気ままに

大船での気ままな生活日誌

浮世絵が描く鎌倉幕府の物語/個性豊かな御家人たち

2022-01-31 21:39:39 | Weblog

こんばんわ。

大河ドラマ”鎌倉殿の13人”が始まり、地元鎌倉を中心にこれに因んだ展覧会が開かれ始めた。さて、鎌倉殿の13人とは?源頼朝の死後に結成された13人の合議制メンバーのこと。すぐ思い浮かぶ人はほとんどいないと思うが(笑)、北条義時、北条時政、比企能員、安達盛長、和田義盛、梶原景時、三浦義澄、大江広元、三善康信、中原親能、二階堂行政、足立遠元、八田知家。の13人だそうです。

こんな折り、藤沢市浮世絵館で”浮世絵が描く鎌倉幕府の物語/個性豊かな御家人たち”という企画展が開催されているというので出掛けてきた。

企画展の紹介。とくに大河ドラマの13人の家臣団に焦点をしぼっているわけではないが、南関東の御家人たちといえば、13人も含まれているはず。

これに関連した浮世絵が並ぶが、まず、たくさんの御家人が出場している鎌倉右幕下焼香場の図(歌川貞秀)からはじめよう。頼朝は、文治元年(1185)、壇ノ浦で平氏を滅ぼしたのち、鎌倉で父義朝の供養を行った。右幕下とは右近衛大将(頼朝)の居所、あるいは本人を指す尊称のこと。

重臣たちが居並ぶ中で子の万寿丸(頼家)を肩に乗せた頼朝が、左の軒下に描かれている。

御家人たちの横に氏名が書かれているので、横長の浮世絵を左から五分割して拡大して13人を探してみましょう。

まず、梶原景時、比企能員。

(頼朝と万寿丸)のうしろに北条義時。

右に和田義盛。

大江広元が中央に。

最右翼の画面、北条時政と安達(足立)盛長。結局、見つかったのは13人中7人だけ。畠山重忠は13人の中には入っていないことに気づいた。

もうひとつ大勢の家来衆があつまっている浮世絵、右大将頼朝公相撲御覧図(歌川国芳)。相撲は神事として古代から催されていたが、頼朝も臨席して相撲人や武士に相撲を取らせたという。作品では棟上には、御家人たち34名の名札が掲げられている。長居の大力士長居は、当時天下無双と名高かった力士。右の本田次郎近常は、畠山重忠の郎党。

棟上げの御家人たちの名札を拡大して見てみましょう。鎌倉殿の13人のうち、ここの載せてあるのは、5名の武将だけだった。北条義時、北条時政、安達盛長、和田義盛、大江広元の5名。いずれも先の家来衆で、重要人物であることがわかる。

では、ほかの源平合戦の名場面などの浮世絵を見てみよう

市川團十郎演芸100番 文学上人(豊原国周)。大河ドラマでは猿之助演じる文覚(もんがく)上人が早速、現れましたね。父、義朝の頭蓋骨を差し出し、頼朝に決起を促す。この浮世絵と似た風情(笑)。

猿之助の文覚上人。

頼信忠常 大椎城水攻之図(歌川貞秀(橋本 貞秀))長元元年、平忠常が安房国府を襲撃し(平家の)国司を殺害した。平忠常の乱。作品の詞書によれば、源頼信が追捕使として派遣され、城を水攻めして勝利を得た。これを機に関東の平氏の多くが頼信の配下に下り、源氏が東国で勢力を広げる契機となったと言われている。

大日本名将鑑 源頼朝(月岡芳年)芳年の「大日本名将鑑」は、神話時代から江戸時代初期までの、将軍・英雄・戦国大名などの「名将」全51点の浮世絵からなるシリーズ物。その一つ。頼朝が由比ガ浜で千羽の鶴を解き放ったとされる放生会の場面が描かれている。

石橋山伏木隠 大場三郎景親(歌川 国芳)有名な石橋山の合戦のエピソード、”頼朝の伏木隠れ”。頼朝が石橋山の合戦に敗れた後、山中の伏木に隠れているのを、捜索していた(当時、平家方の)梶原景時が姿を見つけたが、味方には「だれもいない」と告げやりすごし、頼朝を助けたというもの。ただ本作では、梶原景時ではなく、平家方の大将格である大庭景親が大きく描かれ、その下の洞穴に源頼朝卿らが潜んでいるさまが描かれている。画中の左下には、頼朝に付き従って洞穴に隠れた武将の名が記されている。(安達)藤九郎盛長、土屋三郎宗遠、岡崎四郎義真(実)、新開次郎忠氏、土肥次郎実平、土肥遠平。”13人メンバーは安達盛長のみ。

