アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

マリー・アントワネット 2006年 アメリカ・フランス・日本

2007-08-07 | 伝記
今回の突飛な作品に着手した、ソフィア・コッポラ監督をまずは称えたいと思う。
そのチャレンジ精神も然る事ながら、ここまで他国の物語を彼女なりにいじくってしまった、その厚かましさにも驚かされた。

ルイ15世の役を当初、アラン・ドロンにオファーしたら、けんもほろろに断られたそうである。
「アメリカ人が語るべきことではない」と。
ここで、歴史ある国とそうでない国との差が出てしまうんですね。
アメリカにとっては、こういった歴史ものに、一種の憧れが鎮座しているのだと思う。
’03の『ラスト サムライ』だって、あぁ、サムライごっこがしたかったのか・・・と軽く流されてしまうのも否めない。
そう、彼らは“ごっこ遊び”がしたいのだ。
正に本作品も、“お姫様ごっこ”な映画である。
女の子用のグリコのおまけみたいに、次は何かなぁ的なワクワク感はある(笑)

仮に、『大奥』あたりをこういったバージョンで撮影されたらどんなことになるだろうか。
『SAYURI』もあったことだし、密かな願望をもっている監督もどこかにいるかもしれない。
厄介なのは、日系女優がいないってとこだろう。
でも日本人としては、ハリウッド版の『大奥』が日の目を見ないことを願いたい。

’80sの賑々しい音楽にのせてマリーが笑う。
「へぇー、アントワネットって、なんだか楽しそうだったんだぁ」と、アントワネット初心者には楽しめる映画かもしれない。
だが、『ベルバラ』を起点とし、今も、フランスの歴史や芸術に造詣が深い人の場合は、あくまでもエンターテイメントとして観てみるか、あるいは「ありえないでしょ」と、絶対に観ないかのどちらかだろう。