わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る62(蓋物19、陶筥と重箱4)

2013-04-13 21:39:15 | 陶芸入門(初級、中級編)

 ③  陶筥(とうばこ)を作る。

  ) 長方形の陶筥を作るには、おおよその形を作ったら、土を良く締めて乾燥させます。

     但し、そのまま放置しておくと、表面のみが早く乾燥し、内部との乾燥具合に差が出て、後の

     作業に支障が出ますので、 発砲スチロールの箱などに入れて、じっくり乾燥させ、なるべく

     乾燥に差が出ない様にします。

  ) 蓋と本体(箱)を切り離します。

     蓋と本体との高さの割合を決めて、切糸で水平に切取ります。その後、更に乾燥させます。

   ) 本体(胴体)の内側を掘る。

   a) 剣先などで、掘り込む範囲を決めて、アタリ(当たり)を付けます。

     今回は、内側を掘り込んだ後に、表面を削る方法ですので、表面との間の肉厚は、厚目に

     取っておきます。

   b) 平行カギヘラで、内側を外形に沿って荒掘りします。底の肉厚を残し荒堀は終わります。

      但し、堀進む内に口縁から先に乾燥し、収縮しますので底の広さより、口縁が狭くなります

      ので、 底の内側の寸法よりやや広目にしておきます。

    c) 木製の幅広のヘラを使い、撫ぜながらカギヘラの痕を消し、更に、底の内側も平らに仕上

      げます。

  ) 蓋の内側を掘る。

     上記と同様に、当たりを付けてから、カギヘラで内側を掘ります。仕上げは木製のヘラで行い

     ます。その後、本体と蓋を乾燥させてから、表面を削る事に成ります。

     尚、蓋の開き閉めは、両手で蓋の側面を持って、垂直に上に持ち上げる事によって行い、

     摘みが無いのが一般的です。

  ) 外形を削る。

    a) 単に長方体にする場合も有りますが、文様や削り痕などを残し、趣ある作品に

      仕上げたい場合には、この段階で作業を行います。一体感を出す為、蓋と本体を合わせた

      状態での作業となります。肉厚は有る程度薄くする事により、軽い器を作る事ができます。

     b) 箱状の作品は乾燥時や、焼成時に必ず、内々に「反り」が発生しますので、その事を

      考慮する必要があります。

      即ち、底は中央が内側に盛り上がりますし、四辺の側面も内側に中央が弓なりに成ります。

      蓋も下に落ち込む状態に成ります。その為、側面はやや外側に弓なりにし、蓋も中央が

      盛り上がる様にします。底も足が付いていれば、下に押し付けたい処です。ただベタ高台の

      場合には、底の裏面を数本の凹凸状の筋を入る様にすると、傷や歪みが出難くなります。

      又、高温での本焼きで、土が若干軟らかくなり、下に落ちますので、中央の盛り上がりは、

      解消される事が多いですので、あえて手を加える必要は無いかも知れません。

  ) 蓋止めを作る。

    a) 蓋の内側に紐を巻き付け、アヤメ状の傷と「ドベ」で貼り付けます。

       貼り付ける位置は、本体の口縁の中に入る位置です。

    b) 胴体との合わせ目に木のヘラを当てて、蓋止めの形を整えます。

    c) 竹ヘラを用いて、蓋止めの内外の根元を蓋側に押し当て密着させます。

    d) 蓋止めの高さを揃え切ります。更に「なめし皮を」用いて表面の傷を消します。

    e) 最後に本体と蓋のかみ合わせ具合を確認し、不都合な点が有ったら、微調整します。

       特に、蓋止めの外側の根元には、余分な土が残り、蓋が浮き上がった状態に成り易い

       ですので、余分な土を剥ぎ取り、直角に成る様にします。

       更に、全体を「なめし皮」で拭き、鋭い角部が有れば、丸味を持たせます。

    f) 出来上がった 陶筥は、蓋をした状態で乾燥させます。但し、新聞紙などを間に挟んで

      おくと、取り扱いが便利です。

次回は、茶道で使用する水指に付いてお話します。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする