猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

Leave me alone

2008年09月17日 03時16分45秒 | ルーツ

 

昼間、刑事が二人、訪ねてきた。

 

秋バラ、咲きました。
春とはまた違う風情のアブラハム・ダービー。

 

休日明けの昼間をだらだら寝て過ごしていると、
玄関のドアチャイムが鳴り、
応対に出たゴンザが、

「お母さんのことで話を聞きたいって刑事さんが来てるよ」

と。

 

.....で、記事の内容と著しく写真が合ってませんが(笑)
岩手に行ったエスパー弟より、こんな荷物が着きました。
秋の味覚・たくさんのサンマ~♪

 

私は眠い目をこすり、玄関へ出て、刑事が示す警察手帳を確認する。

『ああ、また何か母が面倒を起こしたのだな』と、
腹の中であきれ返りながら。

「中へ入ってもらえば?」

ゴンザに促され、私は刑事を招き入れる。

「で?何が聞きたいんですか?」

そう聞きながら。

 

すり身も入った素敵なセット♪

 

.....と。

彼らが言うには、
母の荷物が自宅から離れた場所で発見されたとかで、
それが『普通の荷物じゃなかったので』、
「事件に巻き込まれたのじゃないか?」と、
そういうことらしい。

 

さっそく.....
五穀米に水、ダシ昆布、醤油・みりんを加え、
腹を出して塩焼きしたサンマ、梅肉を乗せ、スイッチぽーん♪
炊き上がったら、身をほぐしつつ、骨を取り除いて.....

 

そこに至るまでの回りくどい言い方は、もしかしたら、
『娘である私が母を殺したのかもしれない』という可能性や、
色んな場合を想定してのことだったのかもしれないが、
結局のところは、その『普通の荷物じゃなかった』ものは、
母のレントゲン写真やら何やらで、
それが国道脇で発見されたことに対し、
「なぜそんなものが?」「すわ、事件か!?」ということだったのだろう。

 

茹でた枝豆を散らして、サンマご飯の出来上がり!
岩手から帰ってきていた送り主・エスパー弟も招いて、
あっつあつのホカホカをいただきま~す♪

刑事達は言う。

「何度家を訪ねてもお母さんは不在だし、
 玄関の鍵も開きっぱなしでおかしい」と。

私は笑いながら答える。

「 ああ、鍵が開いてるのはいつもですよ。
 たぶんそのレントゲン写真やなにやらも、
 誰かに頼んで捨ててもらったんでしょう。
 ゴミを捨てるのが面倒だって言ってたから。
 以前は私も頼まれてゴミ捨てに行ったりしてたんですけどねぇ。
 もう半年、連絡もとってません」

.....と。

 

お供はサンマのつみれ汁。
つみれの中には手作り大葉味噌入り♪

 

刑事達は私が何か答えるたびに、『ありえない』と思うのか、
「ええっ!?」「それはまたどうして?」などと、
さらに不審な目で私を見たが、
私はさらにこう付け加えた。

「大切な物も、人から貰ったものも、平気で捨てる人なんです、母は。
 半年連絡をとってないっていうのも、色々そういうことがあって.....
 我々にも手に負えないからなんですよ。
 普通じゃないし、わからないでしょうけど」

 

もちろん塩焼きも忘れません。
.....あ、ちゃあこのは塩なしね(←一匹全部食った大食い娘)
大根おろしと椎茸焼きを添えて~♪

 

彼らが不審感を募らせたのは、
あまりに私の態度が平然としていたからというのもあるだろう。

しかし、母のような人間を親として持った私にとっては、
これぐらいのことはもう、動揺するようなことではないのだ。

次第に母のことを説明するのが面倒になってきた私は、自分の携帯をとり、
彼女の携帯へ電話をかけた。

.....と。
呼び出し音三回。

刑事達が『何度かけても繋がらない』といった母の携帯は、
あっさりとつながり、呑気そうな本人の声が聞こえた。

「刑事が来てるよ。ゴミ捨てたでしょ」

 

美味いワインもありました~♪
自分ではとても買えないお値段ですが~(笑)
Uさん、ありがとうございます!

