② 電気窯による炭化焼締
炭化とは炭素が素地に入り込み、黒や炭色などに焼き上げる事を言います。
又、匣鉢(さや)詰の仕方によって、炭化焼成以外の色を出す事も可能です。
) 緋色焼締の匣鉢詰の方法。: 白土を使った作品の方が良い。
a) 約1cmの厚みに匣鉢(さや)の底に籾殻(もみがら)を敷きます。
b) 匣鉢に作品を入れます。匣鉢の大きさに応じて、複数個の作品を入れる事も出来ます。
但し、作品同士は隙間が必要です。
c) 10cmほどの長さに切った薪を、作品の周囲に置き生木の小枝を、薪と作品の間に詰め、
更に、作品の所々に木炭を当てます。薪は高低差を付けて詰めます。
d) 木炭の上に、籾殻を適量振掛けてから、匣鉢に蓋をします。
) 茜(あかね)色の焼締の匣鉢詰方法 : 白土でなく赤土で作品を作れば茜色になります。
a) 匣鉢詰の方法は他の場合と一緒です。違いは、炭化焼きと組み合わせるる場合は、
木炭を片寄って積み上げて、好きな処に炭化を起こさせ、茜色との対比を楽しみます。
尚、木炭は樹木の種類によって、色彩には余り関係ありませせんが、火持ちの長さに
関係します。
③ 焼成方法について
ここでは、電気窯での焼成の仕方を説明しますが、ガスや灯油窯であっても、事情は大差
有りません。 作品は生の状態で焼成しますが、花瓶など水漏れの恐れがある場合には、
素焼き後に、内側に釉を掛けてから、本焼きした方が良いかも知れません。
) 窯が大きい場合には、他の作品と一緒に焼成する事も可能です。
匣鉢は市販品を使う方が良いでしょう。大きさや形(一般には丸、角の物もあります)も幾種類
か有りますので、使いや易い匣鉢を選んでください。又作品を横倒しにする事も可能ですが、
窯の容積と匣鉢の大きさに関係しますので、可能かどうか検討する必要が有ります。
) 匣鉢を窯詰めした後、窯と匣鉢の蓋を少し開け、湿気を逃がしながら、250℃程度まで
温度を上昇さ、その後両方の蓋を閉めます。(火傷に注意の事)
) 最高温度が1200~1230℃まで上昇させてから、電源を切り冷却に移ります。
) 窯変を望むならば、900℃程度に下がるまで、全ての穴を閉じ空気が入らない様にします。
) 焼成後、貝殻は白くなって作品に貼り付いていても、手などで擦ると簡単に取り除けます。
又、水洗いしても簡単に取り除けます。
但し、貝殻を強く押し付けた場合には、貝殻の文様が作品に付く事もありますが、これを
一つの景色と見立てる事で、趣きある作品となります。
) 焼成上の注意事項
a) 喚気に注意。
電気窯は一般に屋内で使います。しかし木炭や薪を使う場合には、酸素が必要ですので、
酸欠で一酸化中毒に成らない様に、十分換気する必要があります。
又、小枝や薪(木片)が燃えると、煙や匂いが発生します。
(木炭の場合のみでは、匂いは弱いですが、換気は必要です。)
b) 匣鉢に炭を多く入れた場合には、炭が燃え残る場合があります。
匣鉢に蓋がしてありますので、窯の温度が下がるに従い、自然消火しますが、匣鉢の
中で、いつまでも「くすぶって」いる事があります。中の炭を火箸などどで摘み出し、
水をかけて消火します。消火した炭や薪を「消し炭」と言い、次回にも使う事ができます。
c) 火襷(ひだすき)の作品
作品に藁(わら)をきつく巻き付け、匣鉢に入れて焼成し、火襷を出す方法もあります。
この場合、いかに藁を作品に密着出来るかが、成功に影響します。
その為には、藁を叩いて柔らかくします。更に密着させる為に、藁をはさんで重ねると
良い様です。また、藁を塩水に漬け、塩分を吸い取らせ、乾燥後に巻き付ける方法を
とる人もいる様です。 但し、火襷を出すには、意外と難しい様です。
d) 電気窯で木炭などを燃やすと、電熱線を傷め易いですので、頻繁にこの方法を取ると
断線の危険が増えますので、注意が必要です。
次回(金城敏男氏)に続きます。