ぼくはこの場面を描いた前田青邨の”洞穴の頼朝”(重文)が好き。大倉集古館所蔵。

和田義盛一門九十三騎大磯におゐて三日三夜宴を催す折から小林朝比奈義秀曽我五郎時宗が血気にはやるを止て互に力量をあらはす図(歌川国芳)表題の宴は、建久4年(1193)に頼朝が行った富士の巻狩りにあたっての祝いの宴。巻狩りを前に血気にはやる曽我五郎時宗(左手、障子の手前)と、右手に座る十郎祐成とを対照的に描いている。中央手前に座るのが、和田義盛の子、小林朝比奈義秀。義秀の左には、大磯廓の遊女、化粧坂の少将。右には同じく遊女で十郎祐成の妾、虎御前が描かれている。

建保元夏五月 和田大合戦(歌川芳員)頼朝の死後、鎌倉幕府は13人の御家人等による合議制となったが、正治元年(1199)に梶原景時が弾劾され翌年死去。建仁3年(1203)に比企能員が比企の乱を起こして失脚するなど、合議制が崩れていき、ついに侍所別当であった和田義盛も執権北条義時と不和が生じて、和田合戦へ。義盛は戦死し、一族は滅亡した。

勇魁三十六合戦 五(梶原景季 畠山重忠 佐々木高綱 太子小橋太)(歌川国芳)古今の合戦のうち36件を選んで歌川国芳が描いたシリーズの1枚。これは、有名な宇治川の先陣争い。木曾義仲と源義経との間で行われた合戦。その中で、佐々木高綱と梶原景季の先陣争いのエピソードがよく知られている。平家物語でも宇治川先陣が、屈指の人気場面。”ころは睦月二十日あまりのことなれば・・・、五百余騎ひしひしと轡を並ぶるところに、平等院の丑寅、橘の小島が崎より、武者二騎ひつ駆けひつ駆け出で来たり。一騎は梶原源太景季、一騎は佐々木四郎高綱なり”わくわくする場面。大河ではどうなるか。ただ、父親の梶原景時(獅童)は配役が決まっているが、景季はまだ不明なので、この場面はないかも知れない。

佐々木高綱(見寺剛)

見立武者六歌仙(歌川国芳)それぞれ、僧正遍昭を源三位頼政(右上)、文屋康秀を平忠度(右下)、小野小町を建礼門院(中央上)、在原業平を源実朝(中央下)、大友黒主を源頼朝(左上)、喜撰法師に蓮生坊(左下)の六歌仙に見立てていて、源平の戦いの物語が下敷きになっているようだ。

歌留多あわせ 鎌蔵武勇六家仙(作者不詳)鎌倉時代の武将を六歌仙に見立てて風刺した戯画。各人の隣にそれぞれ掲げられた札の文言には、彼らの歴史的な状況が皮肉を交えて書かれている。幕末に日本で起きた革命のさなかにおける諸勢力も暗示されているようだ。北条時政、大江広元、義経、実朝、政子、江間小四郎が描かれてる。

鎌倉殿の十三人とはいっても、みな有名人とはいいがたく、江戸時代でも浮世絵に描かれるのは限られているようだ。北条義時、北条時政、比企能員、安達盛長、和田義盛、梶原景時、三浦義澄、大江広元、三善康信、中原親能、二階堂行政、足立遠元、八田知家、の13人のうち、果たして、現代の日本人に受け入れられるのは、何人か(笑)。


本展は写真撮影可能ですべてカメラに収めてあるが、やはり不鮮明なところがあるので、一部、ホームページの写真を使わせてもらった。

では、おやすみなさい。

いい夢を。


木菟図(古径)

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”体感!日本の伝統芸能展”(4)組踊、雅楽

2022-01-30 10:34:19 | Weblog

おはようございます。

東博の表慶館でのユネスコ無形文化遺産特別展、”体感!日本の伝統芸能”の紹介も、歌舞伎、文楽、能楽が済んで、組踊、雅楽の2種を残すことになった。この二つは、これまでのに比べると、馴染みがうすく、でも、それだけ興味深く見られた。では、組踊から。

組踊(くみおどり)とは。琉球王朝時代に中国からの使者”冊封使(さっぽうし)”をもてなすために、さまざまな芸能が生まれたが、その一つ。1719年玉城踊奉行が考案したもので、踊りの名称だが、琉歌や琉舞を織り込んだ、実際は音楽劇である。本展では舞台を再現すると共に、銘苅子(めかるしー)の天女を立体的に展示している。また紅型幕を背景に吊り、”二童敵討(にどうてきうち)の扮装、紅型衣装や小道具、装身具などが展示される。

