おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

マネー・ショート 華麗なる大逆転

2024-07-26 06:32:10 | 映画
「マネー・ショート 華麗なる大逆転」 2015年 アメリカ   

                          
監督 アダム・マッケイ                             
出演 クリスチャン・ベイル スティーヴ・カレル ライアン・ゴズリング ブラッド・ピット ルディ・アイゼンゾップ ケイシー・グローヴズ マリサ・トメイ アデペロ・オデュイエ レイフ・スポール

ストーリー
2005年、へヴィメタルをこよなく愛する風変わりな金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベール)は、格付の高い不動産抵当証券の事例を何千も調べていくなかで、返済の見込みの少ない住宅ローンを含むサブプライム・ローンが組み込まれていて数年以内に債務不履行に陥る可能性があることに気付く。
しかし、その予測はウォール街の銀行家や政府の金融監督機関からまったく相手にされなかった。
そんななか、マイケルはCDSという金融取引で、バブル崩壊の際に巨額の保険金が入る契約を投資銀行と結ぶ。。
暴落を信じない銀行は多額の保険金が入ると大喜びである。
同じころ、マイケルの戦略を察知したウォール街の銀行家ジャレット(ライアン・ゴズリング)は、信用力の低い低所得者に頭金なしで住宅ローンを組ませている大手銀行に不信感を募らせるヘッジファンド・マネージャーのマーク(スティーブ・カレル)を説得し、CDSに大金を投じるよう勧める。
また、今は一線を退いた伝説の銀行家であるベン(ブラット・ピット)は、この住宅バブルを好機と捉えウォール街で地位を築こうと野心に燃える投資家の二人から相談を持ち掛けられる。
彼等はバブル崩壊の足音を敏感に察知し、ウォール街を出し抜くべく行動を開始する。
三年後、住宅ローンの破綻をきっかけに市場崩壊の兆候が表れ、マイケル、マーク、ジャレット、ベンは、ついに大勝負に出る…。


寸評
このような内容をエンタテインメントな作品に仕上げてしまうことに驚嘆する。
しかしそれでも難解だ。
心の奥底を問う哲学映画の様な難解さではなく、巨額の金融取引への馴染のなさからくる難解さだ。
話されている内容では何をやろうとしているのかさっぱりわからない。
そんな無知な僕のために、時にはシェフが古くなった食材を使って新たなメニューを作り出すことを例にとって説明してくれる。
あるいはブラックジャックになぞらえて説明してくれたり、入浴中の金髪美人が説明を加えてくれたりするのだが、それでもああなるほどこれでスッキリ理解できましたとはならない。
よほど僕の頭が悪いのか?
うかうかしていると理解できずに頭が飽和状態になってしまう。
この映画だけは事前勉強、情報収集をして見ることを勧める。
まあそれでも、エンタメ性を出すそれらの演出によって、刺身として出されるべき魚介類が古くなったら煮込んでしまえば全くの別料理として受け入れられるように、腐ったデリバティブ商品が形を変えれば新しいデリバティブ商品に生まれ変わってしまうことや、不動産は上がり続けるものだと思っていたらそうではなかったこと、あるいはそれまで成功してきた人たちは今後も成功をもたらすと思ってしまうことなどは理解できた。
そんな中で一攫千金を夢見てうごめく人々の姿を描いていたが、それは投資家やバンカー、証券マンだけではなく、主人公たちだってその片割れなのだ。
僕が裕福でないことも手伝って、どうも好きになれない人種だ。
ブラッド・ピットのベンに「単純に喜ぶな。これでアメリカの無数の庶民が家と職を失い、破産するんだぞ」と叫ばれてもなあ…。

見終るとスカッとして、やった、やったと拍手できる作品ではない。
自国の悲劇と崩壊を予測し、それに賭けて勝利してもその後味はすこぶる苦いものだ。
後年に歴史として語られるだろうリーマンショックがよみがえってくる。
その悪夢はアメリカだけではなく全世界、我が日本も襲ったのだ。
数えきれない多くの庶民が被害をこうむり、それでもごくごく一部のそのまた一部の人間は大儲けをしていたというのだ。
自らの先見性のなさ、頭の悪さ、資本力のなさを嘆くべきなのか。
しかし誰かが損をすれば誰かが得をしているのがこの世の中だ。
拡大再生産されても多くの富はわずかの人にもたらされる。
貧富の差は近くにあるかの国だけの話ではなく、我が国を含む自由主義経済社会で拡大している。
そう言えば、かの国の実態は我が国をしのぐ超自由主義経済だもんなあ…。
そんなことに対する警鐘の様な気もした。
でも、やっぱりお金は欲しいという拭い去れない願望を誰もが持っている。
今の日本だって実体経済とは離れた、日銀の一声だけで株価が動き、為替も変動している。
いつか来た道を再び通るのかもしれない不安がよぎる。


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