おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ワイアット・アープ

2024-04-02 07:41:17 | 映画
「ワイアット・アープ」 1994年 アメリカ


監督 ローレンス・カスダン
出演 ケヴィン・コスナー  デニス・クエイド
   ジーン・ハックマン  イザベラ・ロッセリーニ
   マイケル・マドセン  デヴィッド・アンドリュース
   リンデン・アシュビー トム・サイズモア
   ビル・プルマン    マーク・ハーモン
   ジェフ・フェイヒー

ストーリー
1800年代、アイオワ。
ワイアット・アープ少年は厳格な父ニコラスに家族の絆の強さと正義を教え込まれて育った。
成長したワイアットは、ミズーリ州で法律を学び、美しい娘ウリラと恋に落ち、結婚した。
だが幸せは長く続かず、彼女は彼の子を身ごもったまま若くしてチフスで亡くなる。
思い出の家に火を放ち、街を出たワイアットは酒浸りの日々を送り、ついに馬泥棒で拘置所入り。
保釈金を積んで彼を助けてくれた父によって彼は目を覚まし、以後は酒は一滴も口にせず真面目に働く。
数年後、兄ジェームズを訪ねてウィチタにやって来たワイアットは、誰も手が付けられぬ酔っぱらいを持ち前の豪胆さと銃の腕前で取り押さえたのがきっかけで保安官のバッジを与えられる。
やがてダッジ・シティの連邦副保安官となったワイアットは、兄ヴァージル、弟モーガンと共に、法の執行者として町に尽くす。
ある時、彼は肺病病みだが銃の腕は確かな男、ドク・ホリデイと知り合い、2人は親友となる。
ワイアットは、誰も自分に銃を向けてこない生活を望み、兄弟たちとアリゾナ州トゥームストーンに移った。
この町で彼は、ジョージーという美しい踊り子と結ばれた。
一方、町は凶悪なクラントン一家とマクローリー一家のために無法状態となっていた。
アープ兄弟は力を合わせて戦うが、ついに決闘の日を迎え、ドクを加えた4人はOKコラルへ向かう。
至近距離での銃撃戦が展開した末に勝利するが、最愛の弟モーガンが殺された。
復讐を誓うワイアットはジョージーの制止を振り切り、ドクと共に死地へ向かう・・・。


寸評
ワイアット・アープは日本人にも馴染み深い保安官の一人である。
そしてOK牧場の決闘で知られているが、映画はそのOK牧場の決闘に向かう場面から始まり、すぐに少年時代のアープに画面は変わる。
その頃のアープに影響を与えるのが父親のニコラスで、広大なトウモロコシ畑を有しているがアープに法律を学ばせ法律事務所を開きたい願望を持っている。
畑を守るのがお前の役目だと言いながら、新天地でさらに飛躍するために西へ向かうのだが、当時の開拓者たちはそうだったのだろうか。
広大な畑を捨てて新天地へ向かうのには大きなリスクが伴うと思うのだがアープ一家は西を目指す。
父親の教えは、法を破る悪人がいたら先制攻撃でやっつけろというもので、後のアープの行動に影響を与えていると思うのだが、その事は深く描かれてはいない。
もう一つ、信用できるのは血のつながりで家族は団結しなければいけないということである。
この教えはアープ一家の兄弟たちにしみ込んでいるようで、アープは妻は取り換えが効くから兄弟の結びつきの方が強いと言い放っている。
父親は牢屋に入れられたアープを保釈金を払って牢屋から出して逃亡させるのだがそれ以後は登場しない。
重要人物としてジーン・ハックマンが演じているのだが、あの父親はどうなったのかと思ってしまう。

ワイアット・アープの伝記映画として事実に近い描き方がされているという感じはする。
ウリラ・サザーランドと愛し合って結婚するが、ウリラがチフスで死んでしまうのは事実のようだ。
アープはウリラを失って自暴自棄になり、家もろとも思い出ある品を燃やしてしまい酒浸りの生活に入ってしまう。
金に困り物乞いをし、さらに馬泥棒迄して逮捕されてしまう。
重要な資産である馬を盗むことは当時では死刑となる重い犯罪なのだが、そこまで落ちぶれたアープの姿はあまり描かれてこなかった。
カンザス州ウィチタの保安官事務所で働き、その後やはりカンザス州のドッジシティで保安官助手に任命されたが、やり方の荒っぽさからドッジシティを追放され、アリゾナ州のトゥームストーンに移り住んだというのも史実らしい。
そこでは農業のかたわら賭博場の胴元をやり、売春宿も経営していたらしいので単純に法の番人としてやっていたのではなさそうだ。
作中でも保安官バッチをつけて賭博の胴元をやっているシーンがあった。
農業の利権をめぐってクラントン一家ともめ事を起こしOK牧場の決闘に至ったとする作品もあるが、ここではクラントン一家とマクローリー一家の武装解除を発端としていて、こちらの方が本当かもしれない。
三角関係のもめ事も起こしているし、ワイアット・アープはイメージしている好漢ではなかったのかもしれない。
伝記映画として史実を追及していると思われるが、ワイアットとジョージーは本当にアラスカに行ったのだろうか。

OK牧場の決闘も、その後の復讐劇もイマイチ盛り上がりに欠ける描き方だし、人物描写が全くないので誰だ誰だか分からない印象もあるので、中だるみ感は単に尺が長すぎることだけにあるのではなく演出そのものにあるような気がする。