大道具 御冠船舞台

「銘苅子」の天女の衣裳・天冠・小道具(柄杓)

「二童敵討」舞台

鶴松、亀千代 、阿麻和利(小道具、刀二本・大団扇・酒具)

楽器 三線(さんしん)

紅型衣装 白色地松皮菱繋檜扇団扇菊椿文様

水色地牡丹鳳凰菖蒲文様

小道具 花笠

 唐団扇、房指、柳花籠(梅、牡丹)など

雅楽

雅楽とは。5世紀から9世紀にかけて中国や朝鮮から伝承したアジア大陸各地の楽舞を日本において整理・集成した古代の宮廷芸能のこと。上演形態は演奏のみの”管弦”と舞を伴う”舞楽”がある。

本展では、舞楽”還城楽 ”の舞台の再現。襲装束、蛮絵装束、児童装束などが展示される。

舞楽”還城楽 ”の舞台(縮小版)

鼉太鼓

装束

児舞装束 胡蝶
小道具 天冠・剪採花・蝶羽根・山吹の花の枝

児舞装束 迦陵頻
小道具 天冠・挿頭花・鳥羽根・鳥足・銅拍子

さまざまな面・甲・装束文様など

長い間おつきあいありがとうございました。これで、体感!日本の伝統芸能展”を完とさせていただきまする。

。。。。。

今朝のお月見とお星見。

新月を明後日に控える細い細いお月さま。午前5時20分ほどに山の端から月の出。半分ほど顔を出した月。細い月はピントが合わしにくい。

明けの明星はすでのぼり、東の空に輝いている

火星の姿がない。肉眼でも写真でも見えない。

少し明るくなる。月と金星。天文台の”今日の星空”では火星が月の上に居るはずだが、何故か見えない。水星は地平近くに昇ってきているはずだが、見えない。惑星ショーを楽しみにしていたが。残念。

それでも、夜明けの月と金星ショーはいつ見ても、感動的!

地球照もみせて。

それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!

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明けの明星、”明けの三日月”、紅白梅、蠟梅

2022-01-29 20:57:27 | Weblog

こんばんわ。

今日はなかなかいい一日だった。予報では曇りだったが、朝5時半には東の空に明けの明星と”明けの三日月”といってもいいような細い月がばっちり見えた。

”明けの三日月”

金星

30分もすると夜が明けてきて、しばらく、楽しめた。明日の月の出時刻は5時ちょうどなので、月の出を見られるかもしれない。そうすると、さらに金星と月は接近するはず。

昼前後からお日さまも顔を出し、暖かくなったので、散歩に出た。鎌倉駅に近い大巧寺にまず寄った。白梅がようやく咲き始め、蝋梅は真っ盛り、寒あやめが二輪ほど咲いていた。もうすぐ立春だもの。

蠟梅

寒あやめ

そこから歩いて5分ほどの妙本寺へ。

惣門の横に”鎌倉殿の13人の一人、比企能員ゆかりの地”の幡がはためいていた。比企能員の館跡がここ妙本寺。

祖師堂前の蝋梅はだいぶ前から花盛り。

比企一族の墓を背景に。

祖師堂横の紅梅は一気に花を増やしてきた。

こちらの紅梅も。

こちらはピンク色。

白梅は少し遅れて。

本堂の前にも幡が。

大河ドラマでは佐藤二朗が比企能員を演じる。武蔵の有力武士。頼朝の乳母である比企尼の養子。頼朝の流人時代を支え続けた比企尼の献身もあり、頼朝の側近となる。のちに北条に騙され、”比企の乱”で滅亡する。館は現妙法寺境内にあった。比企の乱を生き残った比企能員の末子、能本がこの地に、妙本寺の前身となる法華堂を建てた。

お寺を出て、滑川の橋でカワセミを待っていたが、アオサギしか現れなかった。今日の最期をカワセミで締めてほしかった(笑)。

なかなかいい冬の一日だった。

では、おやすみなさい。

いい夢を。


妙本寺の二天門の龍のレリーフ

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”体感!日本の伝統芸能”展(3)能楽

2022-01-28 22:15:57 | Weblog

こんばんわ。

東博の表慶館でのユネスコ無形文化遺産特別展、”体感!日本の伝統芸能”、その3です。歌舞伎、文楽、能楽、雅楽、組踊の5種の伝統芸能が展示されているが、今回は能楽です。写真撮影自由でついパチリパチリと。

