おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

キル・ビル Vol.2

2024-05-08 06:53:22 | 映画
第1作「キル・ビル」はバックナンバーより2017-10-16をご覧ください。

「キル・ビル Vol.2」 2004年 アメリカ


監督 クエンティン・タランティーノ
出演 ユマ・サーマン デヴィッド・キャラダイン
   ダリル・ハンナ マイケル・マドセン
   ゴードン・リュウ マイケル・パークス
   サミュエル・L・ジャクソン パーラ・ヘイニー=ジャーディン

ストーリー
かつて闇のエージェント”毒ヘビ暗殺団“で最強と言われた殺し屋ザ・ブライドは、結婚式の最中に、花嫁姿のまま瀕死の重傷を負わされ、身篭もっていた娘をも殺された。
彼女は、自分を襲った組織のボスであるビルとその部下たちへの復讐の旅に出ていた。
昏睡から奇跡的に目覚めた彼女はビルへの復讐を誓い、襲撃に関わったかつての仲間たちを次々と仕留めていった。
残る標的は3人――バドとエル・ドライバー、そしてビル。
ビルの弟バドはストリップ・クラブの用心棒をしながら、薄汚れたトレーラーで酒浸りの日々を送っている。
片目にアイ・パッチをした女、エル・ドライバーは、ザ・ブライドの代わりにビルの愛人の座に納まっていた。
ザ・ブライドはテキサスの荒野へと降り立ち、まずはバドを殺しにいく。
だが逆に倒されてしまい、彼女は土の中に埋められる。
しかし中国の僧侶パイ・メイのもとでの武術の修行の日々を思い出したザ・ブライドは、拳で棺桶の蓋を突き破り、地上に出ることに成功。
一方バドは、エル・ドライバーの裏切りにより毒ヘビに噛まれて死亡。
そこにザ・ブライドが現われ、エル・ドライバーの残っている片目をえぐり取る。
そしてビルとの対決。ザ・ブライドとビルの間に産まれた娘は生きていた。
ビルの愛を知ったザ・ブライドだが、それでも対決の末にビルを倒す。
翌日から、娘と共に彼女は新しい生活を始めるのだった。


寸評
上映前から梶芽衣子の「怨み節」をBGMとして流されて前作の快感が自然と湧きあがってきたが、始まってみると前作のタッチとは違っていてちょっと面食らった。
一本の映画としてみた時の描き方は、前作と今作ではすごく違っていて、そのアンバランスには戸惑ってしまう。
漫画チックな大立ち回りもなくなっているし、劇画シーンもない。
かろうじて前回の脳みそ丸見えシーンに匹敵するのが、くり抜いた目ン玉を踏み潰すシーンぐらいか。
あとはある意味、オーソドックスとも言えるアクションシーンで処理している。
その分、やたらと会話が多くなっていて、ちょっと説明が多すぎるのではないかと感じた。
Kill is Love のテーマが大きくなりすぎていたんじゃないかなあ?
僕としては、第一作の方が面白く見られた。

多分、タランティーノはVol.1とVol.2の作風を意識的に変えたのではないかと想像する。
今回は、アクションはごく控えめにして、その代わりに、この復讐劇に至った背景や複雑な愛憎劇を解き明かす人間ドラマを描いている。
ザ・ブライドとビルの避けられない二人の対決が意外にあっさりと終わる。
クライマックスになるはずの二人の戦いをこれだけあっさり済ませるというのは、この映画でタランティーノが描きたかったのが、アクションなどではなく人間ドラマだったのだと物語っていたように思う。

オープニングのモノクロシーンで、これまでの経緯をコンパクトに説明しているが、ユマ ・サーマンが車をドライブしながらの独白は、なんだか懐かしさがあふれる映像だった。
そして、前作の最後で、子供が生きている事を知らされていたし、前宣伝でもその事をうたっているが、それは最後まで伏せておいても良かったのではないかなと感じた。
第一部を見ていることが前提になっているけれど、最後のエンドタイトルでは、出演者がそれぞれのシーンと共に紹介され面白かった。
「Vol.1」も含めたキャストが、実にていねいに紹介されているので、異様に長いタイトルロールになっている。
いかにも映画大好きなタランティーノらしい。
そして前作で描かれなかった教会での殺戮前の出来事が、結構長時間モノクロで描かれた導入部と、最後のクレジットにかぶって写されるユマ・サーマンが同じくモノクロで、初めと終わりで対になっているようでデザイン・センスを感じた。

ただ前述の「怨み節」が最後にフルコーラス流れるけれど、字幕が入るのは誰の指示?
英語の字幕が流れるならわかるけど。
翻訳者が勝手に入れたわけでもないだろうに・・・。
それと、最後の最後にワンカット挿入された撮影シーンは何の意味?
単なるオマケだったのかなあ。