わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 76 窯を開けるまで解からない?2

2015-02-09 22:19:45 | 素朴な疑問
窯を開けるまで解からない理由は、窯の中の状態がしっかり見えない事も一つの原因です。但し、

釉の熔け具合は、釉の光沢やテストピースを入れ引き出す事で判断できますが、どの様な色に成って

いるかまでは明確に判断できません。当然、窯が冷えるに従いガラス質は固まり、結晶などが成長し

色も固定されますが、この段階で窯を開ける事は出来ません(無理に開けると、作品が壊れます)。

但し、楽焼き等はこの段階で窯を開けますので、少しは条件が良いかもしれません。

 注: 当然の事ですが、本ブログで取り上げた事を実施すれば、窯が安定し常に一定品質の作品が

   焼き上がる事を保障するものでは有りません。なぜなら、同じ容量で同じ燃料であっても、

   各々窯毎に癖があり、一概に安定させるには、「これ」と言えるものが無いからです。

1) 焼き上がりの良し悪しを決定する要素は、数多く存在します。

  「一土二焼き三細工」と言われる評価方法がありますが、ここでは、土と細工の項目を除いて

  お話したいと思います。

 ① 毎回焼き上がりに変化が出る要因。

  尚、ここでは、同じ窯で焼成する事を前提でお話します。

  釉及び施釉に関する事項(釉の種類、釉の厚み、漬け掛け、流し掛けなど)。窯詰めに関する

  事項(棚板の組み方、作品を置く位置など)。窯の構造と調整に関する事項(煙突の引きの

  強さ、空気や電気の供給量、窯の改良など)。焼成温度に関する事項(最高温度、攻め焚きと、

  寝らしなど)。焼成方法(焼成時間、酸化還元、燃料の供給、昇温、冷却スピード等)に関する

  事項。その他の事項(天候、季節)などです。これらは単独で作用するのではなく、複合的な

  要因によって変化します。但し、ここでは個々の事項に付いてお話します。

  前置きが長くなりましたが、ここより本題に入ります。

2) 釉及び施釉に関する事項。

  理想的な釉(色見本通り)が想像できれば、毎回その様な釉に発色させる事が狙いになります。

  但し、理想の釉がどの様なものか、想像できなければ、今まで焼成した中で、最高の物を目指す

  事になります。尚、未知の釉を目指すにしても、ある程度の予測を立てているはずです。

  ① 釉の種類。一つの窯で、単独の釉か複数の釉を一緒に焼成するか。

   ) 一窯全体を一つの釉の作品で占める場合。
    
     窯の大きさにもよりますが、容量の小さな窯であれば、単独の釉を掛けた作品のみを焼く

     事も多いです。その際には複数の釉の作品を一緒に焼成するよりも、条件は良くなります

   ) 釉の種類によっても、推奨する釉を厚く掛けるものと、薄く掛けるもの、普通の厚み

    (昔から葉書3枚程度と言われています)のものがあります。当然、施釉の厚みに差が

     あれば、同じ釉を掛けても発色の仕方に違いが出ます。同じ釉であれば、特別な場合を

     除き、同じ厚みに施釉する事が大切です。

   ) 釉の特性を頭に入れて置く事。

    a) 釉には流動性のある釉(主に結晶釉など)や、流動性の乏しい釉(志野釉など)があり

     ます。更に、流れる割合にも大小があります。当然ですが高温に成るに従い流れ易く

     なります。

    b) 釉によって焼成温度範囲が異なる事もあります。

     陶器の場合、一般に1180~1250℃程度の範囲内に入る釉が多いです。特に1230℃を中心に

     上下10℃程度が普通です。市販されている釉も、おおむねこの範囲内の物がほとんどです

     但し、土鍋土の場合は、最高温度1180℃と成っている物が多いです。

     磁器であれば、更に高温で1280~1300℃で焼成する事が多いです。

    c) 酸化、還元焼成で発色が変化します。

     釉には、酸化焼成向きのもの、還元焼成のもの、どちらでも発色に影響しない物があり

     ます。それ故、なるべく同じ雰囲気で焼成する釉を選ぶ事です。

     尚、容積の大きな窯であれば、経験からこの場所は還元が掛易い場所を見つける事ができ

     ます。

以下次回に続きます。

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