能と狂言を合わせて”能楽”と呼ぶ。定年後、お能を見始めたのは過去ブログを検索すると、2008年に近所の鎌倉芸術館ホールで見た能楽が最初のようだ。そのときの狂言は”咲嘩(さっか)で、能は”隅田川”であった。そのときのブログタイトルが”お能と狂言は面白い”とある。しかし、そのあとは余り続いていない(汗)。5,6回程度かな。なかなか近くでみられないいうこともあるが、ただ、能面や装束の展覧会はよく見ている。2010年のサントリー美術館の国立能楽堂コレクション展”能の雅/狂言の妙”、同年、根津美術館の”能面の心・装束の華/ 物語をうつす姿、2013年、観阿弥生誕680年 世阿弥生誕650年記念 ・風姿花伝/観世宗家展”(松屋銀座)などである。ほかに東博の常設展示では、いつでも、能装束と能面は見ることができるので、お能は比較的身近である。一応、白洲正子の”お能の見方(トンボの本)も持っている。

少し、お能と狂言の歴史を辿ると、鎌倉時代の猿楽に遡る。老人の神が登場する祝祷芸の”翁猿楽”をもって寺社の祭祀に参勤していたが、その余興だった演劇的な能を、室町時代、観阿弥・世阿弥父子が芸術的に大成したものである。世阿弥の目指したお能は、古典文学を典拠とする優美な主人公が、心に秘めた情念を音楽や舞の情調に託して描き出すというものである。とくに、死者の霊が仮の姿で現れ、後半には在りし日の姿で恋心や修羅の妄執を語る”複式夢幻能”は世阿弥が完成した形式である。(カタログ説明より)

さて、本展でも能装束と能面がたくさん展示されている。。

能面、天冠 、鬘扇/明皇貴妃花軍花車

能面

小面(こおもて)若い女性

増女(ぞうおんな)神や仏の相の面になっている。従って使用される曲目もその主人公が女神・天女・神仙女等の曲に用いられる。

泥眼(でいがん) 嫉妬と恨みの表情をもつ。

三光尉(さんこじょう)猟師や樵夫などたくましい面立ち。

般若(はんにゃ)女性の怨霊を表現する面

能装束 

紅白段四季草花塩釜模様唐織

白地鱗模様摺箔 / 黒地紋尽模様縫箔 

黒地立浪模様半切

紅白段雲龍模様厚板

楽器 太鼓 、大鼓、小鼓、笛

狂言

厳粛・優美な歌舞劇、仮面劇である能に対し、狂言は笑いの要素の会話劇である。

狂言装束 紺地亀甲散模様素襖 ほか

狂言面(乙)ぽっちゃりして可愛らしい顔。100歳を越えた老人の恋物語である『枕物狂【まくらものぐるい】』の恋の相手にふさわしい。

能舞台 3月に初公開となる復曲能”岩船”をテーマにしたもの。舞台にも上がれる。

通常の能舞台の風景(MOA美術館)

(つづく)

では、おやすみなさい。

いい夢を。

タモリステーションで二時間ほど楽しませてもらった。タモリが最後に、こんな風景を生きている間に見られるなんて、幸せなこと、とつぶやいた。同感!

 

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体感!日本の伝統芸能展(2)文楽

2022-01-27 21:21:26 | Weblog

こんばんわ。

東博の表慶館でのユネスコ無形文化遺産特別展、”体感!日本の伝統芸能”、その2です。歌舞伎、文楽、能楽、雅楽、組踊の5種の伝統芸能が展示されているが、今回は文楽です。歌舞伎には馴染みがあるが、文楽というと、見たことないなぁと、でも念のため過去ブログを検索してみると、あったあった(汗)。2019年、明治神宮で””にっぽん文楽 in 明治神宮”を、演目、小鍛冶(こかじ)で見ている。

前回同様、展覧会レポというか、自分で楽しむ記事(過去ブログも覗いて)となりまする。まだあった!(汗)。2016年天神祭舟渡御の文楽船。船上では三味線弾き、人形遣い、囃子方により何かの演目が演じられている。これは遠くで観劇ということで、観たうちには入らない。

