に穴を開ける場合には、主に親指を使いますし、土を薄く伸ばす場合には、

  中指や人差し指を使う事が多いです。それ故、親指、中指、人差し指を突き指すると、影響は

  大きいです。勿論、一本の指だけの突き指であれば、他の指やコテ類その他の用具で代用する

  事も可能ですので、必ずしも悲観する事はありません。

 ⑤ いぼ(疣)や魚の目、たこの場合には、それらが痛まないのであれば、ほとんど問題ありません

   これらの皮膚病であれば、必ずしも絆創膏を貼る必要もありません。それ故、轆轤作業に

   違和感がっても続ける事ができます。但し、痛みがある場合は轆轤作業は難しくばります。

 ⑥ 「かぶれ」や「発疹」などのある皮膚病の場合には、轆轤作業は控えた方が無難です。

   小さな傷口から、泥や細菌が入り込む恐れがあるからです。

2) 上記で片手での轆轤作業は難しいと述べましたが、電動轆轤が無かった時代では、小さな

 作品であれば、左手のみで制作していた人も多くいました。

 即ち、当時は手回し轆轤でしたので、小物ならば、右手に回し棒を持ち、左手一本で制作していた

 様です。それ故、電動轆轤であっても小物であれば、左手のみで作品を形作る事も、可能と思われ

 ます。

3) 足を怪我した場合。

  蹴轆轤(けろくろ)の様に足を使う轆轤もあります。基本的には片方の足が使えれば、蹴轆轤は

  曲がりなりにも使う事が可能です。当今は一般に電動轆轤を使う事が多いです。

  回転速度調整は足でペダルを踏んで行う轆轤も多いです。又、足を使わずに回転速度を調整する

  轆轤もあります。後者であれば、足の怪我はほとんど問題になりません。前者の場合、右足で

  操作するのが一般的ですので、左足の負傷であれば問題なく、轆轤作業は可能です。

  右足を負傷した場合でも、こまめに回転速度を変えなければ、轆轤作業は可能です。なぜならば

  足以外でも轆轤の回転速度を調整できる、手で操作するレバーが装備されているからです。

結論として、程度の差にもよりますが、手足の負傷は轆轤作業に悪い影響を与えます。

基本的には轆轤作業は中止した方が良いでしょう。どうしても轆轤作業をする必要がある場合には

実際に色々試してみる事です。試して轆轤作業が困難ならば止めるべきです。

但し、余り水を使わない手捻りの場合は、さほど問題に成らないと思われます。
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