最晩年の10年を茅ヶ崎で過ごした青山義雄(1894-1996)の回顧展が、茅ヶ崎美術館で開催されている。以前、(今はもうなき)カマキンでも回顧展が開かれたそうだが、ぼくにとっては、今回がはじめて。
この男は色彩を持っている/マティスが認めた日本人画家というサブタイトルがついている。マティスが南フランスのニースの画廊で青山の絵をみて、そう言ったそうだ。その言葉を伝え聞いた青山が、マティスに逢いに行ったのは1926年、滞仏して6年目、32歳のときだった。それ以降、師弟関係を結んでいる。
本展覧会では、1925年作の”ニース風景”からはじまって、101歳の”花”まで70点もの作品が三会場にわたって展示されている。前回、紹介した安田靫彦も94歳で亡くなる直前まで素晴らしい絵を描かれていたが、青山義雄は、さらに上手で、102歳で生涯を終える直前まで鮮やかな色彩の絵を描かれていた。
とにかく、マティスが絶賛したいう色彩が素晴らしい。緑、青、赤、それもビロードのような風合い。それに主題が地中海沿岸を中心に、イタリアやスペインの街の風景も。うっとりする絵ばかりだった。
田園の裸の人々(1931)37歳作
静物(1942) 48歳作
イビザ海岸(1959) 65歳作
ニースの僧院(1990) 96歳作
ヴェニス夕景(1992) 98歳作
そして、第三展示室には、100歳を越えてから描かれた、うつくしい花瓶に活けられたアネモネやバラやカサブランカなどの花がいっぱい。
うらやましいような、素晴らしい青山義雄の”人生展”だった。