 

私が予想したとおり、彼女は以前に
「転院したい」と病院から引き取ったレントゲン写真を、普通のゴミと一緒にし、
人に頼んで捨ててもらったのだと、そう答えた。
(つまりそいつが不法投棄をしたわけね)

電話を切って刑事に向かって私は言う。

「ね?こんなもんですよ」

と。

 

ゴンザ特製『ぺペロン枝豆』
めっちゃ美味い~♪

 

彼らがいかに目を白黒させようと、『そんなの普通じゃねーだろ!?』と内心思おうと、
私にとってはこれが事実で現実なのだ。

そりゃあ、これだけの騒ぎを起こして迷惑をかけて、
警察にも申し訳ないと私も思うが、
肉親だから、我が親だからといって、
私にこれ以上いったい何が出来るというのか。

何百回、何千回と繰り返した忠告も注意も、
何の意味も効果も為さなかったというのに。

 

ちなみにサンマを焼いている最中のこの方は、甘えん坊モード全開で、
「抱っこして~」「ちゃあこにもサンマちょうだい、ね?ね?」と、
私の鼻やらほっぺやらに頭をぐいぐい、チュウチュウ大サービス(笑)
そんなことせんでも、エスパー弟は「ちゃあこにもあげてね」と、
ちゃ~んと言ってくれてるから大丈夫だよ。

 

母のもとへ向かうという刑事達に「お騒がせしてすみませんでした」と謝り、
また、ゴンザに「ごめんね」と謝りながら、
こんなことがあっても動揺しない自分に、私は哀しくなった。

ただ、ずっとずっと『普通にひっそり生きたい』と思っているのに、
ささやかな生活を守りたいと思っているのに、
誰も放っておいてはくれないんだなぁ、と。

身内に一人でもおかしな人間がいれば、そこに関わる人は、
ずっとずっと迷惑をこうむり、穏やかな生活さえままならない。

.....きっと私は奇跡を求めているのだ。

『普通』という奇跡を、ずっとずっと。

 帰る場所があって、いつでも温かく迎えてくれる人がいて、
 座れば食事の支度がととのえられ、
 いつでも洗濯したての衣服が着られる。

......私や妹や弟には、ずっと昔から望むべくもない奇跡。

だから。

もし、あなたがそんな奇跡を持っているなら、
そんな奇跡を何よりも大切にして欲しいと願う。

『それは普通ではなく、奇跡なのだと気づいて欲しい』と。

誰かにとっては、願っても願っても一生手に入らない『普通』を.....

あなたがもしも、持っているのなら。

 

そういえば、これ。
めちゃめちゃ美味いよ~♪知ってる?

 

私はこの運命を受け入れ、ときに面白がってもいるけれど。

たまには「ほっておいてよ」と、そう呟きたくなる。


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12 コメント

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Unknown (虫主婦)
2008-09-17 08:11:20
>帰る場所があって、いつでも温かく迎えてくれる人がいて、
座れば食事の支度がととのえられ、
いつでも洗濯したての衣服が着られる

そういう「普通」って奇跡的な幸せなんですね。
今、ちょっと家庭内でも問題があって「普通」じゃなくなってきていたみたいです。
目が覚めたような気がします。
記事に涙も出てきそうになりました。
なんというか、erimaさんありがとうね、気づかせてくれて。
意味不明なこと書いちゃったけど、心配しないでね、なんだか道が開けたようなきがするから。

返信する
繋がり (いなひこ)
2008-09-17 09:36:25
なんだかerimaさんには、申し訳ないけれど、以前、北野たけし演じた、なかにし礼原作の「兄さん死んでくれ」を思い出した。
離れて、そっと穏やかに暮らしたい。
しかし、なにかあると娘だから身内だから連絡がくる。 なんだか、どっちが保護者か分からない。