なつかしい、大混雑。来年こそ、また天神祭に。

2014年には大阪の黒門市場の近くの国立文楽劇場まで行っているが、休演中だった。

文楽とは人形浄瑠璃文楽のことで、大坂を本拠地とする人形浄瑠璃の系譜。では、展覧会で文楽を勉強しよう。

文楽は男性によって演じられる。太夫、三味線、人形使いの、「三業(さんぎょう)」で成り立つ三位一体の演芸である。客席の上手側に張りだした演奏用の場所を「床」と呼び、回転式の盆に乗って現れた太夫と三味線弾きが、ここで浄瑠璃を演奏する。対して人形のことを「手摺」と呼ぶが、これは人形遣いの腰から下が隠れる板のことを手摺ということから(Wikiより)。

人形遣い。通常は3人で操る。主遣い(おもづかい)が首(かしら)と右手、左遣いが左手、足遣いが脚を操作する。「頭(ず)」と呼ばれる主遣いの合図によって呼吸を合わせている。黒衣姿だが、重要な場面では主遣いは顔をさらすこともあり「出遣い」と呼ばれる。

太夫と三味線弾きの演奏風景

見台

三味線

人形の首(かしら)それぞれ役割がある。

お福(三枚目の女形に用いる)

 10代半ばか20歳前後の未婚女性

老女形(ふけおやま)20代から40代くらいまでの女性

文七 文楽の主役級の首。悲劇の主人公に使われることが多い。

若男 元服前の若い少年。

人形の構造

衣装

伽羅先代萩の政岡

舞台も再現されている。義経千本桜:静御前と狐忠信。子狐の化身で、鼓の皮になった親を慕い佐藤忠信の姿になって現れ、その鼓を持つ静御前を 守る。

狐忠信と鼓をたたく静御前。

文楽と歌舞伎では共通演目も多く、義経千本桜は歌舞伎座でも上演され、玉三郎の静御前と海老蔵の源九郎狐を見ている。海老蔵の宙吊りを含む演技が素晴らしかった。2008年、歌舞伎を見始めた頃の記事を読み返し、懐かしい。

一度、冥途の土産に本格的な文楽を見て見たい。

(つづく)

。。。。。

今朝の明けの明星と下弦の月から一気にほっそりと。これから金星と月が近づいてくるので楽しみ。

月と金星(左下)

明けの明星

では、おやすみなさい。

いい夢を。


孫悟空

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体感!日本の伝統芸能展(1)

2022-01-26 21:44:05 | Weblog

こんばんわ。

東博の表慶館でユネスコ無形文化遺産特別展、”体感!日本の伝統芸能”が開催されているというので先日、ポンペイ展を見た後、寄ってきた。

ユネスコ無形文化遺産に登録された日本の伝統芸能、歌舞伎、文楽、能楽、雅楽、組踊を一堂に集め、明治末期の洋風建築として重要文化財に指定されている表慶館という空間で、それぞれの芸能が持つ固有の美とそれを支える「わざ」を紹介しようというものである。

では、まず、その表慶館。赤坂離宮と並んで明治の、それも洋風建築の極みと賞賛されている。外観ばかりでなく、内部のデザインも楽しめるところ。うつくしいだけではなく、頑丈で、関東大震災にもピクともしなかったという。

改めて表慶館の案内板をみると、大正天皇が皇太子時代のご成婚記念に、明治41年に出来上がったそうだ。J.コンドルの弟子の片山東熊が設計したもので、中央に大ドーム、両翼に小ドームをもつ、左右対称のネオバロック様式になっているとのこと。

さて、この雅びな建物の中で五つの伝統芸能が華やかに紹介されている。展示品だけではなく、ぼくの過去ブログの余計な写真や感想も載せ、自分自身で楽しみたい(笑)。

歌舞伎の巻

まずは華やかに南禅寺山門上の石川五右衛門の舞台から。金門五山桐(楼門五三桐)・南禅寺山門の場

桜が咲き誇る南禅寺の楼門。そこに現れた天下の大泥棒、五右衛門。”絶景かな、絶景かな、春の宵は値千両とは、小せえ、小せえ。この五右衛門の目からは、値万両、万々両…”と名せりふ。ぼくは歌舞伎座で吉右衛門の五右衛門と菊五郎の秀吉で見ている。隣席の外国人も感激していた豪華な舞台美術だった。まさに歌舞伎の色彩美と様式美、ここにあり。

歌舞伎衣装も華やか。

”暫(しばらく)”の衣装。歌舞伎十八番”暫”。清原武衡が、自分の意に従わない人々を家来に命じて斬ろうとするところに、”しばらく”という声とともにこの衣装の鎌倉権五郎景政が登場する、名場面。

三升(みます)の紋(市川家・成田屋の定紋)

