おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

2024-04-14 06:40:10 | 映画
「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」 2008年


監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 ハリソン・フォード シャイア・ラブーフ
   レイ・ウィンストン カレン・アレン
   ケイト・ブランシェット ジョン・ハート
   ジム・ブロードベント イゴール・ジジキン

ストーリー
アメリカでマッカーシズムが吹き荒れた1957年。
イリーナ・スパルコ率いる偽装アメリカ陸軍に拘束されたインディアナ・ジョーンズと相棒マックは、近くで核実験が行われるネバダ州のアメリカ軍施設内にある政府の機密物保管倉庫へ連行されてしまう。
イリーナ・スパルコはそこで「1947年にニューメキシコ州ロズウェルで起きた事件」でアメリカ軍が手に入れた、強い磁気を発する長方形の箱を探すよう、インディに強要する。
そしてそこで彼らが見つけたのは、強い磁気で金属を引き寄せる謎のミイラだった。
インディはマックの裏切りに遭いながらも、何とか彼らの拘束から逃れることに成功し近くの町へたどり着く。
しかし、そこは核実験のために建設した無人の町で、突如実験のカウントダウンを告げるアナウンスが響いた。
インディは辛くも鉛が使われた冷蔵庫に閉じこもって難を逃れるのだが、マックとの間柄からFBIから尋問を受け、共産主義者のレッテルを貼られて赤狩りの対象者になってしまった。
スタンフォース教授が辞職すると同時に大学を無期限休職処分になり、インディは国外に向かうため列車に乗ったのだが、そこにバイクにまたがった謎の青年マットが話しかけてきた。
彼によると自身の母親がペルーから助けを求めているのだという。
マットから旧友オックスの手紙を受け取ったインディはKGBに追われるが何とか逃げ延びる。
インディはオックスの手紙を解読し、彼の足取りを追ってマットと共にペルーのナスカへ向かい手掛かりを元に征服者オレリャーナの墓でオックスが隠したクリスタル・スカルを入手した。
しかし、墓から出たところで彼らを追跡していたソ連軍に捕えられ、宿営地へ連行される。
インディたちはそこで、精神に異常をきたし変わり果てた姿のオックスと再会する。


寸評
シリーズにおいて19年ぶりとなる作品だが、内容はおなじみの冒険活劇で手作り感あふれるアドベンチャーシーンがふんだんに盛り込まれている。
ジョン・ウィリアムズのテーマ曲がながれるだけで心は踊るというものなのだが、どうもしっくりこないものがある。
シリーズの見せ場になっている追っかけっこだけが目に付いて、スピルバーグはそれだけを楽しんでいるように思えた。

先ずはケイト・ブランシェット演じるイリーナ・スパルコ率いるソ連軍兵士たちが今回の敵対相手として登場する。
エリア51内にある広大な機密物保管倉庫内でインディが弾丸の火薬を散布して強い磁気の発信源を探しあてるプロセスや、彼が仲間と思われたマックの裏切りに遭いながらも、機転を利かせて何とか彼らの拘束から逃れることに成功するまでは快調な出だしである。
ところが次の場面は、核実験用につくられた無人の町にインディが逃げ込んで、鉛が使われた冷蔵庫に入り込み間一髪で被ばくを逃れるというものである。
遺跡や宝物を巡って冒険やバトルを繰り広げる古代ロマンとスパイ活劇が持ち味だったはずなのに、インディが核実験用の模擬近代住宅に紛れ込んでしまうということに今迄のシリーズとは違うのだと思い始め、その感覚は最後まで続いた。
ナスカの地上絵を絡めていることで、古代探究のロマンの果てに異星人が登場することへの説得力を持たせているのだろうが、マットとマリオンとインディの関係なども合わせると何だか「未知との遭遇」や「スターウォーズ」のアイデア満載と言う気がする。

アマゾンのジャングルにおける追っかけっこは見所たっぷりで、冒頭でのカーアクションよりも一番の活劇シーンとなっている。
60歳を超えているとも思えないハリソン・フォードのインディの頑張りもあるが、ここではマットが大活躍し、猿の大群が出てくるところなどは子供たちへのサービスだったと思うし、兵隊アリの大軍も楽しませる。
水陸両用車が激流に流されて大滝から落下するのも迫力がある。
久しぶりにマリオンが見られたということもあるが、1本の独立した映画として見るならば、追っかけっこだけの映画の印象がぬぐえない。
異星人の宇宙船が出現するラストでは、これがインディ・ジョーンズかと思ってしまう。
異星人にとっての黄金とは金銀財宝ではなく知識であって、イリーナ・スパルコが知識に飲み込まれてしまうのは良かったのだがなあ。
それがテーマならその事がもう少し強調されていてもよかった。
原爆から逃れたり、ジャングルでの攻防、大滝下り等々のアクションシーンは盛りだくさんで、初めてこの映画を見た子供たちはディズニーランドのアトラクションの映画化だと思うかも知れない。
各個の見せ場は文句なしで、驚きとスリルに満ちたものばかりなのは、さすがはスピルバーグと唸ってしまうのは確かではある。
ところでインディは赤狩りの対象者だったはずで、その嫌疑は晴れたのだろうか。
ソ連の偽装アメリカ軍から逃れた末の全員そろっての結婚式は、そちらも無事解決を匂わしていたのだろうな。