でもerimaさん 言っちゃー悪いけれど、お母さんのおかげで、ご妹弟に恵まれたのかもしれませんよ。さんま 送ってくれて、お料理して一緒に味わって、こんな仲の良い  ご妹弟  いいです。
ご妹弟とerimaさん命のゴンザさんが傍にいてくれれば、どんな困難の風がふいても 屁の河童だよ。 
あっ無意識だったのに、ゴンザさんって思ったら、屁が・・・。 
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美味しそうなお料理 (cookie)
2008-09-17 09:39:24
erimaさん
お早うございます。erimaさんはお料理も上手なんですね~何時も美味しそうな料理に感心しています。
ゴンザさん幸せですね。
お話聞いていると、お母様のことで色々苦労があるようですね。それでも素直な優しい主婦をしているerimaさんに感激です。普通は、母親が子供のために苦労したり、悩んだりするのに、子供が親のために悩むこともあるのだと今知りました。
私の息子が、(お母さんは良く普通はと言う言葉を口にするけれど、それは、お母さんの普通であって
すべての人がお母さんと同じ考えではないのだから、普通はと言うのは止めてよ)と言われます。今、erimaさんの言葉がよく分かります。
返信する
普通 (くてくて)
2008-09-17 11:08:24
普通、ってなんでしょうね。
普通、ってきっと理想なんだろうな。

自分が大人になるにつれ、親(特に母親)の欠点が目に付いてきました。
それは親としてというより人としてみるようになってきたからかもしれません。

さてさて秋の食卓ですねぇ~!
塩焼きしかしない私には刺激的な写真でした(笑)。
返信する
知ってるでぇ~ (まっちゃん★)
2008-09-17 13:33:01
高知のゆずアイス!めーーーっちゃ、おいしいよねぇ~♪
家族みんな好きやから、時々、ひとりで食べてる(爆)

で、お母さん。
お母さんがいたから今の心優しいerimaさんがいてエスパー妹さん&弟さんやゴンザさんとの強い絆があるんやと思う。
これは、お母さんを知らない私だから簡単に言えることであってerimaさんは本当に苦労や悲しみを乗り越えて今に至ったんやと思います。
今の普通な生活は神様からの贈り物やと思うよ。絶対にそう!だって普通が一番、難しいもん。

ところで、エスパー弟さん、erimaさんに似てオットコマエやわ~~~(シルエットで男前度がわかる!)
返信する
難しいけど、簡単なのかも。 (erima)
2008-09-18 04:20:57
虫主婦様

『普通』に固執してしまったら、それもまた危険なことだと思うけれど、でもやっぱりどこかに『普通』であろうとする気持ちがなければ、人は道をはずれていったりもしてしまうわけで...
難しいなぁと思う部分もあります。

誰かにとっては「なんだ、そんなこと?」が、誰かにとっては「もうダメだ」だったり...
また、その逆だったり。
その人にとっての『問題の大きさ』というのは、他人の尺度で測れるものではないですもんね。

でも、やっぱり、複雑だと思っているものは最終的にはシンプルで、シンプルなことこそ、やっぱり難しくもあるかなぁと...。

なんだか言ってることがよくわからないですが(笑)
もし、私の書いたことが、何か少しでもお役にたてたなら嬉しいです。

つらいときって、だからこそ、そのシンプルな道が見えるチャンスなのかも。
返信する
調べてみました。 (erima)
2008-09-18 04:39:36
いなひこ様

今調べてみたら、なかにし礼さんの小説では「兄さん、死んでくれて本当に本当にありがとう」というセリフが出てくるようですが、これはすごく色んな意味を含んでいる言葉だなぁと、私自身に照らし合わせて思いました。
情に縛られ捨てられない気持ち、例えば思い切って捨てても、罪悪感に苛まれる自分。

そして「死んでくれてありがとう」の後も、それらの思いは迷惑をかけられた方の人間を縛り続け...
離れても、相手が死んでも、一生解放されることはないのだと思います。
なんだか、笑いながら泣きたい気持ち。