鎌倉権五郎景政といえば景政を祀る御霊神社。ここに、景政が手玉に取り袂に入れたと伝えられる石がある。

もちろん浮世絵にはよく現れる、鎌倉権五郎景政(九代目團十郎)上演明治28年1月歌舞伎座(三代目国貞)

東京五輪開幕式に海老蔵が”暫”の衣装で登場したのは記憶に新しい。

京鹿子娘道成寺 花子の衣装

玉三郎の花子(平成28年12月の歌舞伎座)。先日もシネマ歌舞伎でも見たばかり。

菅原伝授手習鑑 松王丸の衣装

2018年、高麗屋三代襲名披露公演を見た。幸四郎改め二代目松本白鸚、染五郎改め十代目松本幸四郎、金太郎改め八代目市川染五郎。そのとき上演された菅原伝授手習鑑、”寺子屋”の松王丸(松本白鴎)

衣装いろいろ

いろいろな隈取。隈取の色は役柄によって、「赤色(紅色)」は荒事の基本である勇気・正義・強さをもった役に使われ、「藍色」は、スケールの大きな敵役に使用され、「茶色」は鬼や妖怪といった人間以外の不気味な役に使われる。隈取の筋は指でぼかして仕上げる

小道具いろいろ

深編笠など

貴重な映像も。明治32年歌舞伎座で上演された”紅葉狩り”を歌舞伎座裏の芝居小屋の前庭にステージをつくり、撮影したもの。日本最初の映画ということで、映画フィルムとしては初の重要文化財に指定されている。

演じているのは、明治期の名優、九代目市川團十郎と五代目菊五郎

九代目市川團十郎といえば、古典歌舞伎を復興させるなど目覚ましい活躍をし、”劇聖”とも呼ばれた。茅ヶ崎に別邸をもち、敷地は団十郎山と呼ばれた。現在は住宅地、公園などになっているが、そこに團十郎山の碑が建っている。五代目菊五郎の長男六代目菊五郎は若き日、茅ヶ崎まで出向き、九代目団十郎に薫陶を受けた。その甲斐あって、名優となり、歌舞伎界初の文化勲章を受けた。国立劇場にある平櫛田中の代表作”鏡獅子”は六代目菊五郎がモデルである。

茅ヶ崎の團十郎山の碑

九代目團十郎の胸像(歌舞伎座)

平櫛田中の代表作”鏡獅子”。六代目菊五郎がモデル。国立劇場のロビーにある。

ちょっと余計なことまで書きすぎてしまったが、お赦しのほどを。

これで、歌舞伎の部をおわりまする。次回は”文楽”に入ります。

(つづく)

。。。。。

伝統国技からの話題も。

御嶽海、大関昇進決まる。おめでとうございます。長野県では200年振りの大関。お嫁さんもはやく(笑)。

熱海富士、十両昇進決まる。熱海市初の関取に。まだ19歳。いずれは大関!

では、おやすみなさい。

いい夢を。


今朝の月。下弦の月にあと一歩。

オーロラ(NHK神秘の北極圏より)。

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熱海梅園と澤田政廣記念美術館

2022-01-25 10:27:55 | Weblog

おはようございます。

もう1週間ほど前になるが、熱海の糸川沿いや梅園市道の熱海桜並木を見に行ったが、そのとき熱海梅園も覗いてきた。1月19日というと、すでに梅園まつりが始まっていて、バスの便なども良くなっていた。梅園入り口では早咲きの紅梅、白梅が咲き揃っていた。でも梅園内の大部分はまだ蕾を膨らまそうとしているところだった。予報では太陽は顔を出すはずだったが、そうはならず、結構、寒い日だった。

入り口前の紅梅が見事だった。さすが、熱海。鎌倉でも咲いているが、ここまでのは見たことがない。

チケットを買い、梅園に入ると、紅白梅が迎えてくれる。

白梅は冬至梅で、紅梅は八重寒紅。今、咲いているのはこの2品種。

少し上がると、中央広場があり、その入り口付近に蠟梅が何本もあり、それがほぼ見頃になっていた。

蠟梅は園内のあちこちにあり、楽しませてくれる。紅梅(八重寒紅)はもちろん今の時期の主役。

紅白梅が並んで。

ここに澤田政廣記念美術館がある。梅まつり期間は無料で入館できる。美術館の周囲にも澤田の作品がいくつも。背景の梅はまだ咲いていない。黄泉のしこめ。

咲き始めた熱海桜の前の彫刻

入り口前の人魚の彫刻。

館内は写真撮影禁止。 以前、絵葉書を買っているのでそれらから。

人魚

白日夢

釈迦

蓮華

玄関口のステンドグラスの天井

澤田政廣(1894-1988)は、熱海で育ち、19歳で彫刻家を志し、山本瑞雲(高村光雲の高弟)に師事。伝統的木彫技法を学ぶ。朝倉文夫、北村西望、平櫛田中に次ぐ、4人目の彫刻家の文化勲章者である。ちなみに、そのときの同時受賞者は今西錦司、中村歌右衛門、堀口大学というからすごい。

