気ままに

大船での気ままな生活日誌

青山義雄展

2016-04-16 10:20:44 | Weblog

最晩年の10年を茅ヶ崎で過ごした青山義雄(1894-1996)の回顧展が、茅ヶ崎美術館で開催されている。以前、(今はもうなき)カマキンでも回顧展が開かれたそうだが、ぼくにとっては、今回がはじめて。

この男は色彩を持っている/マティスが認めた日本人画家というサブタイトルがついている。マティスが南フランスのニースの画廊で青山の絵をみて、そう言ったそうだ。その言葉を伝え聞いた青山が、マティスに逢いに行ったのは1926年、滞仏して6年目、32歳のときだった。それ以降、師弟関係を結んでいる。

本展覧会では、1925年作の”ニース風景”からはじまって、101歳の”花”まで70点もの作品が三会場にわたって展示されている。前回、紹介した安田靫彦も94歳で亡くなる直前まで素晴らしい絵を描かれていたが、青山義雄は、さらに上手で、102歳で生涯を終える直前まで鮮やかな色彩の絵を描かれていた。

とにかく、マティスが絶賛したいう色彩が素晴らしい。緑、青、赤、それもビロードのような風合い。それに主題が地中海沿岸を中心に、イタリアやスペインの街の風景も。うっとりする絵ばかりだった。

田園の裸の人々(1931)37歳作


静物(1942) 48歳作

イビザ海岸(1959) 65歳作

ニースの僧院(1990) 96歳作

ヴェニス夕景(1992) 98歳作

そして、第三展示室には、100歳を越えてから描かれた、うつくしい花瓶に活けられたアネモネやバラやカサブランカなどの花がいっぱい。

うらやましいような、素晴らしい青山義雄の”人生展”だった。

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安田靫彦展

2016-04-16 08:30:45 | Weblog

東御苑の彼岸桜系の桜が満開の頃、お濠の北詰橋を渡ってすぐの、東京国立近代美術館の安田靫彦展に行った。歴史画で有名な安田靫彦(1884-1978 年)の作品は、いろいろなところで、随分、みているが、100点を越える作品が一堂に展示される回顧展ははじめてで、楽しみにしていた。実際、1976年以来、40年振りの大回顧展だそうだ。名品はほとんどきているし、はじめて目にするものも多い。歴史好きにはこたえられない。

ほぼ、時系列の展示で、各章のタイトルが、ユニークで面白く、それを読めば、全体の流れとういうか、靫彦の画業人生が、かいつまんでわかる。で、まず、その章立てからご紹介しましょう。

第1章 歴史画に時代性をあたえ、さらに近代感覚を盛ることは難事である(1899-1923)
第2章 えらい先人の仕事には、芸術の生命を支配する法則が示されている (1924-1939)
第3章 昭和聖代を代表に足るべき芸術を培う事を忘れてはならない(1940-1945)
第4章 品位は芸術の生命である(1946-1978)

そして、各章の代表作をちらしに掲載された絵画から。

第1章 
14歳で歴史画の小堀鞆音(ともと)に入門。15歳のとき描いた”吉野決別”の展示から始まり、20代の作品がつづく。

28歳(1912) ”夢殿”


30歳(1914) ”御産の祷”。

今村紫紅像(32歳)、奈良留学の成果、聖徳太子像等がつづく。

第2章
この時期、靫彦は端正な線と、それを活かすために余白、そして淡泊な色彩をそえることに腐心する。

44歳(1928)、”居醒泉(いさめのいずみ)”はじめてヤマトタケルを描いた。


45歳(1929) ”風神雷神図”


第3章
深い古典研究に基づく靫彦芸術は冴えわたる。重要文化財、”黄瀬川陣”もこの時期の作品。一方、靫彦をとりまく社会は、1931(昭和6)年の満州事変から、日中戦争、太平洋戦争へと戦争の時代となる。画題も、これに呼応したものとなってくる。 

56,7歳(1940,41年) 黄瀬川陣(きせがわのじん) 頼朝の陣に、初めて馳せ参じる義経。

右隻(頼朝)

左隻(義経)

第4章 
61歳で終戦を迎え、制約から解かれたかのように、さまざまな歴史上の人物や静物を優美に描くようになる。

靫彦戦後の3大美女、”王昭君”、”卑弥呼”、”飛鳥の春の額田王”↓

63歳(1947) 王昭君

80歳(1964) 飛鳥の春の額田王


84歳(1968) 卑弥呼

 86歳(1970) 出陣の舞 信長が敦盛を舞っている

89歳(1973) 草薙の剣 ヤマトタケル

静物画も。”窓”(1951)と室内(1963)


そして、最後を飾るのが、91歳(1975)の富士山の絵。その3年後、晩年を過ごした大磯で亡くなる。数々の名作が80代に制作されているのにはびっくり。

素晴らしい展覧会だった。実は、上に掲げた三大美女のうち、額田王の展示は4月19日からで、まだみていない。東御苑のツツジが満開になる頃にお会いして来ようと思っている。

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