でも、確かにその中にも多くの得るものがきっとあって、それが私にとっては、やっぱり妹や弟との絆なのだと思います。
普段は結構あっさりしてるけど、だからこそ、互いへの思いが強く感じられるような。

そして、ゴンザと出会えたことは、本当に私にとって、神様からのプレゼントなのだと思います。
いなひこ様、ありがとうございます。

ちなみに、そのゴンザですが、いなひこ様のコメントを読んで、「erimaちゃんが俺のこと書くから、みんなが俺っていうと『屁』『屁』って言って...うえ~ん(泣)」と、布団に突っ伏して、足をバタバタさせてました(笑)
もちろん、喜びの表現です(爆)
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ありがとうございます。 (erima)
2008-09-18 05:01:11
cookie様

cookie様、おはようございます♪

私のお料理は普段はワンパターンになりがちなのですが、このサンマのときはサンマに添えてお料理の小冊子がついており...
このときばかりは「せっかく弟が送ってくれたのだから」と、張り切って作りました(笑)
おうちで出来たての温かいお料理を食べるというのは、幸せな気持ちになるものですよね。
弟は普段一人暮らしなので、私も温かいものを食べてもらえるのが嬉しかったです。

母のことは、もう私が子供の頃からなのですが、なぜか歳を重ねるごとに、どんどん悪い方向へ行ってしまって...
これは、私たちが「親も人間なのだから」と、あまりに子供の時期から理解を示しすぎたせいもあるのかなと思います。
母にしてみれば、迷惑をかけて子供たちの愛情を試しているような部分もあり、「どれだけ自分のためにしてくれるか」が、彼女にとっては、愛情、なのでしょうね。
「それは違う」といくら言っても聞きません。

年老いた母親(私にとっては祖母です)にも、私がうるさく言わないと電話もかけず...
本当に、人の心がわからない人なのだなぁと思います。
本人は誰より自分が思いやりがある人間と思っていて、「人の嫌がることは絶対しない」なんて言ってますけど(笑)

息子さんがcookie様におっしゃったこと。
息子さんのお気持ちもわかりますし、でも、お母様であるcookie様が『普通』であろうとなさってきたことで、今のお幸せがあるのですよね。
確かにすべての人が同じ考えではないけれど、『普通』である毎日を我が子に贈ることの出来るご両親というのは、本当に偉大だと思います。
返信する
いつかは... (erima)
2008-09-18 05:09:39
くてくて様

人間、いつかは皆、親を一人の人間として見る日が来るのでしょうか。
ずいぶん早くから、自分の親をそうやって見てきた私には(見ざるを得なかった、か)、いわゆる『普通』の家庭で育った人にも、そういう時期がくるのかどうか、わかりません。

『普通』の定義は難しいけれど、理想でもあり、本来普遍的なものでもあり。
はっきりしているのは、それが人が社会で生きていくうえでは、何かの指標となるってことだと思います。

「いいの、私は普通じゃなくて」
とう言い始めたときから、母のような人間が出来上がる気がしますから...(笑)

サンマ。
炊き込みご飯も結構いけましたよ!
私も普段は塩焼きばかりなので、目から鱗でした(サンマだけにね←寒っ)。
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たしかに (ふみ)
2008-09-18 05:20:27
“普通”は奇跡・・・。
うん、そのとおりだな、と思いました。
真面目にコツコツ働いてきた人が、たった一回の台風で家を失ったりもします。
何事もなく“普通に”暮らせるということこと。それはやっぱり奇跡的なのだと思います。
“普通という奇跡”に感謝です。

p.s.つみれ汁、むちゃくちゃウマそうっすね!
具は、サンマのつみれにダイコン、シイタケ、マイタケ、ナメコでしょうか?
ボクの好物がテンコ盛りで・・・モニタを食い入りように見てしまいました(笑)。
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