では、残りの梅を。

中山晋平旧居。晩年、熱海に暮らし、その旧居がここに移築された。旧居内には、ゴンドラの唄、かちゅうしゃの唄、雨降りお月さん、あの町この町、など中山の作曲した名曲が流れる。

♫ ゴンドラの唄 ♫ 加藤登紀子

庭の黄花亜麻がいつも楽しみ。

熱海桜

次回は全体が見頃のころに。できれば熱海芸妓演芸会に合わせて。

それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!

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ポンペイ展(5)

2022-01-24 12:09:45 | Weblog

こんにちわ。

2000年栄華のタイムカプセル、ポンペイ展の第4章ポンペイ繁栄の歴史のつづきです。

では、次に「竪琴奏者の家」にご案内しましょう。この家は前2世紀にさかのぼる家で前1世紀に増改築が重なられ、ポンペイでも指折りの有力な家族であった。中庭(ペリステュリウム)にはイオニア式円柱が巡り、庭の中央には細長い人工の池とブロンズの動物像で飾られた噴水があった。軒下には吊り飾り(オスキルム)が下がっていた。北東の談話室(エクセドラ)からは飛び散る水の飛沫とオスキルムを眺めることができた。

”竪琴奏者の家”の敷地図

中庭(ペリステュリウム)再現

蛇型噴水、犬と猪の像。

鹿とライオン

吊り飾り(オスキルム)

竪琴を弾くアポロ。この像に因んで”竪琴奏者の家”と呼ばれている。

円形火鉢

詩人(フレスコ画)

男性胸像(ブロンズ)

女性胸像(ブロンズ)

そして、「悲劇詩人の家」。地震後に所有者が代わったらしく、改築されて内装も一新された。新しい住人は、中の上、準富裕層といったところ。壁画の数は驚くほど多い。特に広間(アトリウム)の壁画には入念に画家や主題が選ばれ、住人の教養と文化的素養の深さが知られる。なかでも壁画「ブリセイスの引き渡し」は、英雄アキレウスがトロイア戦争のなかで手に入れ、寵愛していたブリセイスを、理不尽にもギリシア方の総大将のアガメムノンに奪われる場面を、人々の交錯する心理表現とともに見事に描き出している。

「悲劇詩人の家」の模型

広間(アトリウム)の壁画

ブリセイスの引き渡し

ユビテルとユノの聖婚

イフィゲネイアの犠牲(フレスコ画)

第5章 発掘の今むかし

本章では、18世紀から現在に至る発掘の歴史を振り返ります。79年のヴェスヴィオ山の噴火で埋没したエルコラーノ(ヘルクラネウム)、ポンペイ、ソンマ・ヴェスヴィアーナの3遺跡をとりあげます。 かつての発掘は美術品を獲得するための「宝探し」でしたが、現在では厳密で慎重な発掘調査が行われています。同時に、遺跡や出土物の保護が、特に重要な課題となっています。 有名な「アレクサンドロス大王のモザイク」も表面の保護に続き、裏面の補修に向けた状態の確認作業が始まっています。本章では、こうした現在進行中の修復作業についても、リアリティのある映像を交えてご紹介します。(公式サイトより)

ソンマ・ヴェスヴィアーナ遺跡

東京大学の海外学術調査隊がソンマ・ヴェスヴィアーナ遺跡「アウグストゥスの別荘」(通称)で、ローマ時代の「ディオニュソス」と「ペプロフォロス」の彫刻二体その他の古代ローマの遺物を発掘したことは、時代を画する大きなニュースとして世界各地に伝えられている。

ヒョウを抱くバックス(ディオニュソス)ソンマ・ヴェスヴィアーナ遺跡

ペプロスを着た女性(ペプロフォロス)ソンマ・ヴェスヴィアーナ遺跡

ペプロスを着た女性(通称、踊り子)エルコラーノより発掘

キケロ荘(ポンペイ)の壁面の復元

キケロ荘の壁画(綱渡りのサチュロス)

