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ハリーとトント ’74 アメリカ

2010-06-09 | ヒューマン・ドラマ
長年住み慣れた我が家も立退きを余儀なくされ、仕方なく愛猫トントと一緒に長男一家のもとへ移ることとなったハリー。
だが、堅物なハリーは長男の嫁と折り合わず、結局、息子が止めるもの聞かず、シカゴにいる娘を訪れることにした。

空港に着くと手荷物検査がある。
「中身を見せてください」
「猫が一匹いるだけだ」
「規則ですから開けてください!」
「猫だけだと言っているだろ!」
らちがあかず、係員に呼ばれるハリー。
ペットを荷物扱いにするっていうこと自体おかしいのである。
ええ、ええ、確かにね。

ハリーは空港を後にした。
ならばバスでシカゴまで行こう。
しかし今度はトントがおかんむり。
仕方がない、車を買うか。
中古車を購入し、二人連れは西へ向かう。

ゆるやかなロード・ムーピー。
さまざまな人との出会い。
年をとれば、いろいろなことを想い出してみたりする。
かつて愛した女性はどうしているだろう。
もしかしたら、もういないかもしれない。
友人が死んだ。
身内はもういないと言っていた。
せめて、わたしが葬ってやりたいが。

子どもたちも、それなりに苦労している。
あてにはしたくない。
体がきくうちは、自分でなんとかしていきたい。
そう、自分流でいいじゃないか。
なぁ、トント?
トントも飼い主と同様に、いつの間にか高齢になっていた。
おまえもいろいろと想い出すことがあるのかい?

浜辺でトントによく似た猫が、まるで「こっちについておいで」と誘っているように、ハリーの視野を横切っていく。
夕陽を背に、少女が砂山を作って遊んでいた。
ニューヨークを離れ、西海岸の温暖な気候の中で、肩の力が少し抜けた感のあるハリー。
ここで新たな友人をつくろうか。
もしかしたら、トント似の相棒が見つかるかもしれない。