3) 釉の光沢が強過ぎるのを減らしたい場合と、光沢を増したい場合の処理。
現在使っている釉が、光沢があり過ぎて、釉の色彩に落ち着きの無いと感じたり、光沢を少なく
したいと思う時があります。逆にマット(艶消し)感が強過ぎ、若干光沢を付けたいと思う時も
有るかも知れません。その様な場合どのような物質を添加したら良いかが判れば、実行したく
なります。
① 光沢に関係する物質。
一般に良い釉と言われるのは、「光沢があり良く熔けている状態」になった物と言う人もいます
それ故、市販されている釉も、光沢のある物が多いです。しかし、光沢の無い(又は少ない)
釉を好む人もいます。
) Al2O3-SiO3図から判る事。
注:Al2O3-SiO3図(アルミナーシリカ相関図)とは:アルミナ成分とシリカ成分の割り合い
で、釉の性質がどの様に変化するかを表したグラフです。
アルミナ成分が多くなるほど、マット調が強まり、シリカ成分が増すにつれて、光沢のある釉
になります。更にシリカ成分が増すと、乳濁釉になります。乳濁釉も光沢があれば光沢釉に
分類されます。それ故、シリカ成分を多く添加すると、光沢のある釉になります。
逆にアルミナ成分を増すと、マット系に近づきます。
) 光沢があり過ぎた場合、光沢を押さえる方法。
a) アルミナ成分である、「カオリン」や「天草陶石」を加えると、失透感が出て光沢が押さえ
られます。
b) 「マグネサイト」や「酸化チタン」等、結晶を起こす物質を少量加える事で光沢を押さえる
事が出来ます。
) マット感が強すぎる場合、少なくする方法。
マット調になる原因は、熔け不足、結晶が発達し過ぎた為、アルミナ成分が多い等が挙げられ
ます。
a) アルカリ類を増やして、釉の熔け不足を解消する。
一般に、灰類を使用します。特に合成土灰を添加します。又、亜鉛華を添加し熔け不足を解消
させます。
b) 結晶釉の場合、窯焚きの仕方によって、結晶の促進を抑える事ができます。
結晶釉では、窯の冷却時にある温度範囲で徐冷する事が多いです。それ故その徐冷の温度
範囲を短時間で通過させると、結晶の成長が抑えられます。
c) 酸化リチユムは0.5%程度を添加するだけで、釉の光沢を増し、機械的強度も増します。
4) 「釉飛び」、「釉切れ」と「めくれ」
いずれも、焼成で素地表面より釉が弾いたり、めくれて剥がれたりする現象です。
① 原因としては、釉が収縮し過ぎて素地から浮き上がれ事です。
その他に、埃(ほこり)や何らかの粉末(釉、紙やすりクズ等)が作品に付着したまま
施釉した為です。又、素地と釉の間に空気などが入り込み、焼成で釉が浮き上がる事も
あります。更に、釉を二重掛けした際、二度目の釉の水分を一度目の釉が吸い込み、膨張し、
釉を剥がす事もあります。
② 「釉飛び」は貫入と反対現象と思われています。即ち釉よりも素地の方が収縮率が大きい時
に起こります。焼成温度を幾分下げる事でも解決できます。
③ 対策。
釉に問題がある場合と、施釉方法に問題がある物に分かれます。
ここでは、釉に問題がある(釉を改良すれば防げる)場合を取り上げます。
) 釉の接着力を強くする。
一般に、釉にCMC(化学のり)を使い、接着力を与え剥がれ難くします。
) 釉の縮みを少なくする。
微粉末の珪酸を加える。又は酸化錫(すず)を少し加える事で改善されます。
5) 釉の煮えの改良方法。
以下次回に続きます。
現在使っている釉が、光沢があり過ぎて、釉の色彩に落ち着きの無いと感じたり、光沢を少なく
したいと思う時があります。逆にマット(艶消し)感が強過ぎ、若干光沢を付けたいと思う時も
有るかも知れません。その様な場合どのような物質を添加したら良いかが判れば、実行したく
なります。
① 光沢に関係する物質。
一般に良い釉と言われるのは、「光沢があり良く熔けている状態」になった物と言う人もいます
それ故、市販されている釉も、光沢のある物が多いです。しかし、光沢の無い(又は少ない)
釉を好む人もいます。
) Al2O3-SiO3図から判る事。
注:Al2O3-SiO3図(アルミナーシリカ相関図)とは:アルミナ成分とシリカ成分の割り合い
で、釉の性質がどの様に変化するかを表したグラフです。
アルミナ成分が多くなるほど、マット調が強まり、シリカ成分が増すにつれて、光沢のある釉
になります。更にシリカ成分が増すと、乳濁釉になります。乳濁釉も光沢があれば光沢釉に
分類されます。それ故、シリカ成分を多く添加すると、光沢のある釉になります。
逆にアルミナ成分を増すと、マット系に近づきます。
) 光沢があり過ぎた場合、光沢を押さえる方法。
a) アルミナ成分である、「カオリン」や「天草陶石」を加えると、失透感が出て光沢が押さえ
られます。
b) 「マグネサイト」や「酸化チタン」等、結晶を起こす物質を少量加える事で光沢を押さえる
事が出来ます。
) マット感が強すぎる場合、少なくする方法。
マット調になる原因は、熔け不足、結晶が発達し過ぎた為、アルミナ成分が多い等が挙げられ
ます。
a) アルカリ類を増やして、釉の熔け不足を解消する。
一般に、灰類を使用します。特に合成土灰を添加します。又、亜鉛華を添加し熔け不足を解消
させます。
b) 結晶釉の場合、窯焚きの仕方によって、結晶の促進を抑える事ができます。
結晶釉では、窯の冷却時にある温度範囲で徐冷する事が多いです。それ故その徐冷の温度
範囲を短時間で通過させると、結晶の成長が抑えられます。
c) 酸化リチユムは0.5%程度を添加するだけで、釉の光沢を増し、機械的強度も増します。
4) 「釉飛び」、「釉切れ」と「めくれ」
いずれも、焼成で素地表面より釉が弾いたり、めくれて剥がれたりする現象です。
① 原因としては、釉が収縮し過ぎて素地から浮き上がれ事です。
その他に、埃(ほこり)や何らかの粉末(釉、紙やすりクズ等)が作品に付着したまま
施釉した為です。又、素地と釉の間に空気などが入り込み、焼成で釉が浮き上がる事も
あります。更に、釉を二重掛けした際、二度目の釉の水分を一度目の釉が吸い込み、膨張し、
釉を剥がす事もあります。
② 「釉飛び」は貫入と反対現象と思われています。即ち釉よりも素地の方が収縮率が大きい時
に起こります。焼成温度を幾分下げる事でも解決できます。
③ 対策。
釉に問題がある場合と、施釉方法に問題がある物に分かれます。
ここでは、釉に問題がある(釉を改良すれば防げる)場合を取り上げます。
) 釉の接着力を強くする。
一般に、釉にCMC(化学のり)を使い、接着力を与え剥がれ難くします。
) 釉の縮みを少なくする。
微粉末の珪酸を加える。又は酸化錫(すず)を少し加える事で改善されます。
5) 釉の煮えの改良方法。
以下次回に続きます。