”アレクサンドロス大王のモザイク”の修復作業をビデオで見られることが出来る。

以上、長くなってしまいましたが、ポンペイ展シリーズも大相撲同様、千秋楽といたしまする。(完)

興味のある方はこちらもご覧ください。

「ポンペイとソンマ・ヴェスヴィアーナ」青柳 正規(国立西洋美術館長)1:平成18年度 軽井沢土曜懇話会 第2回

コメント (4)
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御嶽海優勝 雷電以来227年振りの大関に

2022-01-23 21:32:38 | Weblog

こんばんわ。

今朝、5時頃、東の空に見事な明けの明星を見た時から御嶽海の優勝は間違いないと思った。おまけにお月さまは朝帰りの寝待月。吉報は寝て待てということだなと解釈した(笑)。

予想通り、御嶽海が本割の照ノ富士戦の一発で決め、13勝2敗で3度目の優勝を飾った。同時に、文句なしの大関昇進も決めた。なんと長野県ではあの伝説の名大関、雷電以来、227年振りの快挙とのこと。照ノ富士の103年振りが騒がれていたが、なんと、それを大幅に上回るこんな記録が隠れていた!

歴史的大一番。103年振り対227年振り。

御嶽海、優勝!

おめでとうございます。

インタビュー。喜びは家族に最初に伝えたいと。

お母さんも観戦していた。

途中で大関昇進をはかる臨時理事会の招集があったことを伝えられ、思わずなみだ。

雷電とは。ぼくらの少年時代には漫画で谷風と共によく知られていた。信濃の国、小県郡大石村生まれ、現役生活21年、江戸本場所在籍36場所(大関在位27場所)で、通算黒星が10個、勝率.962の史上最強力士と言われている。しかし、横綱にならなかった、あるいはなれなかった雷電。果たして、御嶽海は雷電のマネをして、横綱にはならないか(笑)。

雷電の肖像は浮世絵でっみられるが、ここでは、雷電が吉原遊郭の花魁と禿を、鼻と耳に紐をかけ笑わせている場面を描いた勝川春秀と歌麿合作の作品を載せまする。御嶽海もコロナが済んだら、たまにはあそびに行かねばと(笑)。

勝川春英・喜多川歌麿 雷電と扇屋花扇

もうひとつ、雷電為右衛門(春亭画)と稲妻雷五郎の化粧まわし

今朝の明けの明星。

朝帰りの寝待月。

では、おやすみなさい。

いい夢を。

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御嶽海、見えたぞ 三度目の優勝と大関昇進

2022-01-22 22:11:12 | Weblog

こんばんわ。

大相撲初場所も大詰め、14日目を迎えた。優勝争いは2敗でトップをいく照ノ富士と御嶽海。照ノ富士が負け、御嶽海が勝つという願ってもない結果となった。御嶽海は一差リードで千秋楽に照ノ富士と対戦するが、もう90%、御嶽海が有利。すでに昨日、御嶽海・阿炎戦の勝者が優勝に突き進むだろうと予言したが(笑)、順調に進んでいる。御嶽海、見えたぞ、三度目の優勝と大関昇進!

御嶽海は、照と同部屋の宝富士と対戦。宝富士の援護射撃ならず、立ち合いから圧倒して軽々と12勝目を挙げた。

明日も勝って、13勝2敗、3度目の優勝と大関昇進を一気に決めたい。

結びの一番では、照ノ富士は阿炎を迎える。先場所もいいところまで行っているので、阿炎の金星の可能性は十分ある。その通りになった!阿炎、立ち合いから一気に攻め込み、もろ手突きで横綱をのけ反らせ、一気に勝負を決めた。

よくやった阿炎! 御嶽海の次の大関候補だ!まだ、明日の結果次第では優勝の可能性もあるが、今回は御嶽海に譲ろう。

琴の若も三敗を守る。関脇を破っての勝利はりっぱ。次の次の大関候補。

次の次の次の大関候補の若手が10勝目。

豊昇龍、取り直し後も正代を圧倒。正代は一度、大関陥落したらもう戻れないかも。

阿武咲も関脇を破る。地力を発揮。

次の次の次の次の大関候補、幕下、熱海富士が勝ち越しを決め、十代で関取(十両)になることがほぼ決まった。きわどい勝負だったが、勝って、思わず涙ぐむ。稀勢の里のように大きく育ってほしい。ぼくの好きな熱海出身というのもいいね。

明日、千秋楽。今日のタイトルのようになるか、それはだれも知らない。

では、おやすみなさい。

いい夢を。


熱海桜(1月19日)

コメント (6)
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