アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

街の灯 ’31 アメリカ

2007-12-02 | クラシック
チャップリンのこの『街の灯』が好きで、もう何度も観ているが、鑑賞するたびに、彼はやはり偉大な人だなぁ、と思わされるのである。
時代を越え、誰もが笑い、誰もが涙ぐむ。
貧しくも、愛する人に尽力する彼の姿が人々の心を打つ。
細微に至るまで完璧な演出も手がけ、単なるコメディにとどめず、甘美なシーンもふまえ、観る者の心をしっかりと掴む。

我々が映画を観て感動するときというのは、その場面と台詞が一体となったときであろう。
しかし、サイレント映画の場合は視覚のみである。
だたし、台詞の代わりに効果音が流れる。(この音楽がまた各シーンによく合っている←これももちろんチャップリンの作曲。)
これで聴覚を刺激することになるのだろうが、そうなると、言葉(台詞)はそれほど重要ではないということなのだろうか。
難解なことかもしれないが、逆に台詞が多すぎて観るのに難儀することもあるし・・・(脚本にもよるだろうが。)

サイレントの場合、演技力は言うまでもないが、ストーリーも単純なようでいて、結構手が込んでいる。
様々な国の人でも、子どもでも、誰が観ても楽しめて感動できる、そんな映画を作ったチャップリンを天才と言わずして何と言おうか。

一枚の硬貨を男の手に包んでやる娘。
その手の温もりに覚えのある彼女は、じっと、男の顔を見つめる。
「あなたなの?」
情感溢れるラストは、まさしく映画史に残る名場面であろう。