わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸191(高木和安2)

2012-09-13 21:44:59 | 現代陶芸と工芸家達

 ② 電気窯による炭化焼締

    炭化とは炭素が素地に入り込み、黒や炭色などに焼き上げる事を言います。

    又、匣鉢(さや)詰の仕方によって、炭化焼成以外の色を出す事も可能です。

   ) 緋色焼締の匣鉢詰の方法。: 白土を使った作品の方が良い。

    a) 約1cmの厚みに匣鉢(さや)の底に籾殻(もみがら)を敷きます。

    b) 匣鉢に作品を入れます。匣鉢の大きさに応じて、複数個の作品を入れる事も出来ます。

      但し、作品同士は隙間が必要です。

    c) 10cmほどの長さに切った薪を、作品の周囲に置き生木の小枝を、薪と作品の間に詰め、

      更に、作品の所々に木炭を当てます。薪は高低差を付けて詰めます。

    d) 木炭の上に、籾殻を適量振掛けてから、匣鉢に蓋をします。

   ) 茜(あかね)色の焼締の匣鉢詰方法 : 白土でなく赤土で作品を作れば茜色になります。

         a)  匣鉢詰の方法は他の場合と一緒です。違いは、炭化焼きと組み合わせるる場合は、

       木炭を片寄って積み上げて、好きな処に炭化を起こさせ、茜色との対比を楽しみます。

       尚、木炭は樹木の種類によって、色彩には余り関係ありませせんが、火持ちの長さに

       関係します。

 ③ 焼成方法について

    ここでは、電気窯での焼成の仕方を説明しますが、ガスや灯油窯であっても、事情は大差

    有りません。 作品は生の状態で焼成しますが、花瓶など水漏れの恐れがある場合には、

    素焼き後に、内側に釉を掛けてから、本焼きした方が良いかも知れません。

     ) 窯が大きい場合には、他の作品と一緒に焼成する事も可能です。

     匣鉢は市販品を使う方が良いでしょう。大きさや形(一般には丸、角の物もあります)も幾種類

     か有りますので、使いや易い匣鉢を選んでください。又作品を横倒しにする事も可能ですが、

     窯の容積と匣鉢の大きさに関係しますので、可能かどうか検討する必要が有ります。

   ) 匣鉢を窯詰めした後、窯と匣鉢の蓋を少し開け、湿気を逃がしながら、250℃程度まで

       温度を上昇さ、その後両方の蓋を閉めます。(火傷に注意の事)

   ) 最高温度が1200~1230℃まで上昇させてから、電源を切り冷却に移ります。

   ) 窯変を望むならば、900℃程度に下がるまで、全ての穴を閉じ空気が入らない様にします。

   ) 焼成後、貝殻は白くなって作品に貼り付いていても、手などで擦ると簡単に取り除けます。

      又、水洗いしても簡単に取り除けます。

         但し、貝殻を強く押し付けた場合には、貝殻の文様が作品に付く事もありますが、これを

     一つの景色と見立てる事で、趣きある作品となります。

   ) 焼成上の注意事項

     a)  喚気に注意。

       電気窯は一般に屋内で使います。しかし木炭や薪を使う場合には、酸素が必要ですので、

       酸欠で一酸化中毒に成らない様に、十分換気する必要があります。

       又、小枝や薪(木片)が燃えると、煙や匂いが発生します。

        (木炭の場合のみでは、匂いは弱いですが、換気は必要です。)

     b) 匣鉢に炭を多く入れた場合には、炭が燃え残る場合があります。

        匣鉢に蓋がしてありますので、窯の温度が下がるに従い、自然消火しますが、匣鉢の

        中で、いつまでも「くすぶって」いる事があります。中の炭を火箸などどで摘み出し、 

        水をかけて消火します。消火した炭や薪を「消し炭」と言い、次回にも使う事ができます。

      c) 火襷(ひだすき)の作品

         作品に藁(わら)をきつく巻き付け、匣鉢に入れて焼成し、火襷を出す方法もあります。

         この場合、いかに藁を作品に密着出来るかが、成功に影響します。

         その為には、藁を叩いて柔らかくします。更に密着させる為に、藁をはさんで重ねると

         良い様です。また、藁を塩水に漬け、塩分を吸い取らせ、乾燥後に巻き付ける方法を

         とる人もいる様です。 但し、火襷を出すには、意外と難しい様です。

     d) 電気窯で木炭などを燃やすと、電熱線を傷め易いですので、頻繁にこの方法を取ると

        断線の危険が増えますので、注意が必要です。

 次回(金城敏男氏)に続きます。    

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