わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶磁器の絵付け (シンクイン、イングレーズ)

2010-01-17 21:53:41 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
陶磁器の、上絵付けの方法に、シンクイン(浸透)又は、イングレーズと呼ばれる、方法が有ります。

・ イングレーズ用の、絵具を用いて描いた磁器を、高温焼成(1250℃前後)する事によって、釉の中に、

  絵の具を、溶け込せ、磁器表面の、ガラス層に沈める、絵付け技法です。

  又、専用のインク(顔料)で、印刷した、転写紙を使い、絵付けをする事も、可能です。

・ 開発当初は、ブルー(瑠璃色)を中心とした、限られた色しか、有りませんでしたが、近年研究が進み、

  色の幅が、広がってきています。

・ イングレーズ用の色は、現在、以下の様に、豊富に有り、市販されています。 

   レッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ライラック、ピンク、ホワイト、オーカー、ブラウン、グレー、

   ブルー、ブラック、コバルトブルー等が、有ります。

1)  イングレーズの特徴

 ① 絵の具が、キズや磨耗によって、剥げ落ちない事です。色は、永久に退色しません。

   酸性、アルカリ性の洗剤や、溶剤にも強く、強度があります。

   環境ホルモンや、カドムウム、鉛など、有害な物質も流出しません。

 ② この特性から、国内の給食や、幼児用の食器の、加飾方法として、採用されています。

 ③ オーブン、電子レンジ、フリーザーでの使用が可能です。

 ④ 絵の具が、ガラス質の釉で、覆われる為、表面の光沢が、大幅に増え、美しいデザインが、

   一層引き立つ様になります。
 
2) 絵の具の使用方法

 ① 一般の、上絵付けの方法と同じ、筆で絵付けをします。

   イングレーズ専用の、無鉛絵具を、溶剤の「水性メジュウム」、膠などで、溶き着色します。

   転写紙の場合にも、下絵付けの転写紙と、同じように、扱います。

 ② イングレーズ同士の、混色も可能ですが、単色で、使用した方が、綺麗な色が、出ます。

   但し、上絵具とは、混色できません。 重ね塗りも、可能ですが、同色系統に、限ります。

 ③ 1,050~1,250℃前後の温度で、焼成します。(一般の上絵付けは、800℃程度です)

   釉の中に、絵の具が入り込み、ガラスの中に、閉じ込められ、光沢が出ます。

   但し、焼成前と、焼成後では、絵具の色が、全く異なる色もあります。

   (絵の具のメカーは、推奨焼成温度を、指定している場合が、多いですので、その指示に、従います)
 
 ④ ボーンチャイナは、1000~1150℃で、焼成します。

   ボーンチャイナの場合、鮮やかな色や、艶のある絵柄を、比較的自由に、表現出来る反面、

   低い温度ですので、表面が柔らかく、白磁器に比べ、ナイフやフォーク等の、金属食器などで、

   傷つき易い、短所を持っています。

 ⑤ 焼成は、急昇温、急冷却が、良いと言われ、電気炉(窯)が向いています。


その他の、上絵付け方法

 ・ 現在流行している、上絵付けの技法に、「西洋陶磁器絵付け」が、有ります。

   近年、日本でも「ホビーペインター」として、趣味の絵付けを、楽しむ方が増えいます。

 ・ 即ち、「チャイナペイント」、「ポーセリンペインティング」等と、呼ばれるものです。

  (「チャイナ」と「ポーセリン」は、両方とも、陶磁器を指す言葉です。)

 チャイナペイントに付いては、次回に述べます。

  シンクイン    イングレーズ
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